第四章 ある日曜日の数合わせ 後編

第1話 MAISON DE QUAD 306号室にて

 眠りが浅かったせいかもしれない。いつもは寝たら朝まで起きないのに、深夜の着信音で目が覚めてしまった。


 スマホの時刻は3時台。通知にメール2件。連絡手段に未だメールを使っていて、こんな時間に送ってくるやつは、私の知る中で一人しかいない。


 神木深月。私の幼馴染で、いけ好かない男。私がどんなに努力しても勝てた試しがない。こっちが必死に追い越そうと全力で走っても余裕の一歩でかわされてしまう。まるで兄が妹をからかうみたいに。いつもいつも。小学校も中学校も、入試もこの前の中間テストも。いい加減腹が立つ。


1件目「3時21分きぼうが見えた。誕生日おめでとう」 


2件目「今日3人来るからお前も来い。10:30@〇〇駅。俺は寝る」


 本当、いけ好かない。

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