第11話 男子高校生は大半が変態
浅上は学校で人気者だ。
綺麗に整った顔立ちと愛想の良い立ち振る舞いから男子にも女子にも人気がある。
だから休み時間はいつも色んな人達に囲まれている。
しかも、
「浅上さん〜〜さっきの授業でわからない所があったんだけど」
「私も、私も〜〜」
「うん、いいよ、私でよかったら教えてあげる」
勉強もできて、
「浅上さん、来週のバスケの大会出てくれない? 一人ケガしちゃって」
「テニス部の練習試合もお願い!」
「オッケー! 予定入れとくね!」
スポーツもできる。
まさに才色兼備。
完全無欠の美少女といっても過言ではないだろう。
対して俺はというと……。
今までモテたことがない。
バレンタインは家族からしかもらったことはない。
勉強は普通。運動神経も普通。
突出した才能も特技もない。
どこにでもいる冴えない男子高校生だろう。
休み時間も基本一人だし。今もこうして席につき、寝たふりをしながらスマホをいじっている。
そんな陰キャな俺とクラスカースト上位の浅上が同じ趣味を持っていて、なおかつ、二人で部活を作ろうと思っていることはクラスのみんなは知らないだろう。
恐らく言っても信用されない。
あの"エロとは無縁な女子ナンバーワンの浅上 凛花"がめちゃくちゃエロ本大好きだなんて……。
今もみんなと楽しく話しているようだが、頭の中ではきっと、今日の"オカズ"を考えているに違いない。
側から見たら俺の立場は羨ましいだろうけど、実際は苦痛な部分が大きい。
なぜってそりゃあ……。
毎日毎日、自分の性癖でもないエロ本を見せられて、尚且つ自分の好きな性癖を貶されているんだ。
しかも、最悪なことに浅上が持ってきたエロ本についてちゃんとしっかり感想を言わないと返してくれない。
そんな日が数日続いた結果、今では浅上が勧めてきたものも"あれ、結構いいかも"と思い始めている。
なんか調教されているみたいだ。
男として悔しくて泣きそうな毎日……。
はぁ……味方が欲しい!!
このまま、一方的に浅上の性癖を押し付けられてしまうと、俺の性癖も歪んでしまう。
歪むとどうなるかという一生独身、一生童貞な汚らしいおっさんになってしまう!!
それだけは避けなければならない。
その為にも、浅上の歪んだ癖に対抗すべく俺と同じような純粋な恋愛、純粋なエロが好きな同志を誘わなければならない。
よし、早速誰にしようか考えよう!
俺は顔を上げてクラスの人達を見渡した。
俺にエロ本を貸してくれる山田はどうだろう……いや、あいつはダメだ。様々なエロを嗜んでいるから浅上の方に靡く可能性があるな。
だったら野球部の合宿で自慰行為している所を見られ、そのトイレにいた時間の短かさから"早漏王"と名付けられた"橋本くん"はどうだろうか……いや、確かみんなに見られていた時、オカズにしていた本が熟女モノだったらしいから、ダメかもしれないな。
だったら、席に立つと必ずと言っていいほど前のめりになったり、無駄にポケットに手を突っ込んだりしている"タチ花"はどうだろうか……いや、あいつ浅上の前でも常に前のめりだから話にならないかもな。
だとしたら、あえてのチャラい男子である"斎藤くん"はどうだろうか。浅上ともたまに話すし、モテてそうだし、逆に浅上をチャラく染められるかもしれない……いや、ダメだ! あんなにチャラい斎藤くんだが、確か地味な女の子と付き合っているんだよな。幼馴染みで昔から仲が良いらしくいつも一緒に帰ってたような。見た目に似合わず意外とウブでかっこいいんだよな……そんな彼を浅上ワールドに入れたくはない。
クソ……どうしたらいいんだよ……。
味方が欲しい……!
そんな思いを抱きながらいつもの放課後になった。
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