第36話 大剣使いの男

「ここの街の領主は何をしているんだ。

 魔獣だぞ、冒険者もだ」とソミュール。


冒険者は他の区域を守備しているが

さっきから応援要請しか来ない。


ボルドーは魔獣を爪で攻撃しながら言う。

ソミュールはトドメをのロックスピアを放ちながら

「なんで魔核を落とさないんだ!?

 金にならねえじゃねえか!」


わからん!新種なんだろうよ!

魔獣が一旦引く。


「なんだ?魔獣が立て直そうとしているぞ。

 意味わからん!」とソミュール。


それでも倒したのは5匹。

住民たちを避難させた建物すべてに

魔法結界を張りなおす。


これだけでここを守っていたのか?

少なすぎるぞ。とソミュールは言うと


「ほかに回している。」そう言うと

ボルドーは一つの建物に入る。


「良くここに来たな」とお茶を入れながら

「助かったよ」とボルドー。


お前がてこずるって珍しいな。と

お茶を受け取り、飲みながら言う。


「さぼりすぎていたからな、あれはあれで

 平和だったしなぁ」と笑いながら言う。


最初は民衆がただ暴れているだけだった。

それを兵士たちが惨殺を始めたらしい。

そして俺達が来て拮抗に持ち込んだが

統率が取れていなかったから俺が

首謀者たちをぶん殴った。


そして今や俺がここの区域を指揮している。

笑いながらボルドーは茶をすする。


数日の後、突然魔獣が門からなだれ込んできた。


「門の警備員は何をしていた。これほどの

 数なら鐘を鳴らすとかあったろうに」

ソミュールは言うと


そういった事を考えると、信じたくはないが

相手が魔獣を招き入れた・・・。という

可能性もあるな。

そもそも、兵士と入れ替わる様に魔獣だ。

魔獣も兵士たちを攻撃していない。


「どれほど入り込んでいる」とボルドーは

聞かれると


わからん、この区域で20ほど。

俺とお前が組んで5匹しか討伐出来んかった。


「いや、最初の攻撃で黒杖・・・、

 バフォメットの杖が休憩中だ。ゼェゼェ

 いってるし。今来られたら、その数も

 撃てないよ」と茶をすするソミュール。


ソミュールは近くにあったお菓子を

オオカミに似た大型の生き物に与える。


「それは?」とボルドーは聞くと


修行先で貰った。妖精の里だ。

横から、息を切らしながら


「それはエルピス様が飼っている

 ルーヴと言う生き物だ・・・ぜぇぜぇ。

 ソミュール、やっぱあの魔法の陣は

 きついぞ・・・。数日に1回、いや

 1週間で1回ほどにしろ」と黒杖。


仕方ないじゃないか、

いくらギンコの杖と言っても

あの魔法を私の魔力だけでは撃てないわ。


「そもそもだ」とソミュール。


国に帰ったら、誰もいやしない。

まぁ居たことはいたがお前も美香も、

ジェニすらいないし。


バーボンさんはなんか「銀貨」作ってるし。

笑いながら部屋で大量の銀貨を

抱えてはぶちまけ

抱えてはぶちまけしてたぞ。


そして最初は黄の首都に言ってくれと

言われたがすぐに「やっぱサボルチ」

とこっちの話も聞かずに送り込まれた。


現状、この国はどうなっている。と

ボルドーは聞かれると

事の顛末を説明した。


「また増援依頼です!」と配下にしている

首謀者たちが入ってくる。


「私が行こう」とソミュールは言うと

メスカルに乗る。

「ボルドーは少し休んでおけ。」


首謀者とソミュールは言われた区域に行くと

既に戦闘は終わっていた。

辺りには多くの死体が転がっている。

息をしている者はほぼ吸血族であった。

それでもまともに動けそうな者は

皆無だった。


ソミュールと首謀者はその惨状を見て

絶句する。

「あんたがもう少し早く来て・・・いや、すまん」

と首謀者。

ソミュールはギンコの杖で生きている者達を

初級回復魔法で回復していく。


「反乱とか、内乱はな。」治癒しながら

ソミュールは言う。


他の者に頼った時点で負けだ。

あんた達にこの戦いの幕引きは出来ない。


治癒が終わると

「生きている者が少ないので治癒が楽だ。」

そう言うと、


次に行くぞ。まぁ間に合わないだろうがね。

おい、そこの吸血族。生きている者

全て、全員でボルドーに合流しろ。


「お前たちも足手まといだ。地図だけよこせ」

そう首謀者に言うと

「地図なんて持ってねぇ・・・。すまん」

という驚きの一言が帰ってきた。


「・・・。そんなもんだろうな。」と

早く行けと言い残してメスカルに乗り

バフォメット、誘導頼む。

「こき使うなぁ、ご主人様は」と黒杖。


そう言うとメスカルが勝手に走り出す。

「さすがルーブ。任せた」と黒杖。


ソミュールが回る場所のほとんどが

壊滅状態だった。


同じ様に吸血族に指示をしながら

回復魔法を掛ける。


「魔獣はどうなった」とソミュールは聞く。


「惨殺が終わると吠えながら、いや、

 アレは笑いだ、魔獣は笑いながら

 領主の屋敷の方へ引き上げていった」


そうか・・・。とそれだけを言いながら

次の区域へ向かった。


そこはまだ戦闘が続いていた。

「後退だ、少しずつあの建物に下がりながら

 引くぞ!増援はまだなのかよ!」

と声がする。

「住民は避難しきったか!?」とも言う。


「それは問題ない!指揮官のいる所に

 誘導している!」と一緒に戦っている

吸血族は言う。


その声の主は魔獣3匹を相手しながら

「んじゃ撤退戦だ!そっさと逃げるぞ」


俺がしんがりを務める!お前たちも行け!

「そんな事、見ず知らずの者を

 危険な役をさせられるか」と吸血族。


そしていきなり放たれるロックスピア

魔獣に当たるが致命には至らない。

「マジですげえな!この魔獣」とソミュール。


「スキル!我慢からのぉ!」と

そのしんがりの者は言うと大剣を

両手でしっかり持ち、右肩に担ぎ上げる。

そして全体重を乗せ切り込むと

その反動を利用して

さらにもう1回転しながら斬りこむ。


魔獣は霧となり消える。


その背後からロックスピアがさらに飛ぶ。

今度はその大剣使いは2歩下がり

3歩で前に飛び込む。


握りての部分で魔獣の腹の辺りを

突くが「きいてねえし!」と言うと

体を回しながら横なぎ一閃


魔獣は霧となり、そしてもう1匹の

魔獣は逃げて行った。


その大剣使いは振り向き

少し驚いた感じで言う。


「ソミュ姉!助かったよ!」と。


















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