第48話 コニャックとマルチネ

「ほう、コニャックを刺した

 魔が抜けていく、これは

 興味深い」とエンド。


俺はハジメに嫉妬した。あいつも

貴族だった。それなのに

13人衆と言う立場を有効に使い

国を運営していった。


そして貴族を廃止しようとした。

必要がないモノとして。


俺達が要らないモノと言われた気がした。


俺は貴族として立場を全うしてきた

つもりだった。


「あぁ、確かにあなたがいた街は

 素晴らしかったですよ」とエンド。


俺はこの国を見た時に憤慨した。

何故みんな、俺がやっている通りに

出来ないんだと。


ならば俺が教えればいいじゃないか。

しかし、どうにもうまくいかなかった。

全員が全く話を聞かなかった。


ならばと思い、金を使った。

そしたらどうだ、全員が尻尾を

振り出した!この俺に!


俺はソレに懸けた。そして

どんどんうまく行っていく。


ならばこれでいいじゃないかと

思うようになった。

今でもそう思うよ。金を使ったのは

間違いではないと。


エンドとマルチネは黙って

コニャックのいう事を聞いている。


そして一気に決めようと思っていた

所に変な魔獣を持ってきた男が居た。


その魔獣は人間の体内に入り込み

人間を狂わす力があった。


金を使うよりも効率が良かった。

あんな小物を使ってしまったのは

貴族として汚点だった。


しかし、やり方はどうであれ

結果として貴族派は選挙に勝った。

そして俺はハジメの匂いを消したかった。


だから13人衆の上に総統の席を

置いた。


そうなるともう、自分の思うがままに

何でもできた。

何をしても問題が無いとも思い出した。


俺は強い国にしたかった。

この国には雇われ兵士しかいなかった。

貴族すら腰抜けばかりだった。


だから魔獣を使った。意思を持つ魔獣。

俺は人間を使った。


今でもなぜそんな事をしたか

よくわからない。


「それはもうなかったことにしましょう」

とエンドは笑う。そしてエンドは感じた。

(完全にコニャックを刺した魔が消えた)と。


「残念ながら私は人間を眷属としていない。

 人間達は金と言うものを自ら選んだんだ。

 それも自業自得ではないのか?」

とマルチネを見るエンド。


「魔獣と統合した人間は皆、金を

 受け取っている。」


「お前の国でも言えない事の

 一つや二つあるだろう」とエンド。


「私には裁く事は出来ないわ。

 そう言った資格もないしね。」

とマルチネはため息をつきながら言う。


「一つだけ聞かせて?」とマルチネ。


魔獣と統合をすると本人たちには

言ったの?


「言った」とコニャックは真剣に答える。


「相当金を積んだのね」とマルチネ。

「あぁ、そいつの家族が一生遊んで暮らせる

 金だ」とコニャック。


「あんた、よくそれだけの金をよく

 持ってるわね」とマルチネ。


「金を使えば金は増えていくんだよ」と、

知らないの?と言う顔で言うコニャック。


「そして金はどこかで補充されている気がする」

ともコニャックは言う。

紫の国の奴らが換金していくがアレは多分

偽造だ。しかしそれはちっぽけなものだ。


絶対に金を回しているヤツがこの世界にいる。


「ほう、それは興味深いね」とエンドは言う。


「あ、興味深いと言うのはキミが

 その事に気づいた事がだよ」とも言った。


やはり君は面白いよ。是非とも

マルチネとこの国を作ってほしいものだ。

そうエンドが言うとコニャックは

マルチネを見る。


「俺はあんたには跪かない。

 しかし協力はしてほしい。」とコニャック。


マルチネは呆れたような顔をしたが

「今は只のおばさんだしね。」と言うと


ルナティアはとても聡明な子だった。

苦労をしたことはないほどに。


「あんたみたいなバカな子を持つのも

 面白そうね」と言うと、さらに

「握手なんてしないわよ」と笑いながら

マルチネは言う。


「これだから人間は面白い。」とエンド。


私とエアストの均衡もだが

国同士の均衡も面白そうだな!



「忘れていた。サボルチに向かった

 ドラゴンは止められないぞ」と

その事を思い出すコニャック。


それは問題ないでしょう。本当に。

そしてウォッカたちに各街に行った

魔獣も討伐してもらいましょう。


と笑いながらエンドは言った。


「もう一つ、今回の事、そして

 これからの事、ハジメは

 納得しないだろうな」

とコニャック。


「納得してほしいのか?」とエンド。

「いや?それはないが。」とコニャック。


お前を私の眷属に、魔族にしてやろうか?

とエンドは突然言う。が、コニャックは


「俺は貴族だ。そんなものにはならない」

と堂々と言う。


じゃあ私はサボルチに行って

説明して来るよ。とエンドは言うと

傍使いの体が倒れ込んだ。


「まさかエンドだったとは。今になって

 体が震えている」とコニャック。

「本物はあんなもんじゃないわよ」と

マルチネは笑う。


「あなたなんか、顔つきが変わったわね」

とマルチネは言うと。

「変わってない。」と不貞腐れながら

コニャックは言う。



そして場所はサボルチ


「ジェニ君、話がある」とそれは

いきなりだった。


いきなり幻影が現れ言葉を発する。


ユキツーが固まる。

その他の者はその異様で

ナニカを圧迫するような気配に

武器を取る。


「無理だよ。私は今は只の影だ。

 倒すことも攻撃を当てる事も出来ない」

とその幻影は言う。


「私はエンド」とその影は名乗る。

全員が聞く耳を待たないが

ユキツーとハジメは反応する。


「多分、本物だ」とハジメ。

「多分じゃありません。本物です」と

ユキツーは言い切った。


「ちょっと話をさせてほしい」と

エンドは言う。


全員が固まる。というか

どういった行動をとればいいのか

考えられない状態だった。

全員がジェニを見る。


ジェニもそれが本物と感じたのだろう。

「わかりました。ききます。」と言う。



そうジェニが言った事に対して全員が驚く。






















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