第37話 赤の国の近衛兵

そうソミュールは言われると



リスボア!

あんたここで何やってるんのよ!

と驚きながら言った。


「向こうの区域でも戦闘はあったが

 残念ながら終わってる。生きている者は

 この区域に誘導はしたけど・・・。」


あんた見ない間に大人っぽくなってるね。

とリスボアの頭をワシャワシャとする。


「そりゃ、もう。アスティさんに

 こき使われているからな。この短い間に

 5カ所だ。」と大きく手を広げる。


赤の国の領主同士のトラブルに同行

させられている。その間にいろいろ

教えてもらっていたしな。

特に市街地戦で防衛しながらの戦い。


「こんなに早く実践するとは思わなかったけど」

そういうと苦笑いする。


背も少し伸びた?とソミュールは言うと


「そりゃ、育ちざかりがからね!」と

リスボアは言う。


エナの、婆ちゃんの所に剣を持って行って

アスティ様の指示通り黄の首都を目指して

ここの街によったら魔獣が街で暴れてるし。


あんな魔獣初めてだ。

上級よりも強かった。一人で倒せてないし。

と項垂れながらリスボアは言う。


「十分よ、私も神式魔法でないと

 倒せなかった」とソミュール。


拠点に移動するわよ。とソミュールは言うと

「他の区域は?」とも聞く。

「わかんねえ」とリスボアは言うと

そもそもこの街は初めて来たし。


壊滅した区域を通りながら拠点に

移動する。


拠点の区域の建物に入ると

リスボアはボルドーに挨拶をする。


「赤の国のリスボアです。ソミュ姉、

 いや、ソミュールさんとは知り合いで」


とそこまで言うとボルドーは

「見ていたよ、リスボア君。

 凄い試合だった、男として震えたよ」

とがっちりと握手する。


俺が誘導してきたのは多分30名くらいだ。

それと吸血族が10名くらいかな。

吸血族の人達が居なかったら多分俺も

遣られていた。しかし、

後は助けられなかった。


「良く君のいう事を民衆は聞いたね」と

ボルドーは聞くと


「多分、これのおかげだ」と

胸を指さし


これはアスティ様に渡されたタスキだ。

赤の国の近衛兵のね。

自分の判断で着けていいと言われてた。


「おお、泣く子も黙る

 赤の国近衛兵のタスキか」

とボルドーは言うと

なぜこんなところに?と聞く。


アスティ様から首都に行ってハジメ様を

連れてこいと言われちゃって。

面識もないのにどうしようか考えている。


「あぁ、それはここに居ればもうじき

 来るはずだ。その時に紹介しよう」

とボルドーは言うと続けて。


それまでは協力してくれないか。

今は戦力が欲しい。


「勿論です。」とリスボアは笑う。

その言葉を聞き、知っている情報を

話すボルドー。


敵は・・・、

いや魔獣は戦いになれている。

それに集団戦にもだ。


相手を魔獣と思うな、統率とまでは

いかないが冒険者集団と思え。


ランクS以上とまでは行かないが

それに匹敵する。

個々の能力はSSを超えている。


それが100以上だ。

まぁ報告の数を足しただけだがな。

それ以上くるかもしれん。


「なぜここの街なんです?」と

リスボアは言う。


首都に次ぐ大きな街だからだ。

俺ならば、おれが反乱を起こすなら

ここしかないと思っている。


ならば相手もここさえ潰せば

反乱はおしまいと思っているはずだ。


他の街にはハジメが行くまで

息をひそめろと伝達を走らせている。

まぁ間に合ってないだろうがな。


「あとどれくらいでハジメ様は

 ここにくるんですか?」と

リスボアはメスカルをワシャワシャ

しながら言う。


あまり人になつかないメスカルも

何故か目を細め気持ちよさそうに

している。


わからん。様子見を走らせているが

入れ違いになったのかまだ帰ってこない。


ジェニ達だけならばもう合流しているはずだ。

移民が多ければ多いほど遅くはなる。ならば

それほど移民が多いってことだ。


ああぁ、それと。

魔獣もな、行動の習性というのかな

俺達と同じで、いや人間と同じと思え。


「あぁ、だからこういった小康状態

 があるのか」と何か納得のリスボア。



数日前の青の国 城にて


「ジヴァニアは何処にいる」と

門番に尋ねるウォッカ。


門番は慌てて笛を吹く。

大勢の兵士たちがウォッカを取り囲む。

それと同時に巨大な岩がウォッカの頭上から

落ちてくるがそれを避けるウォッカ。


「人の国に勝手に来るんじゃねえ!」と

声がするとルナティアも頭上から

ふって・・・いや、降りてくる。


「あ!母様!」とジヴァニアも降ってくる。


「てめぇ、なんでジヴァニアを眷属にした」

と眉をピクピクさせて真顔で言う。


「あんたが一番知ってるでしょうに。

 均衡の為よ」とルナティアは杖を構える。


「ジヴァニアでなくてもいいだろうが!」

と剣を抜くウォッカ。


「待って待って!」と美香は間に入る。

ここはなんだからおばあちゃんの所へ

行こうよ。と。


「なんで城に入れる必要があるのよ、

 こいつを」と目が金色のルナティア。


「じゃあ止める。勇者止める」と美香。

そして魔剣をウォッカに渡そうとする。


「ち、しょうがないわね。ついてきなさい」

と何故か物わかりの良かったルナティア。


ウォッカは美香に抱き着くと

「久しぶりね。」と笑う。


「母様も元気だった?」と美香も

笑顔で返す。


「言うけどあんた達は世間的には

 敵同士なんだからね」と

不機嫌なルナティア。


そういうとルエダを含めた4人は

城の中に入る。

方々で声がする。


「あれが、ウァッカか」

「マジで綺麗だな・・・。」

「アレが戦神・・・。」

そう言った声が方々で聞こえる。


4人はベルの部屋に入る。


「久しぶりだね、婆ちゃん」と

ウォッカはベルに向かって、そして

手を握りながら言う。


「おや、ウォッカじゃないか。

 まだ生きてるのかい?」と笑いながら言うベル。

「なかなか死ねなくてね」とウォッカ。


「20年ぶりと言うのに老けないねぇ。

 アンタは。私はこの通りだよ。」と

力なく言うベル。


何かを察しウォッカ以外の3人は

部屋を出て行く。


「あ、ルエダ。頼みがある」と

ウォッカはルエダを呼び止め

耳打ちをする。


「わかった。任して、園長先生。

 行ってくる。」と

言うと、頭をコツンとされた。


















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