第46話 魔獣討伐完了

「残り30~40ってとこでしたよ。

 魔獣の数。領主もつかまってるし。」

と傍使いはムクッと起き上がり言う。


コニャックは目を見開く。

「ほ、本当なのか!上級魔獣だぞ!

 それにランクA以上の冒険者を

 統合させたんだ!」


「あなたが行かれては?」と

傍使いは言うと


「行けるか!」と感情をあらわにする。

コニャックは考える。考えている。


「あなたはこの国を、理想の国に

 したいのですよね?」と聞き

傍使いは続ける。


であるならば、サボルチを捨てる

べきです。このまま戦乱が広がれば

徐々に旗色が悪くなりますよ?

そもそも貴族派は嫌われているんです。

貴方もそれを知ってるでしょうに。


平民派は「お金」について

文句を言ってるんです。だったら

そこを元に戻せばいいじゃないですか。


お金あるんでしょう?貴方。

一気にするんじゃなく、徐々にで

いいじゃないですか。


人間なんて、そうすれば慣れていきます。

「しかたない」とか言いながら。


「それは負けたことになるじゃないか!」

とコニャック。


違いますよ。方向転換なだけです。

今すぐに出すのです。

「いったん取りやめて税は

 そのまま。」ってね。


お金もいったん国に納めさせるのです。

いいじゃないですか。逆に。

貴方の息のかかった所に存分に

振れますよ?「お金」。


逆にその方がいいような気がしますがね。

ハジメは戦闘を嫌っています。

「争いが起こらなければハジメは

 とやかくやってきませんよ」と。


「サボルチを捨てるとは?」と

コニャックは聞く。


「そうですねぇ、青、いや紫に

 あげましょう。国主も戦闘に

 参加していたし」と傍使い。


「内政干渉じゃないか!」とコニャック。


内政干渉も何もジェニエーベルは

取るつもりで来ていますよ?国を。

今なら1つの街で済みます。


「因みにこの首都に居るアノ小さな

 魔獣。アレを押さえているのは

 ジェニエーベルです。」とも言う。


もし私の言うとおりにするのであれば

私があの小さな魔獣を消滅させますよ。


ゆっくりと、ゆっくりと固めて

行くのです。あなたが総統として。


サボルチ一つで何事もなかったように

出来ますよ。

そしてあなたは10年後、この大陸の

「覇者」だ。と傍使い。


その「覇者」と言う言葉に反応する

コニャック。


「ドラゴンはどうする・・・。」

既にあの街の近くまで行ってるぞ。


「大丈夫じゃないですかね」と

傍使いは言うと


アイツらよりさらに強い者が

向かっています。どうにかしてくれる

でしょう。とも、笑いながら言う。


「サボルチの中の魔獣は?」と

コニャックは聞くと


「そんなもの知らない」とでも

言っとけばいいじゃないですか。


「やっぱり軍隊は人間がいいですよ」

と傍使いは笑いながら言う。


「わかった。すぐに勅令を出す。

 他の街にもだ。俺は絶対に

 この大陸の覇者になってやる」と

コニャック。


うなずく傍使い。

「じゃあ私は首都全体に勅令を

 出してきますね」と部屋を出て行った。


「そ、そうだ。私は今まで

 うまく行き過ぎていて調子に

 乗っていた。冷静に分析をするのも

 貴族だ」とコニャックは言う。


「とりあえず、この国が亡ぶのは

 なくなったな。滅んでもよかったが

 これ以上、負の感情が出ては

 たまったもんじゃない」と傍使い。


エアストが真面な状態ならば

こうもならなかったか・・・。

いつになったら均衡が保てるんだよ、

まったく。


そして、総統の勅令をもって

各街に早馬が行く。



一方、サボルチでは


ほぼ全ての魔獣が討伐されていた。

それはそうだ。今回の戦闘は

個々に自由に動けているのだ。


先ほどは他の者に目を配り、

気を配りながら戦っていたのだから。


「ユキツー!魔獣はどうだ!」と

ボルドーは言うと


「もういない。残り少し本陣の

 所にいるくらいだ。まぁそれも

 かたずくだろう」と答える。


「メスカル!魔獣の気配はある?」と

ソミュールは聞くと、その幻獣は

立ち止まりソミュールにすり寄る。


「そうか、いないか。本陣に戻ろう」

とメスカルを撫でる。


本陣では民衆を守りながら

エルセブンが奮闘している。というより

一方的に魔獣を倒していた。


ジェニ達が合流し、全ての魔獣が

討伐された。


一時後、全員が本陣で合流する。

「貴族派の者達は多分、他の街に

 逃げて言った」とボルドー。


結構な人間が街の外に出たのを

ユキツーが見た。とも言う。


「吸血族と犬人族は大変だろうが

 もう一仕事してくれ。」とハジメ。


町全体を見て回ってくれ。と。

合計100人ほどの者が街に散っていく。


ハジメたちは建物に入り今後の事を

話し合う。


「このまま他の街も開放して回る?」

とテージョは言う。

「今は無理だ。こちらも疲弊している」

とハジメ。


「多分もう、抵抗している者は

 全滅しているでしょう。一気に

 首都の方がいいかもしれません」

とジェニ。


「親玉を捕らえるのか。」とボルドー。

「いや、話し合いを持ちたい。」とハジメ。


全員は絶句する。が、

「まぁ、総大将が言うのじゃ仕方ないな」

とジェニは笑う。


皆はヤレヤレと言った表情を見せる。


一時して他の者と一緒に巡回に出ていた

ユキツーが戻ってくる。

「もう魔獣の姿はいない。敵対していた

 兵士たちもいなかった」と伝える。


「この街をどうするつもりですか?」と

ジェニはハジメに問う。


「そうだな。黄の国で浮いちまったな」

とハジメは言い

何処かの国に拾って貰う方が

いいかもしれないな。とも言う。

「まぁここの民衆次第だな」


一方、サボルチ近郊では

荷車にドラゴンの子を乗せた

冒険者たちが慌てながら馬を走らせる。


「なんだよ!只の輸送じゃなかったのかよ!」

と一人が言うと

「さっさとサボルチに捨てるぞ!

 こんなもの!俺達が死んじまう!」


すでに肉眼で親のドラゴンが見えている

距離となっていた。























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