第41話 開戦
ジェニも焦りながら
「ち、違います!
そう言った意味じゃありません」
と言い返すがテージョとソミュールは
疑いの目をしてヒソヒソと
ジェニを見ながら話している。
「ちがーう!」と慌てるジェニ。
「ハジメさんの言葉、考えが
好きといったんです。これからも
色々と私に教えてください」と
首を垂れてジェニは言う。
「ははは、止めてくれ」と笑うハジメ。
「数はどれほどだ?夜戦は。」と聞くと
約200名ほどです。と答えるボルドー。
「そんなにいるのか!本当に!?」と
ハジメは驚く。
今まさに増えちまったからな。と
鬼人族と握手をするボルドー。
「まだ来るぞ、あの腐った男が
使いをよこしてきやがった。俺に
借りを作るつもりはないか?と」
その猫耳族は言う。
「こんな機会はめったにねえ。
二つ返事したよ、ははは」とも笑う。
「俺もこいつの所に遊びに来ていて
その返信の手紙に鬼人族もな、と
書き込んでやった。ははは」と鬼人族。
「鬼人族・・・。」とジェニは言う。
ミネルヴァと言う女性を知っていますか?
と問いかけてしまう。
「あぁ、知ってるぞ。一度里を助けて
貰った。一緒に宴会もしたぞ」と
方々で声がする。
「俺は一緒に居た坊主と腕相撲をしたぞ」
と一人の鬼人族が笑う。
「それ・・・、俺です。」とジェニ。
「おお!あんときの坊主か!デカくなったな!
そう言えば面影があるな!母ちゃん元気か!」
と聞いてくる。
「いえ、残念ながら死にました。今は
紫の国の首都に安らかに眠っています。」
そうジェニは言うと。
「そうか、すまんかったな。今度
祈りをさせてくれ」とその鬼人族は言う。
「おいおい、もしかしてこいつが
紫の国の国主って知らないのか?」と
ボルドーはその鬼人族に言う。
「まじか!俺達はトンでもねえ奴と
宴会や腕相撲したんだな!」と言うと
「これも何かのめぐりあわせだ!
今度は俺達が助ける番だ!自由に
使ってくれ!」と拳を突き出す。
ジェニも拳を突き出す。
じゃあ編成を行う。ハジメはそう言うと
先陣はボルドーさんが隊長だ。
吸血族70名をそこに編成する。
右陣はジェニ、お前が付いてくれ。
鬼人族30名がそこだ。
左陣はテージョを隊長にリスボア
「いや、リスボアが隊長だ。私は
自由に動きたい」とテージョ。
では左陣をリスボアを隊長に
猫耳族40名をそこに。
中央に私を置く。
ソミュールと残りの吸血族だ。
「ボルドーさん、割り振ってくれ。
こっちもその後に仕掛ける」
とハジメはボルドーに言う。
ボルドーは「まかせろ」といい
外に出る。
「ジェニ、何か質問はあるか?」
とハジメは聞く。
「横並びですか?」とジェニ。
「いや、三角形だ」とハジメ。
右左と言ったが中央も含め
後衛だ。
お前は吸血族の夜の戦いを見るのは
初めてか?とハジメは聞くと
ジェニは頷く。
「圧倒的だぞ。下手に混成すれば
足手まといになる。俺達は
後ろから観察し撃ち漏らして
弱っている魔獣を
確実に仕留めていく」
「だな、それの方があいつらも
動きやすい」と笑いながらソミュール。
「夜襲を退けたら朝まで待つんですか?」
とジェニ。
いや、夜襲が来たらそれを潰して
そのまま進行する。朝までは待たない。
「ジェニ、汚いと思うか?」とハジメ。
「いえ、私達は国を背負っている。
民衆を背負っている。確実に勝つ必要が
あるならば勿論の選択です」とジェニ。
そうだ。守る者を間違えてはいけない。
そうだ、誰か犬人族はいる?とハジメ。
一人が手を挙げる。
貴族派の動きを徹底的に探ってくれ。
これが地図と住所だ。
「任せろ、隠密なら俺達の出番だ。
伝達も任せろ。編成をしてすぐに動く」
そういうと、部屋を出て行く。
「兎に角街から魔獣を出したい。
戦場を街の外にしたい」とハジメ。
「同感です。まだ魔獣が
来るかもしれませんしね」とジェニ。
そうなる前に市街地戦はケリを
着けたい。とハジメ。
「よし、準備するぞ」とハジメは言う。
「行きましょう」とジェニ。
そして二人は部屋を出る。
目の前には綺麗に編成され
整列している部隊があった。
ハジメはそれが当たり前のように
全員の前に出る。
ボルドーも歩きハジメの横につく。
ジェニはちょっと驚き
任された部隊の所に行こうとするが
「ははは、ジェニ君、君はこっちだ」
とハジメは笑う。
少し赤面をしたジェニの腰を叩くハジメ。
「慣れた方がいいぞ?国主」と笑う。
ボルドーは一歩前に出て言う。
「いいか!魔獣は必ず来る!
それを撃退したらそのまま進行だ!
朝までにケリをつける!
各自、与えられた役割をこなせ!
自分な何故その部隊に居るか
考えろ!そして行動しろ!」
ジェニは思う。ボルドーは
ハジメさんが言っていないのに
そのまま進行すると言った。
そして朝までにケリをつけると。
これが指揮官と言うものなのか。
今度はハジメが前に出る。
「巻き込んですまん。しかし、今は
力を貸してくれ。」と目を閉じ
右腕を胸に当てる。
全員が同じ様にする。
ハジメは目を開けて言う。
今まで聞いたことがないほどの
冷静でそして強い言葉で。
「徹底的に殲滅だ。魔獣全ての
息の根を止めろ。1匹も逃すな。」
たったそれだけの言葉で全員の
気持ちがさらに引き締まる。
ジェニは鳥肌が立つほどの迫力を
感じた。
「これがエンド討伐部隊 右部隊の
部隊長の迫力か・・・。」と。
「持ち場につけ!」とボルドーの声が
響くと全員が綺麗な動きを見せる。
「俺達も行くぞ!ジェニ!」とボルドー。
「まかせたぞ!」とハジメ。
そして一時後、犬人族からの
伝令が来る。
「正面!約40匹!来ます!右からも
陽動で10匹ほどきます!」
「俺達5人が補助をする。バンバン撃て。
矢の事は気にするな。」と鬼人族が言う。
「頼んだぞ!」とジェニは返事をする。
何故だろう・・・。この感覚。
焦っているのか、俺は。いや変に冷静だ。
いつの間にかジェニの目が赤く光る。
「見えるもんだな、夜でも綺麗に」
そう言うとジェニは弓を引き矢を放つ。
その閃光は魔獣の眉間を貫く。
「はええな!おい!一番はジェニかよ!
ホレちまうじゃねえか!」
と右に既に移動していたテージョは悔しがる。
青白い閃光が右舷から放たれたのを見て
ハジメは言う。
「開戦だ!つぶせ!」
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