第54話 笑わない男

数日後、首都ミネルヴァに

ルナティア一行とベルジュラックの

遺体を乗せた馬車が到着する。


「あら、綺麗な街並みね。異世界みたい。」

とキョロキョロしながらルナティア。


異世界行ったことないだろう?と

言いながらバーボンとジェニは近づく。


「雰囲気よ、こんなの見たことないし」

とルナティアが言うと

迎賓館のような所、ホテルへ案内をする。


「ベルのはここでするとして、

 鎮魂の儀もここでするの?」と

ルナティア。


「いえ、それは元の首都の方です」

とジェニ。

「あれ?コルンは?」と後から来た美香は

言うと


「あぁ、向こうで一生懸命働いているわ。

 ああみえて、有能なのよ。ちょっとした

 雑務をお願いしたわ。」


「おい、人の所の人間を使うんじゃねえ」

とバーボンは言う。


「ずるいわよ、あんたのとこだけ

 人があつまってるじゃないの」と

ルナティアが言うと

「お前の所はウチの十倍以上

 いるじゃねえか。国務できるの」と

バーボンが言う。


そこじゃないのよね、わかってないわ。

あんたは昔から。とため息をつきながら

ルナティアは小さくつぶやく。


美香は何かニヤニヤしながら聞いている。

「そこじゃないわ、父様。」と。


ルナティアは美香を見て

「なんか勘違いしていない?」と

ルナティアは言うが少し声が上ずった。


「まぁ確かにコルンは使いやすいしな。

 何気に頼んだことを上手くやって

 くれるからなぁ。ああいうのが居ると

 仕事がうまく行くんだよな。」

とバーボン。


だからそこじゃないって。と美香。

「そんな事話に来たんじゃないわ」

とも言うと


今母様がおばあちゃんを受け取ったわ。

埋葬場所は希望さんの隣でいいのよね?

それを聞きジェニは

「勿論だよ。本当は生まれ育ったところが

 いいとは思うけどね」と言う。


「あぁ、その事なら母様が言っていたわ」

と美香は言うと続ける。


御婆ちゃんの生まれた所は今はもう

廃墟の街になっているからここでいいと。

後で髪の毛でも届けると。


「そうだったわね、ベルはアクイの生まれ

 だったわね」と何かを含むように

ルナティアは言う。


そう言えば他の国の要人とか呼ばないのね。

とルナティアは聞くと

身内の、家族に連なる者だけで

行うのよ。と美香。


「じゃあ私はお留守番するわ。終わった後に

 献花だけをする」とルナティア。


「気を使ってくれて、すまんな」と

バーボン。



その頃 埋葬場所


「ばあちゃん。昔から言っていたよね」

とベルに話しかけるウォッカ。


私が死んだらその辺に、捨てちまえ。

その辺に埋めて花でも一凛置いときな。


「残念ながらできなかったわ。ごめんね。

 でもこっちの方がいいと思うわ。

 いつでも会えるしね」とウォッカ。


ばあちゃんのその願いは私が引き継ぐよ。

私もジヴァニアに言うよ。

「私が死んだらその辺に捨てちまえ。」

ってね。と微笑みながら涙を流す。


だから安心してここで眠ってね。


そして翌日


ベルジュラックを埋葬し

各々が花を捧げる。


「向こうでは母ともどもお世話に

 なりました。今の俺があるのは

 ベルさんのおかげです」とジェニ。

そう言い花を捧げる。


「偉大なる精霊使いベルジュラック。

 安らかに」

そうバーボンは言い花を捧げる。


「おばあちゃん。今までありがとう。

 むこうでの生活楽しかったわ」

と美香も母を捧げる。


ウォッカも花を捧げる。

やさしく、微笑み。その光景に

全員が不謹慎だが見惚れる。


「まるで聖女だな。」とバーボン。

いや、地母神か。こりゃ本物だ。とも。


そしてウォッカは魔方陣を描きく。


「まぁ各国に通達したんだ。

 多くの者が参拝に来るだろう。

 その時は頼んだ」とウォッカは

バーボンに向かって言う。


そうだな。とバーボンは言うと

今日は泊っていくだろ?と。


「そうだな、御婆ちゃん、ベルを

 肴に飲むか」とウォッカは言うと

全員が「そうしよう」と言う。


皆を呼んでバカ騒ぎでもするか。

とウォッカ。


解散する前にウォッカは付け加える。

「ルナティアも呼んでくれ」と。

全員が固まる。「さ、再戦だ」と。


「しないわよ。」とムッとしながら

ウォッカは言う。


全員がホッとするが・・・。

この飲み会が「伝説の飲み会」と

言われる事をこの時誰も知らなかった。


場所は黄の国 首都コニャックの部屋


「こんなものか」と何かを書き終え

ため息をつくコニャック。


それを手に取り見るマルチネは

「厳しいわねぇ」と言うと

コニャックは反論をする。


何処が厳しいのだ。当たり前だろう。

貴族は清廉でなくてはならない。

だからこそ上に立つことが出来る。


民衆もそうだ。

ただ何となく生きるのではだめだ。

国の為に勤労をしなければならない。

それで初めて恩恵がある。


あぁ、なるほどね。とマルチネは言うと。

この恩恵凄いわね。とも言う。


「当たり前だ。真面目に働く者が

 バカを見てどうする。働かない者と

 働く者を一緒にしてどうする。」

と呆れたようにコニャック。


でも働きたくても働けない者は?

とマルチネ。


状況によるが。

とコニャックは前置きをし。


仕事はいくらでもある。

汚いとか汚れるとか、キツイとか。

そんな寝言言わなければな。


病人とかは直るまでは面倒を

国が見る。しかし、働けると思ったら

働いてもらう。


そういったモノを見極めるのも

貴族の役目だ。


その貴族を見極めるのは俺の役目だ。

「そうそう、あんたも働いてもらう」

とマルチネを見ながら言う。


「あらま、どんなことをすればいいの」

と微笑みながら言う。


とりあえず、収賄や賄賂を撲滅させる。

その後に外交だ。

そしてそれが終わったら・・・


そこまでコニャックが言うと

「大忙しね、私」と笑うマルチネ。


「特に外交だ。俺は、アレだからな。」

とコニャックは言うと


「そうね、貴方はアレだからね。

 もう少し笑えばいいんじゃないの?」

とマルチネ。


「俺は俺に対して一番厳しくしている

 つもりだ。笑う暇はない。」と答える

コニャック。























 














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