第12話 子育て
乳児並みの子猫を自分の手で育てるのは、勿論初めての経験だ。
二匹の子猫にミルクをあげるのは、準備から飲ませるまで時間が結構かかるので、実質四時間弱に一回というペースになった。
この年、私は春に仕事を退職していた。だからこそできることではあったが、それでも昼夜を問わずミルクを与えるのは、体力的にしんどかった。
私は子猫にミルクを与えると、なるべく睡眠を取るようにした。だが寝過ごしてはいけないので、座椅子に座ったまま寝た。当然のことながら、それほど眠ることはできなかった。
この子育て期間中は、世の中の赤ちゃんを育てている全ての親御さんたちに幸あれ、と願わずにはいられなかった。
薄暗くした部屋で、段ボール箱の底にペットシーツを敷いて子猫を置き、箱の外に電気ストーブを置いて温めた。
子猫は、電気ストーブのある側に体をくっつけるようにして眠っている。時々段ボール箱の内側を触ってみて、熱くなりすぎないように気をつけた。
デジタルキッチン計量器を買ってきて、毎日体重を測定した。順調かどうかはわからないが、子猫たちは日々大きくなっていった。
生まれたてのうちは、子猫の体の模様がよくわからなかったが、サバトラとハチワレだとわかるようになってきた。
十日ぐらい経った頃だろうか、子猫の目が開いたようだった。そこからの成長は早かった。
やがて子猫たちは、段ボール箱をよじ登って外へ出てくるようになったので、私は慌ててホームセンターへ行き、ウサギ用のケージを買ってきて子猫たちを入れた。
そろそろ離乳食を食べさせてみようと思い、最初はチュ〇ルを与えてみた。食べるというよりは舐めるという感じだが、よく食べてくれた。そのうちにミルクはあまり飲まなくなってきたので、離乳食だけにすることにした。
食事のときはケージから出したのだが、二匹とも必ず私の足下に寄って来る。
・・・可愛い。
一ヶ月半ぐらいが経ち、集会所に母猫が二匹の子猫を連れてきた。
生きていたんだ!良かった!まだ雪は降っていない。間に合った。
新たに集会所のメンバーになった子猫は、サバトラと茶トラだった。そのうちサバトラの方は、尻尾の先がクニャクニャと稲妻のように曲がっていたので、私は『カミナリ』と呼ぶことにした。茶トラの方は『チャチャ』だ。
私が育てている方の二匹には、まだ名前を付けていなかった。
サバトラの方は、母猫の方の兄弟と同じように尻尾の先が曲がっていたので、便宜上同じ『カミナリ』と呼ぶことにした。ハチワレの方は、一応『ハチ』にした。
見た感じ、母猫が育てた二匹の方が体が大きい。この段階では、私が負けている。でも、勝負はこれからだ。
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近況ノートに、当時の子猫の写真をアップしました。ご覧ください。
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https://kakuyomu.jp/users/windrain/news/16817330647996901676
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