第18話 童貞vs処女vsセッ○ス
ある日の放課後。
この日は有川さんが風邪をひいてしまい、俺は浅上と帰宅までの時間を古倉庫で潰していた、互いに好きな雑誌を読みながら。
「…………」
「…………」
俺はヤングジ○ンプ、浅上はなぜだが、ファッション雑誌を読んでいた。
意外と女の子らしい部分もあるんだな、完全に中身が中年親父かと心配したぜ。
そう俺が安心していると、浅上は本を閉じて、ジッと俺を見つめた。
偶然、横目で浅上を見ていた為、目と目が合う。
見つめられたい女子ナンバーワンである浅上に見つめられて、思わず顔が赤くなってしまったのは言うまでもない。
しかし、どういうつもりだろうか、俺の顔に変なものでもついているのかな?
そんなことを思っていると突然、浅上が口をゆっくり開き、衝撃的なことを口にした。
「ねぇ、松原くん。セッ○スってどう思う?」
「ヘヤッ!?」
思わず変な声が出てしまった。
聞き間違いかもしれないし、もう一度聞いてみよう。
「な、なんて?」
「だから、セッ○ス」
「は?」
「セッ○ス!!」
……うん……。
いや、待て待て、数字の6をめちゃくちゃ発音良く言ってるのかもしれない。
ゆっくり聞いてみよう。
「ちょっと、ゆっくり言ってみてくれ」
「セーーーーーッ○ス」
「Pardon?」
「s○x!」
「だからなんて?」
「だ、か、ら……セッ○スだって!! てか私に言わせたい感じになってない?」
「は!? いや、そんなことはないぞ」
半分はな……。
「というか突然どうしたんだよ。真顔でそんな質問しやがって」
「純粋にどうなんだろうと思ってさ。私処女だし、そういう経験ないから」
「え?」
処女であってほしい女子ナンバーワンである浅上が処女だったのは意外に驚いた。
俺の見たデータ(エロ漫画)だと女子高生の7割以上が非処女だと書いてあったからてっきり、浅上もどこぞのヤリチンともういたしているものかと思ったぜ。
でも、ちょっと。ほんのちょっとだけ気持ちが弾んだ。
「松原くんは誰かとセッ○スしたことある?」
「は!?」
この女はそんな邪な質問を、よくもまあ純粋無垢な瞳でできるな〜〜。
こっちの倫理観がバグってくるぞ。
まあ、答えは決まっているんだけど。
「し、したことねぇーよ」
「ふーん。それじゃあやっぱり童貞なんだ」
「やっぱりってなんだよ! ほとんどの男子がそうだよ!」
ちなみに先程のデータによると、男子高校生の非童貞は約1割未満らしい。
男女でここまで差が出るのはもはや闇でしかない。
にしても……。
「浅上もその……"そういうこと"に興味あるのか?」
「ええ、興味あるから聞いているんじゃない? 馬鹿なの? 死ぬの?」
いちいち癪に触る女だ。
まあでも、恐らくこいつは誰よりもエッチに関して関心はあるのだろう。ここ数日ずっと一緒にいてそれはわかっていた。
だけど、それはあくまで観測者としてだと思っていた。見るのは好きだけど実際やること自体には興味がない。そういう特殊なタイプなんだと思っていたけど、もしかしてこいつ……。
「私ってエロ本やAVを見るのは好きだけど、実際セッ○スについては経験皆無だし、ほとんど知識もなかった。だから、本当に気持ちの良いものなのか知りたくなったんだ」
「へ、へー。そ、そうなんだ……」
あれ? もしかしてこの流れは……。
ある予感が頭をよぎった。
放課後、2人きり、未経験……まさかこれは……!!
胸の高鳴りが大きくなっていく。
あれ? 何で突然俺こんなにドキドキしているんだ?
「ね、ねぇ……松原くん」
心なしか浅上の声が色っぽく聞こえる……。
おいおいまさかこれ……。
「あの……その……」
顔を赤くし、照れながら何かを言おうとしていた。
まさかまさかまさかこれって……もう……
唾をゴクリと飲み込んだ。
そして——。
って……んなうまい話あるわけねぇー!
そもそもこの女の性癖は終わってるし、恋愛なんて毛ほども興味がないだろ。
それに俺自身も浅上の本性を知ってからは異性として意識していない。"性癖が終わっている奴"でしか認識していないから好意なんてものはない。それは浅上自身もそうだろう。
放課後、2人きり、未経験。そんな何か始まりそうな展開だが、俺と浅上に限っては何も始まらない。始まるとしても汚い猥談だろうな。
恐らく、次の浅上のセリフは
『絶対1人プレイの方が気持ち良いよね!』
だろう。
そう思い込み、無理矢理冷静さを取り戻した。
しかし——。
「セッ○スしてみない……?」
予想を裏切る発言を浅上は飛ばしてきた……。
「え?………」
俺の思考は一瞬で停止した——。
続く……!!
次回!!!
R18から始まる性春ラブコメいや、松原タクトの人生
最 終 回!!
『童 貞 卒 業』
ぜってぇみてくれよな!!!
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