第30話 新たな扉

「さあ、松原くん……お願い……///」


 俺を誘う浅上。

 ディ○ドを持つ俺の右手は、かつてないほどに震えていた。


 こ、この卑猥な形をしたブツを浅上のブラックホールにスパーキングするのか……。

 そんなことをしたら何が起こる?

 ビッグバン!? 俺の知らない新たな世界が構築されるというのか。

   

 俺の知らない真理の扉が開かれる……。


 ゴクリ……。


 俺は唾を飲んだ。


 そして………。


 ……………………。


 何もしなかった……。


 いや、正確には何も出来なかった。


 これでも浅上は女子、しかも学校一のアイドルで高嶺の花。

 対して俺はスクールカーストど真ん中、いてもいなくても何も影響もない存在。

 側からみたら俺たちは相容れぬ存在だ。

 そんな俺がこうして浅上と一緒にいるのもおかしいのに、さらには一線、いやブラックホールを越えようとしている。


 そんな資格、俺にあるのか……。


 こんな俺なんかに……ディ○ド《これ》を握る資格はあるのだろうか……。


 でも……。


 それでも………。


 これを俺に渡したのは浅上だ。


 浅上が俺を選んだんだ。


 いつもエロ漫画見てニヤついている浅上だけど、学校一の美少女であるこいつが……俺に委ねんだ……。


 他の誰でもない、この俺に……。

 

 毎日、エロ本ばかり見ているしょうもない俺に……いや、そんな俺だからこそ任せられたんだ。

 

 しょうもない思春期男子だからこそだ!


 これは他の誰でもない、冴えない俺にしかできないんだ。


 同じエロを嗜む同志であるこの俺が!!


 なら……やるしかないよな。


 この俺がやるしかないんだ。


 俺はディ○ドを強く握り、構えた。


「やるぞ、浅上」


「うん………///」


 そして……。


「うおぉぉぉぉぉ!!」


 気合いの雄叫びをあげ、浅上のブラックホールに思いっきり、突き出した。


 浅上……俺がお前の欲を受け止めてやる!!

 

 あわよくばこの目で女性をイク所をみたい!

 というかイカしたいのが本音だ!!!!


 決意を持って突き出した一撃。

 だが、その刹那。

 瞬きすらも許されないほんの一瞬。

 俺は聞いてしまった。


「ふふふ」


 愚者をひどく蔑むような浅上の嘲笑を。


 それに気づいた途端、俺の興奮は一気に絶望へと変わった。


 突き出す為に前のめりになった俺を華麗に交わし、俺が持っていたディ○ドを合気道のような滑らかな動きで取り上げる。


「ぐへっ!」


「ふふ、とった!!」


 浅上は思わずマットに倒れ込んだ俺の背後をとった。


 何が起こっているのかまだ頭がついてきてない。

 そんな俺に浅上は……。


「松原くんに新たな扉を開いて……あ・げ・る」


 と言い、俺のケツに向かって持っていたアレを突き出した。


「えい!」


「ぎゃあぁぁぁぁ!!」


 俺の悲鳴が古倉庫に響く。

 

 正直そこから先はよく覚えていない。


 結局何がどうなったのか。

 どう締めたのか。

 定かではない。


 しかし、これだけは言える。


 おもちゃも悪くねぇーと。

 

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