第23話 下に逆らえない哀れな生き物
媚薬効果の煙を吸い込んでしまったせいで俺は股間に電流が走り、有川さんも明らかに様子がおかしくなっていた。
このままでは何かが起こる!!
「……………」
「……………」
手を握りながらお互い見つめ合う。
先程とは違い、顔を真っ赤にしながら。
「有川さん……」
「松原くん……」
無意識にお互いの名前を呼んだ。
ダメだ……やばいかもしれない。
俺は有川さんの大きいおっぱいに目をやった。
今の俺の頭には有川さんのおっぱいしかない。
おっぱいという単語が脳を埋め尽くしている。
おっぱい……おっぱい……。
掴んだ手を引き寄せる。意外にも有川さんは抵抗せず、俺の方へと距離を詰めてきた。
数センチという短いスペース。先程だったらすぐにも離されてしまう短い距離。だが、今の有川さんはまんざらでもなかった。
これも媚薬の効果なのか。
なら……仕方ないよな。
ゴクリと唾を大きく飲んだ。
おっぱい……おっぱい。
ちんちんに思考を支配された俺は有川さんの胸に向かって手を伸ばした。
しかし——。
『おお!!』
その瞬間、スマホから浅上の声が聞こえてた。
「しまった!」
その声のおかげで一瞬我に返ることができ、手を止めた。
危なかった、このまま手を出せば浅上の思う壺! 危うくチェリーボーイである俺が野獣へと覚醒してしまう所だった。
なんとか正気を保たないと!
俺は有川さんから一歩距離を取った。
「え?」
キョトンとする有川さん。
そんな彼女を見ないよう俺は座禅を組み、目を瞑った。
「松原くん?」
ひとまず、立たせているものを落ち着かせないといけない。ナニとは言わないが。
精神を落ち着かせ、"アレ"も落ち着かせる!
「無だ……」
「無?」
「こういう時は無の意識を集中し、精神を落ち着かせるしかない。今、浅上の放った煙によって俺と有川さんは心が乱れてしまっている。だからその心を落ち着かせるためにも共に無を体感しよう」
「松原くん、さらにおかしくなっている気がするけど……」
「無だ……」
そう俺が唱えると、どこからか『クソッ!』という野蛮な言葉が飛んできた。
まあ、邪なる者の声だろう。聞き流す。
こうして俺は精神等一によって心と"チン"を落ち着かせた。
しかし!!
「はぁ……はぁ……」
近くで淫らな吐息が聞こえた。
思わず目をやると俺のすぐ隣で有川さんが苦しそうにしていた。
「大丈夫?」
「あ、はい……はぁはぁ……何だかあの煙を吸ってから体が熱くて……」
「そうか……」
媚薬のせいで体が火照って来ているのだろう。
「1枚脱ぎますね……」
「え? ちょ!」
そう言い、有川さんは制服を1枚脱いだ。
「しま———」
遅かった。
ワイシャツ姿になったことで"透けブラ"という最強のフォルムを目の当たりにしてしまった。それによりギリギリを保っていた理性という名のダムが崩壊する。
しぼんだ風船がみるみるうちに大きくなるのを感じる。
理性がある……お……俺が……完全に消える……!
「……っぱい……」
「え?」
「……おっぱい……」
「松原くん?」
「おっぱい!!!」
媚薬効果によっておっぱいゾンビと化した俺!!
おっぱい目掛けて、思いっきり手を伸ばした。
これは断じて故意ではない! 媚薬によってだ! マジで!
不可抗力なんだーー!!
そんな言い訳を心の中で叫び、俺は———。
「キャッ!!」
有川さんのおっぱいを鷲掴みした———。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます