第26話 ジェニエーベルの強さ

あっちの世界ではね・・・。

あ、アニメとかラノベの話よ?

と美香は言うと


勇者はね、人間に背中を押され

魔王討伐とかを一身に背負って働くの。

「がんばって魔王を倒せ!」ってね。


取り方を変えると

俺達人間の為に人間だけが住みやすい

世界にするために倒してこい、ね。


相手を倒すだけの勇者なんて

ただの殺戮者よ。


あなた「達」の考え方は好き。

お互いがお互いに迷惑を掛けずに

過ごせる世界を作る。


魔族が亜人や精霊、妖精達を

正しく導けるモノとして。

勇者が人間を正しく導けるモノ

として。


「これだから嫌なのよ、偉い人って」

と美香は笑いながら言う。

なんだかんだ言っても裏できっちりと

繋がってるじゃない。あー嫌だ。


あれ?でもさ・・・。20年前は

完全に敵対したんだよね?

それまでは仲が良かったというならば

なぜ争いが起きたのよ・・・。


そもそも敵対なんてしていないわよ。

魔族壊滅。って知ってる?わよね。

と答えるエアスト。


もっと言うわ、そのずっと前にも

あったのよ?

その時はね、私の方の

「あっちで言う魔族に当たるモノ」

が壊滅したのよ。

貴方の言葉を借りれば勇者ね。


勇者壊滅。


「だめだ・・・話がよくわからん」

と困惑する美香。

本音を教えてよ、前回の真相を。


そう言われるとエアストは

「それを聞くの?」と言いながらも

話し始めた。


そもそも何故エンドは城から

動かなかったのか。

そもそも何故私はルナティアを

「求めた」のか。


お互いが序列2位の「裁く者」が

いなかったのよ?眷属たちを御する

のにも限界があるわ。


もうバンバン魔獣が現れて、お互いが

右往左往よ。処理能力を

超えちゃったのよ。


「相手を壊滅しろ」なんて

神とあろうモノが指示するわけないじゃない。



勇者壊滅の原因は一部の魔族が

規律を乱した事から始まったの。

その魔族をエンドは血縁に当たる

もの全てを始末したわ。


そして私に対する侘びとして

均衡を保つ為にエンドは眠りについた。

その場所がアルブの塔からいく

エンドの城。


序列1位の者が不在ならば2位の者が

規律を守る。


でもまた、その魔族の一部の者が

意に反して争いを起こしたわ。

でもエンドの加護が、寝ている事で

弱まっていたのでそれほどの

被害は出なかったけどもね。


自分が魔王にでもなろうとしたのかしら。

それを知って私はエンドをたたき起こしたの。


「あんたの眷属がまたやらかしているわ!

 あんたの眷属でしょう!どうにかしなさい!」

ってね。


その魔族は逆鱗に触れたの。エンドの。

私が魔族を滅ぼしたなんて

人間による作り話よ。本当は

エンドが滅ぼしたのよ、同族を。


魔族全員を殲滅することで全てを

手打ちにしたわ。


どちらともに序列2位を失った

理由よ、それが。


「ちょっと聞くけどさ」と美香。


エンドは城があるのよね?そこで

眠りにつくわけでしょ?

貴方ってどこにいたのよ・・・。


「いい質問ね」とエアストは笑う。


エンドの城に行くためには

アルブの塔から転移する必要がある。

今もあるわ。鍵は死んじゃったけど

可能性としてジェニが鍵となる。


私の城にはもう行けないのよ。

昔滅んだ街からでしか行けなかった。

その街は疫病で人間が全員死んじゃってね。

今じゃ廃墟よ。


その街から塔を通っていくの。

でも鍵となる者は死んでしまった。

ある意味・・・、


私はそこから出てこれなくなった。

エンドが私を強引に引っぱりだしたわ。


それがやっと成功したのが

30年位前かな。でもその為に

通り道である「塔」が半壊した。


だから私はまず塔へ行くための

鍵を作る必要があったわ。

まずは鍵を作り塔に行き、塔を

正常に戻す。


私は鍵の適任者を探していた。

そして数年後に見つけたの。

それがルナティア。幸か不幸か。


それが・・・しいていえば

20年前の争いのひとつといえば

ひとつね。


私はルナティアを「勇者」に

しようとした。


私は城から出ていてエンドは城の中。

この大陸に対しての影響力は

どっちが強いかわかるわよね?


そして人間達が活性化。

そして暴走。それに対しての

亜人たちや精霊たちの憤慨がエンドに

集まり、処理しきれなくなり

魔獣の群れ。


そして話はさっきに戻って

私とエンドは右往左往。


「あなたが城に閉じ込められたままだったら

 良かったんじゃないの?」と美香。


「バカ言わないでよ」とエアスト。

城ってある意味、封印する場所なのよ?


眷属ならいいけども、序列1位の

抑止力は相手方の序列1位でしか無理よ。


飲みながら言ったけど、

私もエンドもこの大陸を焦土と化すことが

出来るのよ?

完全なエンド、エアストの相手は

お互いでなければできないの。


もしも、私が狂って暴れたらどうするのよ。

エンドが狂って暴れたらどうするのよ。


この体でもね、例えばここから

赤の国の首都に魔法攻撃できるわ、私。

昔、紫の国の城に対しても3発撃ったわ。

5年ほど前にね。


20年前のあの時に・・・。

サンテミリオンとウォッカは

早急に私を封印しなければならなかった。


勇者になれるくらいの人間よ?

ルナティアは。私のお墨付きよ?


仮の封印場所としては問題ないわ。

これ以上私が解放されていたら

私でさえ、大陸が危ないと思っていたわ。


でも二人の封印攻撃は甘かったわ。

だから私が、私自身がウォッカの魔剣を

折ってこの体に固定したの。


「もう少しやれると思ったけど

 ウォッカもまだまだだわ」と

ニヤリと笑いながら言った。


一番、この世界が上手くいく方法は

私をこのまま、私の城に連れて行き

そこで私をルナティアから解放。

そこで私を封印。


それでエンドと私の状態はまずは均等。

その次は、魔族が今二人いるので

勇者も二人作る事。


お互いが相反する武器を持ち

序列2位としての役目を担う事。


私を解放した後にルナティアが

勇者となって、まず一人。


もう一人をあなたと思ったけども。

力量的にウォッカとルナティアは均等。


「そんなに強いの?ルナティアって」と

驚く美香。


「失礼ね」とルナティアの方が

笑いながら言う。


ジェニエーベルと力量が同じならば

数えるほどしかいない。

多分、アスティよりも強い。

とエアストは言う。


喜びなさい、あなたアスティよりも

強いと思うわ。とも。


美香は真顔で問いかける。

「ジェニはそこまで強いの?」と。


貴方が魔剣を持って戦ってやっと互角ね。

とエアストは言い切った。

因みにジェニは神器を使わないでよ?

とも付け加えた。


因みに、ジェニエーベルは

ウォッカとルナティアには及ばない。

私と遊べるのはその二人だけよ。


だからリスボアでは「まだ」無理なのよ。

まぁ次の候補としては合格だけど。


そうねぇ、貴方にはフシャスラが居る。

ユキツーって言うんだっけ。

それを加えてジェニエーベルと互角ね。


神器を持ったジェニエーベルね。





















































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