第2話 下ネタを平然と言う女にロクな奴はいない
「本当のエロって……」
ん? これどういう状況だ?
浅上さんの突然の発言に困惑する。
そんな俺を置き去りにするかのように浅上さんは再び、エロ漫画を読み始める。
「あ、あのちょっと……」
「ふーん。なるほどね」
ペラペラ巡りながら、何かを理解する浅上さん。
読者モデルになりそうな女子ナンバーワンの浅上さんが、エロ漫画見てるなんて、新鮮を通り越して異様だ……。
「松原くんってこういうジャンル好きなの?」
そう言い持っていたエロ漫画の表紙を見せる。
その表紙には"幼馴染みと一夏のイチャラブ"と書かれており、イラストも俺好みのものだった。
流石、友人! 俺の性癖を抑えているな。作者も俺一押しの"ハチ豚先生"だし!
今すぐに拝見したいのだが……状況がそれを許してくれない。
浅上さんの圧がやべぇ!
その圧に負けて俺は正直に答えた。
「は、はい……好きです」
「そうなんだ……"イチャラブ"が好きなんだね」
「え、あ、はい」
あのエロとか興味ない女子ナンバーワンの浅上さんの口から"イチャラブ"というワードが飛び出てくるなんて……一体全体どうなってる?
「ふふふ、あったな……私にもそんな時が……」
浅上さんはどこか遠くを見て呟く。
まるで若い頃の自分を振り返るアラフォーのようだ。
「あの……浅上さん、さっきから様子が変ですけど大丈夫ですか?」
明らかに異常だ。
もしかして、俺のエロ漫画を見てバグったのか? エロに耐性がないから脳がおかしくなったのかもしれない。
しかしそんな俺の心配をよそに浅上さんは突然、喋り始める。
「しかし、しかしだ松原くん。まだこんなものを"オカズ"にしているようではお子ちゃまだ。尻の青い……いや、下の毛が生え揃っていない中学生男子と同じだ。男子高校生である君がそんな中坊と同じ感性ではダメだ。確かにイチャラブは誰もが夢見るものであり、なおかつ現実でも実際起こりうるシチュエーションのものも多いから容易に"エロリズム"に浸れると言えるだろう。だが……そんな単純なエロで浸っているようでは真の思春期とは言えない! 男子たるもの、他人にひかれるような性癖を最低でも一つ持っていなくてはこのストレス社会に生きていけないだろう!」
浅上さんが長々と語った。
それに対し、俺が思ったのは——。
「………は?」
だった。
この女……急に何を言っている?
イカれているのか? この状況で!
それとも俺、夢見ているのかな? クラスのマドンナ的存在の浅上さんが、エロについて熱く語っているなんて夢か別の世界線の存在でないと有り得ない。
きっとそのどっちかだな。
きっとそうだ。
そうじゃなきゃこの状況ありえない……。
だって……。
「よし! それなら私の"お宝本"を明日持ってきてあげるよ! まずは軽めな"淩辱モノ"と"催眠モノ"から慣れ始めてもらってそこから"ふたなり""NTR""調教"と段階を踏んでいずれは私のいる"ステージ"まできてもらわないと! これは面白くなってきたぞー!」
あの下ネタ絶対言わない女子ナンバーワンの浅上さんが……あんなハレンチなワードを連呼するなんて……俺にはもう信じられない。
それになんか俺の性癖を歪めようと勝手に盛り上がり始めてるし……。
「あ、あの……浅上さん?」
「ん? どうしたの松原くん。そんな"ザー○ン"飲んだような顔して」
ん? なんだ? "ザー○ン"って? ラーメンの仲間か? いや、そんなことはどうでもよくて……。
「浅上さんってもしかしてめちゃくちゃ変態なの?」
核心を迫る質問をすると、浅上さんの顔が急に赤く染まっていく。
やはり女性に失礼だったか。
だが……。
「いやーー/// 照れるな〜〜めちゃくちゃ変態だなんて///……煽ててもポロリはないよ〜〜もーー」
ダメだこいつ……。
才色兼備の美少女の裏の顔を知り、彼女に対しての俺の固定概念が一気に崩れていった。
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