第50話 同じ母と子
「今なんか飛んで行ったぞ!」と
チェスキーはテージョに聞く。
多分ウォッカさん達だろう!
くっそ!一緒に戦いたかったな!
と言いながらテージョはバイクを飛ばす。
そして北門をぶち破る
ウォッカと美香。
目の前に既に怒り狂った
ドラゴンが居た。
「何故、温厚な
ウンディーネドラゴンが」と
ウォッカはつぶやくと
「母様!あれ!」と美香は
子供のドラゴンを指さす。
「やりやがったな!糞が!」
とウォッカは言うと、さらに
「ジヴァニア!子供のドラゴンを
檻から出せ!」と指示をすると
ケツアルカトルから飛び降りた。
ウォッカはドラゴンと対峙をする。
しかし、剣を構えてはいなかった。
ドラゴンは右腕でウォッカを
力いっぱいになぎ倒す。
ウォッカはガードを取りながら
転がっていく。
「すげえな、婆ちゃんの装備は」
と言いながら立ち上がる。
「母様!」と美香は慌てるが
ウォッカは「兎に角、檻から
子供を出せ!」と言う。
ドラゴンが冷気のブレスを吐く。
ウォッカはマトモに受けてしまう。
「マジでこの装備じゃなかったら
死んでるぞ。ばあちゃん。」
と言うとウォッカはそれでも
剣を抜かずドラゴンに向かっていく。
「母様!檻から出した!でも
けがをしている!」と美香は言うと
「可能な限り直せ!ありったけの
薬を使え!」とさらに指示をする。
美香は言われたとおりに上級の
回復薬を子供のドラゴンに
ぶっかけると意識を失っていた
そのドラゴンは目を覚ます。
「大丈夫だった?」と美香は言うが
子供のドラゴンは美香の腕を噛む。
激痛が走るが、美香は歯を食いしばる。
その時に美香の目が青く光る。
「大丈夫。大丈夫よ、もう。
痛いわ、放して?」と
激痛に引きつりながらも
優しく、ドラゴンの頭を撫でる。
一時してドラゴンは美香の腕から
口を放す。
「ギュウウウウ」と喉を鳴らし
美香を見ている。
「母様!こっちは大丈夫よ!」
と美香はウォッカに告げた。
それを聞いてウォッカは
何色とも言えないオーラを纏う。
そして目が赤く光る。
ウンディーネドラゴンはウォッカを見る。
ウォッカはドラゴンに歩いて
近づいて行く。
ドラゴンは再度、攻撃をしようと
するが、その時ウォッカは語り掛ける。
「すまなかったな。子供は助けた。
私の娘が治療もした。」
そうドラゴンに語り掛ける。
「引いてくれないか、でなければ
私はお前を倒さなければならない。
私はお前の子が悲しむことをしたくない」
と赤い目のまま優しい微笑みをする。
更にドラゴンに近づき足の脛の部分に
ゆっくりと注意深く、手を当てる。
「頼む、引いてくれ。」と再度
お願いをするウォッカ。
ドラゴンは美香とわが子を見る。
一緒に居ることを確認する。
わが子が無事で美香と触れ合っている
事が解ると
二人に近づき美香の顔の前に
その母ドラゴンはデカい顔を近づける。
数秒後ドラゴンは自分の子供を
手に取り両手で抱える。
そして飛び立っていった。
「こ、こわかった!」と美香。
でもよく説得で来たわね、母様。
とも言うと、ウォッカは。
「そりゃ、お前と私が雰囲気だして
対峙したからな。私達が何者か
察したんだろう」と笑う。
いいか?ジヴァニア。ドラゴンは特殊な
存在だ。エアストやエンドとは無縁だ。
しかし生きる者としては私達と
同じだ。子を産み育てる。
子供に危害が加わると助ける。
・・・それだけさ。
そして二人はハジメたちの元に向かう。
「久しぶりだな、ハジメ」とウォッカは言うと
ハジメは起立をする。
「お、お久しぶりです。」と緊張気味に言う。
「で、このまま首都に行って
相手をぶっ飛ばせばいいのか?」と
ウォッカは言うと
「勘弁してください!首都がぶっ壊れる!」
とマジでいっちゃうハジメ。
もう、この争いは終息します。
エンドのシナリオ通りに。とハジメは言う。
ウォッカは「チッ」と言いながら
「エンドめ、余計なことを」とも言った。
そこに居た全員が思う。
「暴れたいんだな」と。
「だったらさ!この近辺の魔獣討伐
をお願いしたら?」とリスボア。
ウォッカの眉がぴくっと動く。
「しかたないな、任されよう。
全部の街を回ればいいんだな?」
と言うウォッカ。
「絶対に、仕方なくではない」と
全員が心の中で呟く。
「よし!行くぞ!ジヴァニア!」と
ケケケと笑いながら颯爽と出て行く。
美香も「じゃあね」と手を振りながら
後をついて行く。
「心配だ」とハジメはつぶやくと
ボルドーは、大丈夫でしょう。
ウォッカさんと美香さんだ。
と言うが
「心配なのは街の方だよ!」と
ハジメは言うと全員は沈黙し
納得した。
「とりあえず任そう。俺達は
予定を変更してサボルチで
やれることをしていこう」
とハジメは言うと全員は頷く。
全員は思う。
「首都で何かあったんだな」と。
そして3日後、黄の国の全ての
街から魔獣が消える。
ジェニは一番遠くの街に居た。
魔獣を全て片付け呟く。
「悲惨だな」とボルドーに言う。
「そうですねぇ」とボルドー。
サボルチに帰ろうとする二人に
貴族のような男が近づく。
「この街は私達が必ず復興させる」
と言うと深く礼をする。
二人はその貴族に向かって言う。
「こんなことをしてよく言えるものだ」
とボルドー。
「いや、先に暴れたのは人間だ。
どっちもどっちだよ」とジェニ。
「先に仕掛けたのは総統だ。
本当に申し訳ない」と
その男は言うと続ける。
あの方は正義感が強すぎたのだ。
色々な街で起こる犯罪や不正、
差別を憎んでいた。
我々は階級を作っている。しかし
それは差別を産まない為だ。
上の者がしっかりと下の者を守る。
実直すぎて刺されたんだろう、「魔」に。
そう男は言うとジェニに向かって言う。
「あなたもコニャック様のような、
あの方が変わった時のような
危うい気配がある。似ている。
気を付けてください」
そこまで言うとその男は去っていった。
「久しぶりにみたぞ、あんな真面な
貴族を」とボルドーは言う。
そして横目でジェニを見る。
ジェニは空を見上げ
「帰ろう・・・。サボルチへ」と
ただそう言うとバイクに乗り
走り出した。
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