第28話 それぞれの行動

紫の国に向かっていた

ユキツーは飛行を止めその場で

ホバリングをする。


「美香様が勇者になった・・・。」

繫がりがあるからわかる。間違いではない。

という事は・・・

闇属性の俺が勇者に仕えるのか?

ユキツーは天を仰ぎ見る。そして一言。


「おもしれええ!」


そう言うと飛行をまた開始する。



赤の国 とある施設


「この気配は・・・。」とウォッカ。

「ルナティアめ、やりやがったな」

と言うと


ジヴァニアが望んだのだろう。

この世界の真相を知ったのだろう。

この親にしてこの子ありだな・・・。


「たまには会いに行くか。紫の国

 にいるのか?美香は。」と呟くと

ルエダを呼び

「ちょっと紫の国に行くが、

 お前も来るか?」と聞く。


「いくいく!」とルエダは言う。

何事です?とも聞く。


「娘の顔が見たくなってな。それと

 婆ちゃんにも会いに行くので

 青の国にも行こうかな」と答える。


そして旅の準備をする二人。



赤の国 アスティの部屋


「そう言えばお前、休暇取ってないよな。

 たまには婆ちゃんの所に顔を見せに行けよ。

 今、アスティ様の傍使いしてるって

 自慢して来い」

そうアスティはリスボアに言うと

「それ、ついででしょ?本当の目的は?」と

リスボアは言う。


「ちょっと黄の国の現状を見てきてほしい。」

そうアスティは言うと

「戦闘になるかもしれない。ハジメちゃんを

 探して俺の所に強引に連れてこい。」とも。


「マジで選挙負けるんですかね」とリスボア。

「あぁ、無理だろうな。負ける。」とアスティ。


「来てくれますかね。」とリスボア。

「来るわけないだろう。あいつのことだ、

 黄の国に残って頑張るって言うだろう。

 どんな手段を取ってでも連れてこい」と

アスティは言う。


「再起をするのには色々準備が必要だ。

 高く飛びあがるには一旦、腰を落とす

 必要がある。」とも言うと


そう言えば、お前が言ってた剣。

出来てるらしいぞ?それ持って行ってこい。

支払いはお前の給金から少しずつ引くからな。

と笑いながら言う。


「おお」とリスボアは言うと

「早速行ってきます!」と部屋を走って出て行く。


アスティは笑いながらそれを見送ると


両手剣か。そういえばルナティアのとこに

魔剣の両手剣があったな。と呟く。


・・・リスボアか。ああいった者が

エアストの下についたりするんだろうな。

アイツ真面目だし。


そういえば・・・姐さんの娘さん。

・・・ないな。ジヴァニアがエアストの

下につくなんて世も末だ。ゾッとする。

怪獣大〇争のテーマが聞こえてきそうだ。


そういうとお茶をすするアスティ。


この数日後、本当に流れる事を

今は誰も知らない・・・。



妖精の里にて



「気をつけて帰るにゃ」とスコティ。

その杖を大切にするにゃ。


「勿論です、これは私の師匠が

 持っていた杖。」ソミュールは

ギンコの杖を握りしめる。


その杖に恥じぬようにしなさい。

ミネルヴァがその杖を置くことで

守ることを選んだ。

あなたはその杖を使うことで

守る事を選びなさい。


最後にそうスコティは言う。


「一度国の首都に帰るか。ずっと

 帰っていないし。

 美香元気にしてるかな・・・。」

ソミュールはそう言うと


スコティが準備してくれた

向うの世界で言うオオカミに

似た大型の生物の背に乗る。


「行くわよ!メスカル!」と

その生き物に声をかける

グォーーーンと遠吠えを上げる

その生き物。

そして魔方陣に消えていく。



そして場所は黄の国


突然発令される新しい13人衆からの

内容


この国は今後13人衆の上に

総統と言う立場を置く。

それに伴い13人衆頭目を廃止。


総統は13人衆の総意によって決まる。

また13人衆は各街の代表とする。


その街の住人はその代表に従う行動をする。


また、いままで一括して国に入っていた

税は一旦各街で集め、一定量を国に納める

方針とする。


またその他の政務にかかわる事は

おって沙汰を行う。


初代総統 コニャック


「総意って言う事は絶対に総統は

 変わらないって事じゃん」とテージョ。


「そうだな、政務の事は後回しで

 金の事を先に伝えやがったしな」

とボルドー。


「もうすでに収める金の増額を

 言われた店とかもあるらしいです」

とドウロ。


「というかそんなに金金いって

 どうすんだ?」とテージョ。


3人は思い思いの事を言いながら

宿屋に向かった。



宿屋の前で役人らしき者達と

ブルダが口論している。


「はぁ?なめてんのか?そんなに

 払えるわけないだろう!」とブルダ。


「いかがわしい宿を経営していて

 文句を言うな!」と役人。


その役人の後ろには武器を持った

兵士たちが居た。


「なぁ、この国に職業兵士って

 いたのか?」と

テージョはボルドーに聞く。


「いねえな、というかいなかった。

 この短時間にどうやって。」

とボルドー。


「どけ、じゃまだ」とボルドーは

威圧するように役人の後ろに立つ。


「けっ、吸血族風情が!」と役人は

ボルドーの足を蹴飛ばす。


ブルダは「うちの客に何するんだ!」

というと役人を突き飛ばす。

後ろにいた兵士が剣を抜き

斬りかかろうとするがテージョの

棍がそれを受け止める。


「はいはい。そこまで、そこまで。」

テージョはそう言うと


冒険者の身分証を見せる。

「私ね、お抱えなのよ、赤の国の。

 秘密裏に動いてるんだけどさ、

 邪魔すると雇い主から文句出るわよ?」


「くそが」と役人は言うと帰っていく。


「お前、お抱えだったのか?」とボルドー。

「嘘に決まってるじゃない」とテージョ。


そして宿屋に入る。


「もう店畳んで青の国に帰ろうかしら」

とマルチネを見るブルダ。


「ここに前皇女が泊まってるって

 知ったらどうなるだろうね」と

笑いながらジェニ。


「そんな事よりも魔獣はほぼ出なくなったな。

 薬が功を奏しているのか?」とハジメ。


「そうでしょうね。これで排出用の

 薬があれば完璧でしょう」とジェニ。


ピスコを殺した帰りにジェニは

広場で魔獣に対して「命令」をしていた。



「潜伏して動くな」と。

それを誰も知らない。
































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