第22話 股間に電流走るとき
イチャイチャしないと出られないというラブコメイベントが始まったが、一緒に閉じこめられた有川さんは男性に耐性がなく、イチャイチャどころか触れることすらできない。
果たしてそんな状況でイチャイチャできるのか? 俺達はこのふざけたゲームを終わらせることができるのか……?
「……………」
「……………」
お互い、沈黙したまま10分ほどが経過した。
こっちを申し訳なさそうにチラチラ見てくる有川さん。
まあ、防衛本能とはいえ手を上げられたからな。
俺も急に近づいたのはよくなかったけど。
「あの……」
突然、有川さんが沈黙を破る。
「さ、さ、さ、先程はごめん……なさい」
ぎこちない感じで謝罪してきた。
2メートルぐらい距離とってるけど……。
「あ、いや俺の方こそ申し訳なかったです……」
「ぶった所…….大丈夫ですか?」
「あー、はい」
結構ジンジンして痛むけども……。
「ご、ごめんなさい……私のせいで迷惑かけてるみたいで……」
めちゃくちゃ申し訳なさそうに俺をチラチラと見てくる。
「いや迷惑だなんて。元はと言えば浅上の奴がこんなふざけたことをしているせいだ。それにさっきのは俺も無神経すぎたよ。こちらこそごめん」
「そ、そんなことは……」
顔を横に振る有川さん。
俺の謝罪によって警戒が少し解けたような気がする。
それはありがたいのだが、状況は何一つ変わっていない。
「ま、イチャイチャ以外でこの状況を脱出する方法を考えよう。浅上の言う通りになるのも嫌だしな」
「あ、はい!」
そう宣言したその時、カチャと外で何かもの音がした。
すると扉が少しだけ空き、その数センチの隙間から煙を帯びた"ナニカ"が投げ捨てたられた。
「な、なんだ!」
突然の出来事に呆気に取られていると扉が閉まり、煙は一瞬で倉庫内に蔓延した。
「ケホッ! ケホッ!」
その煙を思いっきり吸い咳き込む。
バルサンを焚いている部屋に飛び込み、死にかけた幼い記憶がフラッシュバックしたが、そんなことはどうでもいい。
なんだこの煙……変な感じだ。
ピンクの色だし無臭だ。害はないように思えるが……。
「有川さん大丈夫?」
煙を抜けて有川さんの方へ近づく。
「ケホッケホッ……はい……なんとか」
俺と同じように咳き込み有川さん。
煙に驚いたのか腰を抜かして倒れている。
そんな彼女を助けようと手を伸ばす。
「大丈夫?」
「ありがとうございます……」
有川さんが俺の手を握る。
その瞬間、股間に電流が走った——。
「え」
なんだこれ……なんなんだこの感覚。
体が……というか股間が熱くなっていくのを感じる。
この感覚はまるで……新しいエロ本を手に入れた時と同じような……いやそれ以上だ!!
なんだろう……有川さんが……さっき以上にめちゃくちゃ美人に感じる。
目ぱっちりだし、顔きれいだし、何より胸大きいし!
動悸が止まらねぇ!!
一体どうして……?
視界に煙を出している缶が写る。
そこには"媚薬缶"と大きく書かれていた。
あの煙のせいか!!!
くそーー! 浅上の野郎! こんなものまで用意していたとは!! どんだけ俺と有川さんがイチャイチャするのが見たいんだよ!
いや、待てよ。この効果は俺だけじゃないはず、もしかして有川さんにも!!
有川さんの顔を覗く。
すると——。
「松原くん……わ、私……な、なんだかおかしい……の///」
蕩けたような表情で俺を見る有川さん。
それまさに淫らな女に俺は思えた。
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