第6話 朝から下ネタ言う奴、だいたいやばい
翌日——。
俺は複雑な感情を抱えたまま学校へと続く並木道を歩いていた。
クソ……何をしているんだ……俺は……。
まさか、浅上から送られてきたもので"やってしまう"なんて……。
しかも無料のサンプル漫画でサルのようやってしまった……まさかあんな素晴らしいサイトがあるなんて、次のお小遣いの使い道が決まってしまったじゃないか!
クソォ。浅上の術中にハマったようでなんか嫌だな。
しかーし! あくまで俺が見たのはイチャラブ系の漫画だ。あいつの好みそうなやつは見ていない。まだ堕ちてはいないぜ。
自分自身でそう納得すると、
「昨日の夜はどうだった?」
「ひゃっ!!」
突然耳元で囁かれて、思わず体が飛び上がった。
後ろを見ると、そこにはニコニコしている浅上がいた。
「急に囁くなよ、びっくりするじゃんか」
「いやーーどんな反応するかなって。やっぱり松原くんは総受けっぽいね。"ア○ル"が狙われないよう気をつけてね」
朝っぱらからこの女は何を言ってんだ……。
「あ、そうそう昨日送ったやつ、ちゃんと"使った"?」
「は? い、いやそんなん見てねーし」
俺は意地を張って嘘をついた。
この女にドヤ顔されたくなかったから。
「へー、ふーん」
不敵な笑みを浮かべて俺をジッと見る。
なんだこいつ?
「松原くん、手のひらみーして」
「は? なんで」
「いいから!」
そう言い、浅上は俺の腕を掴み、手のひらを見つめる。
触れられたい女の子ナンバーワンの浅上にこんなジッと手を触られるなんて……一昔の前の俺だったらとても喜んでいただろうな。
そんなことを思っていると浅上が、
「なるほどね」
と何かを理解したように呟く。
「何がなるほどだよ」
「松原くん、2回シ○ったね。それも昨日の夜に1回と今朝に1回」
「なぜそれを!!……ッハ!」
しまった。
的確に言い当てたられて思わず言ってしまった。
「ふーん。やっぱり」
ニヤついた瞳で俺を見る。
そんな目で見るな。
てかこいつ、人の手のひらみただけで、そういうのわかるとか変態すぎだろ……。
「そんなによかったんだ。私の送ったやつ」
しかも、俺が見ていることもバレてるし。
「勧めた甲斐があったな〜〜、で、どんなの見たの?」
もう言い逃れもできそうにないのと、無理に否定すればますます彼女の思惑にハマると思ったので俺は正直に答えた。
「えと……オタクとアイドルが隠れて付き合ってて、ヤルやつ……」
「あー! あれね! 私も見たよ! てか全話ダウンロードしてある! あれいいよね! オタクがアイドルを無理矢理襲うものかと思って見たけどさ。純粋にストーリーも絵も良くて、何よりアイドルの子が可愛くて普通に好きな漫画だったわ!」
「だよな! やっぱりエロ漫画って露出が多ければいいってわけじゃないんだよ! "それ"に至るまでの経緯やシチュエーションが肝だと思うんだよ! それが性癖に刺されば刺さるほど本番のエロさが増すんだよな!」
「わかる……わかるわ〜〜エロって過程も大事だよね。いや、むしろ過程込みで本当のエロは完成すると思うわ〜〜」
こうして俺達は朝っぱらからエロ漫画について熱く語り合った。
側からみたら異常者だろうけど、でも好きなものの話をするのは悪くない。
「あ、そういえば……」
俺は昨日から気になっていたことをここで浅上に聞こうとした。
「浅上ってどうしてそんなに"エロ"に関心があるの?」
あの顔も良いスタイルも良い浅上 凛花がなぜここまでエロに興味を持ってしまったのか俺は昨日から疑問に思っていた。
「それは……」
俺の問いに浅上は突然、歩みを止めて表情を暗くし、俯いた。
あれ、どうしたんだ? 聞いてはいけなかったか?
「そうだよね……これから2人で部活を作るんだし、話さなきゃだよね……」
悲しそうな表情をする浅上。
あれ? この話相当重いの?
俺も真剣な表情をして、聞く姿勢をとった。
「私がなんでこんなに"エロ"について興味をもったのか……それは……」
浅上の口からその真相が語られる……!
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