第51話 口撃の始まり

一週間後


「なんか言われたとおりになっちまったな」

とサボルチの街並みを見ながらボルドー。


当初の増税は魔獣を討伐する為の

一過性なモノである。

今後は元の通りとする。


更に今回被害のあった者については

半年間の納税は免除とする。


その勅使が国中に広まったのだった。


「悪いのは全部魔獣のせいか」と

テージョは言う。


お前はミネルヴァに帰るのか?と

ボルドーはテージョに言うと


「いったんは戻るが・・・。

 ベルジュラックの葬儀に顔を出して

 そして旅に出るよ。

 ジェニには言ってある。

 私は武器を探しに行く。このままでは

 だめだ。」とテージョが言うと


「それ以上は強くならんでいいだろうに」

と呆れたようにボルドーは言う。

「まぁ、でも武器の差だな」とも言う。


「棍の神器か?」とさらに聞くと

テージョは

「神器とかどうでもいい。兎に角

 強い武器だ。最悪、作る」と。


じゃあな、とハジメに借りた馬に

乗るとチェスキーも馬に乗る。

そして走り去る。

「じゃあ、お先に」と声をかけ。


「なんか俺、お留守番が板についてきたな」

と空を見上げながら言うと


「眩しいな、おれも国に帰って

 部屋に引きこもるか」と

言いながら建物に入っていった。


犬人族と猫耳族はサボルチに残り

破壊された街を直す手伝いをしている。

何気に住民たちと仲良くなっている。


鬼人族はいつのまにかに居なくなっていた。

「あんまり人間の街に居たくないんだろうな」

とエルセブンは釣具屋の主人と話をしている。


「助かったよ。」と店の主人が言うと

「ここがなくなったら大変なことだ」

とエルセブンは釣り糸を注文しながら言う。

「あ、7号ね。200メートル。」と。


「俺達は外見で判断していたんだろうなぁ。

 本当に、真剣に話してみると

 みんなすごくいい奴だった」

と店の主人たちは亜人たちの事を言う。


「今度は何処へ行くのかね」と店の主人。

「そうだなぁ、当てもなく行ってみるよ。

 その方がまだ見ぬ魚と会えそうだ」

と笑いながら店を出る。


ウォッカとジヴァニアは

紫の国の首都ミネルヴァに向かう。

ベルジュラックの葬儀の為に。


道中に青の国から出発していた

ベルジュラックを乗せた馬車と

合流する。

2台の馬車の前に10騎と後ろには

200ほどの騎馬隊が続いている。


「なんでてめえがいるんだよ」と

一つの馬車の扉を蹴飛ばすウォッカ。


「うるさいわね。いいじゃない、ついでに

 あの国で前に言っていた鎮魂の儀も

 一緒にやっちゃうのよ」

と中からルナティアの声がする。


「なんでお前がするんだよ。」と

聞くと、ルナティアは

「母様は色々と忙しいみたいよ」と

答えると

走りながらも扉を開けるルナティア。

扉がウォッカに当たる。

「あら、居たの。ごめんなさいね」と

いいながら扉を閉めるルナティア。


「やばい」と言うと美香が二人の間に入る。

「私は先に行っておく。チッ」と

ウォッカは言うとケツアルカトルを飛ばす。


「もっと仲良くできないかなぁ」と

ため息をつきながら美香は言う。

「これでも仲良くしているのよ」と

中から声がした。


所でコルンは?と美香が聞くと

先に首都に向かわせているわ。と。


「コルンとルナティアって、なんとなく

 仲がいいわよね。」と突然言う美香。


「まぁたまに飲みに行くわね。

 私を背負う係ね」と笑うルナティア。


美香は何か考え込むように

斜め上を見る。

「それって・・・。」と言いかけるが

まぁいっか。と話を止めた。


「私も先に行っとくわ」と

言うとアドラメレクを飛ばす。



そして場所は黄の国の首都に移る


長い机を挟み

ハジメとコニャックは向かい合っている。

ハジメの横にはジェニエーベル。

コニャックの横にはマルチネ。


ハジメの後ろには

リスボアとソミュール、そしてルエダ。


コニャックの後ろには

多分、エンドであろう傍使いと貴族が3人。

そして騎士のような鎧を付けたものが3人。


コニャックは言う。

「魔獣討伐に協力してくれて

 ありがとう。さすがハジメさんだ」と。


全員がハジメを見る。


「何を寝ぼけている。

 お前が魔獣を使い、街を

 襲ったんだろうに」とハジメは言うと。


「俺は続けていいぞ?」と

コニャックは言うとさらに続ける。


この国全土に広がるぞ。戦乱が。

俺は金を使い、この選挙に勝利した。

勿論魔獣も使った。


それは元々、金を使いなんでも出来る

国にしたお前のせいでもあるだろうに。


なぜお前が頭領の時に

そう言った事を禁止にしなかったのだ。

そもそも、暴動だぞ?平民の。


金もだが、気に食わなかったら

力で行使する。


「自分たちは弱い」と勝手に思い

意に反することが起こったら

暴動でも何でもする。


虐げられている。

無理な取り立てがある。

差別されている。


それが民衆の言い訳だ。

「だから暴動を起こしてもいい」

と勝手に思い込んでいる。


だから平民派は嫌いなんだよ。

卑屈だ。


国の方針に異論があれば

手続きを踏み、

訴えればいいじゃないか。


そこまでコニャックが言うと

ハジメは反論をする。


「手続きを踏んでも

 不正に寄ってもみ消される」

そうハジメは言うと続ける。


今回の選挙の結果はどうなんだ。

全ての街が貴族派が当選している。

おかしいだろう!普通に考えて。


票を数える者が明らかに

買収されている。

貴族派によってな!


コニャックは反論する。

「それがどうした。だから

 言ったろう。金でどうにでも

 出来る仕組みを作ったのは

 お前だ。ハジメ」と。


何に対して弱いんだ?平民派は。

金持ちにか?嫉妬か?


勿論、親の財を引きつぎ

苦労もなく裕福な暮らしをしている

者達もいる。しかしな、


その親たちは

自分の子の為にと一生懸命働いて

財を成したんだ。

子供が苦労をしてはいけないと。


無論、ただ単に働くだけじゃ

ダメだろう。しかしな、

「どうやったら金が貯まるか」を

考え、考え、そして考え。

そうやって貯めるんだよ。


何かの投資にしろだ。

失敗もするだろう。負債も抱え

首が回らない者もいるだろう。


しかし、それでも考えて

金を貯めるんだよ。子供の為に。


まぁ、子供はいいだろう。そう言った

親を見て育つからな。孫はダメ

かもしれない。


しかし、それがなんだ。

いいじゃないか。子孫代々

金に苦労をせずに暮らすために

そいつは頑張ったんだ。


「だからと言って悪事に

 手を染めていいのか!」と

ハジメは言うが・・・。


コニャックは笑う。


























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