第五章 言い忘れたハッピーバースデー

第1話 MAISON DE QUAD 403号室にて

 目が覚めたのは昼過ぎだった。電話の途中で寝落ちして、そん時うつ伏せんなって寝違えた。首痛え。


 スマホ……、どこいった……? 


 やっぱ透明カバーはダメだな。スマホ白いからシーツと同化して見失う。今度黒いの買う。


 布団に飲まれたかと思ってバサバサやってみたけど、見つかんねえ。マジどこだ? くそー……、と思ったら枕の下に埋まってた。


 そーいや、なんかポロンポロンうるせーから枕の下に突っ込んだ覚えがある。どうせ常葉だろうな。あいつ、怒ってっかな。何がそんなダメなのかわからん。ちゃんと義理は通したってのに。新着メール21件。


 多いな。


 うげ……、なんだこの呪詛みたいなやつ。


 俺の受信ボックスを呪うなよ。




 この調子じゃ起きたとか連絡したら面倒くさそうだな。ブッチすっか。


 ……違った。ブッチじゃない。常葉はブッチって言ってたけど、ちゃんと「俺は寝る」っつって真紀に代わってもらったし。真紀が了解してないなんてことあるわけな……


 あ。




 ま、いいや。あとで考えよう。


 とりあえず着替えっか。


 今日外暑そうだから黒のTシャツにする。

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