第45話 コニャックの傍使い

「そういえば」とジェニは

ハジメに話しかける。


先ほどの戦闘で魔獣を倒した時に

煙となりましたね。


「そうだね」とハジメは言うと

多分、魔獣に人を統合したのだろう。

まぁどちらも・・・。あれだ。

とため息をつく。


領主の屋敷の近くに来ると

魔獣たちがその辺りを闊歩していた。


ジェニ達はそれを意に介さずに

どんどん近づいて行く。


魔獣たちは戦いの構えはするが

襲ってはこない。

「戦う意思のないモノは引け。

 無益な争いはしたくない」

なんとハジメは魔獣に向かって言う。

その声を聴き魔獣は・・・。


ジェニ達に襲い掛かる。

「残念だ。」とハジメは言うと

持っていた斧を振り、魔獣を両断する。


それは鬨の声となり戦闘が始まる。


ジェニは最初から神器を使う。

完全に近い守りを発動する。


ソミュールが描く魔方陣に

チェスキーが補助魔法をかぶせる。

ジェニは確実に1匹づつ仕留める。


一刀両断。

ものの数十秒で10匹ほどを葬る。


「やっぱ強ええな、うちの大将は」

とテージョは言いながら薙刀を振る。

テージョが撃ち漏らす敵を

ソミュールが魔法でとどめを刺す。


「身体的な差とは思いたくないな。

 武器の差と思いたいな。」

とテージョは唇をかむ。


リスボアとルエダはコンビを組む。

ルエダが敵を止めリスボアが仕留める。

力量はルエダが上だがリスボアに

トドメの重い攻撃をさせているために

効率が良い。


たったの1分ほどで魔獣の数が

半数になるが・・・。

「残りの魔獣は何処へいった!」

とハジメは斧を振りながら言う。


魔獣の数が少ない。


「ジェニ!屋敷に踏み込む!

 他の者は踏ん張れ!」とハジメ。


ジェニとハジメは屋敷に飛び込み

階段を駆け上がる。

「屋敷の中にもいない!」とジェニ。


領主の部屋と思える場所に着くと

そこには震えて腰をついている

貴族が居た。


「こ、降参する!俺は本当は

 こんなことしたくなかったんだ!

 信じてくれ!」と涙を流し言う。


ジェニは領主を拘束し

「本陣に戻って話を聞きましょう。

 それの方がいいかと」と言うと

ハジメも納得をする。


ハジメたちと貴族派の戦いは

非常に呆気ない幕切れをしたが、

戦闘は続いている。


「領主は捕らえた!魔獣も引け!」

とジェニは言うが、そもそも

聞く耳を持っていない。


「ここが陥落、というか私が

 捕らえられたら無差別に殺戮を

 指示されているはずだ」と領主。


「なんでそれを早く言わない!」

ハジメは憤慨する。


ハジメたちと戦った魔獣は約40。

残りが無差別攻撃をする為にいなかった

のだろう。


「無理だ。町全体を守れない」と

ハジメは嘆く。

「やるだけやりましょう」とジェニ。

「そうだな」とハジメは拘束した

領主をほっぽり階段を下りていく。


「無差別に町全体に魔獣が居る!」と

ジェニは言うと


「左に行く!メスカル!」とソミュールは

メスカルに乗り走り出した。


「俺は右に行く!」とボルドー。

が、足を止める。


「既に戦闘が始まっている。

 誰だ、誰が応戦しているのだ」と

ボルドー。


青い閃光が

いくつも空から降り注いでいる。

「とりあえず向かう!」と

ボルドーは走り出す。


テージョとリスボア達は

ここをかたずけてくれ!と

ハジメは言うと


元居た場所に走る。

「乗ってください!」とバイクを

取り出し準備をしていたジェニ。


その頃 黄の国首都 総統の部屋


「よくあんなモノを準備出来ましたね」

と傍使い。


あの街は、サボルチは徹底的にやる。

反旗をあげた奴の末路を見せてやる。

コニャックは言う。


苦労をしたよ。やはりドラゴンと

言っても子を取られたら怒るのだな。


「ドラゴンの子を捕らえサボルチに

 向かわせている」と傍使いは頭を

描きながら言った。


本当はアースドラゴンくらいを

使いたかったんだがな。

と笑うコニャック。


「まぁでも魔獣たちが殲滅している

 だろう。」とコニャックは言う。

200匹近く準備したんだ。


今頃は魔獣たちで街を占拠している

頃だろう。取りあえずサボルチの

外で待機だな。ドラゴンの子は。


この時まだコニャックは

領主が捕らえられたことを知らない。


「上手くいってるといいですね」と

傍使いは不敵な笑いを浮かべ言う。


「私見て来ましょうか?状況を」と

傍使いは言うと

「この距離であれば5分もあれば

 行けるでしょう」そう言うと

傍使いは死んだように倒れ込んだ。


化け物め。あいつは何が目的だ。

まぁしかし、今は仲間だ。

使ってやる。俺の駒にしてやる。

そう言うとコニャックは

机を拳でたたく。


そして場所はサボルチに戻る。


「こりゃ一方的だな。」と

ナニカの幻影のような物がつぶやく。


「報告した時のコニャックは

 どんな表情を見せるかな」と

笑う幻影。


バイクで移動していたジェニは

鳥肌が立つ。

「な、なんだこの気配。」と。


ハジメも言う。

「何だ、この嫌な感じは。

 昔感じたことがある気配だ」と。


「アレは・・・。ふむ。アレが

 サンテミリオンの息子か。」と

幻影は呟く。

「そりゃこうなるわな、戦況は」と

何か納得をする。


なんだ?ファフニールもいるのか。

ってか何だあの体。かっこいいじゃねえか。

と笑いながら言う。


街の右側で空から閃光を放っていた

モノ、ユキツーは言う。

「ボルドー!とどめを刺してくれ!」


任された!とボルドーはいいながら

動きが止まった魔獣の延髄の辺りを

爪で攻撃していく。


「バーボン様の言うとおりにここに来て

 正解だった!手助けをする!」と

ユキツーはボルドーと共闘する。


その幻影は悩む。

「ジェニエーベルを助けてもいいし、

 コニャックを持ち上げるのもいい。」


「ハジメたちには恩があるか・・・。」

とその幻影は言うと消えて言った。
































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