第5話 非日常ブレンド
7月28日
夏休みは7日目である。つまり、幽霊生活5日目であった。
なんというかこの生活に慣れかけている自分が怖いが、どんな非日常も日常と化してしまうものだと知った。
俺は幽霊の足蹴で起床する。勿論落とされる。ロフトベッドからの転落さえ日常になっていた。
どうやら初日の恨みを少しずつ晴らしているようだ。
計画的でよろしくない。
そいつは悠々とあくびをしながら、どうかした?みたいな顔をする。
首のかしげ方がちょっとかわいい。あっ、ロリコンじゃなくてあれね。あの子供かわいい的なピュアな思考ね。
まぁそれはともかく。俺はその子とお手々つないで朝食へ。
いつもこのときにのなと遭遇すると、ゴミを見る目俺らを一瞥して、通報しようとしてくる。
気持ちはわからんでもないが、兄貴をためらいもなく通報するのもどうなんだろうか。
朝ごはんは基本的に俺が食べる。
たまに膝の上に乗っていっしょにごはんをたべたりするが。
こいつが食ったものはどこへ消えるのだろうかと最近思う。謎は深まるばかりだ。
ちなみにその子が好きなご飯を俺が食べると、腹パンされたりした。
いや、ご飯中なんですけど…。
当然のごとく噎せる。食事はちょっと難しい。とりあえず卵焼きはアウトらしい。
そんな風に一日は過ぎる。
休みの日は日に日に加速して、体感速度は狂ってくる。
忙しない学校の日々が嘘のようだ。
のんびり堕落して、スマホをいじる。
ちなみに俺は今が何日か、何時か、今日の天気が何なのか全く何一つ知らない。
つまり、家を出ていない。
部屋でぐーたらするのは日常で目の前にいるこいつは非日常。
日常と非日常に挟まれることってあるんだ。
ほへぇー。
「アキはさあー、幽霊楽しい?」
アキ。流石に例の三文字は呼べる気がしなかったので、下2文字を呼ぶことにした。
この前とは違う本(ラノベ)に丸をつけて返答してくれる。
『そ・れ・な・り』
「まあなら良かったじゃん。
それってやっぱり俺のおかげなんじゃないの?」
『あ・り・え・無い』
「あら、そうですか。じゃあもうお役御免ですね、わたくしゃあー。」
そう行って布団に潜り込む。
ちなみに現在は二人してベッドでゴロゴロしている。
もうそんな仲なのだ。冗談よ。にゃはは
『やっぱり・血・が・う』
もうかまってくれないと思ったのか急いで布団に入ってきてそう見せつけてくる。
あらあら〜。可愛い。こういう姿を見ていると少しいじめたくなるよな。
「じゃあ俺のこと好きなの?」
しどろもどろってこのときのためにあった言葉だと錯覚するほどに困っていた。
目がくるくるして頭から湯気みたいなのがプシューって出てそう。
でもちょっと冷静になってしまったらしく、俺が楽しんでいることに気づいてしまったようで…。
みんな大好きポルターガイストタイム。
俺一人を除いて。
「部屋中を汚すこの能力片づけもできるから便利だよな。」
アキはちゃんと本を片付けてくれるのだ。
この前の刺激的なイラストのラノベはゴミ箱に入っていたけど。間違えちゃったんだよね?そう信じよう。
そんなこんなですっかり日常に溶け込んだ非日常。
順風満帆で終わるはずもないから小説なんだぜ。
なんてそれっぽいことを言ってみた。
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