第21話 ボルドーの魔法
「あのぉ、口を挟むようでアレなんですが」
とユキツー。
魔獣が数千匹ということは
それを数千回するのでしょうか。
全員沈黙する。
その間、なんと
「昨日からおかしかった」とか
「家に帰ったら妻がおかしかった」と
ゾクゾクと広場に魔獣が体内に
入り込んだと思われる人間が
集められている。
「多分」とユキツーは言うと
火と土属性の精霊が魔獣を抑え込む
のであれば
その魔獣の属性と対極にあるのは
無属性。
「しかし神器は無属性なのか?」と
ジェニが言うと
「多分、光属性でしょう、神器は」
とユキツーは言うと続ける。
光属性は雷属性と無属性で
作れるかもしれません。
何故ならばルナティアからにじみ出るのは
雷と無属性ですから。
エンド様が火、水、土、風属性。
それを統合して闇属性が出来るならば
至極当然でしょう。
話が逸脱しましたが
神器の光属性の中の「無」に対して
反応して体内から出てきたのかもしれません。
ベル様とルナティアの見解の通り
火と土属性が有効と言うのであれば
無属性が有効と見るのが普通です。
でも、違うかもしれません。
その神器・・・。と何かを考え込む
フシャスラだった。
「さすがに妖精だ。」とジェニが言うと
いえ、これはコルンの話を基に
しただけです。
「しかしどうやって無属性、それを
操れる術者はいるのか?」とハジメ。
回復魔法って何属性?とテージョ。
「アレは属性のあるモノを使いません。
なので属性とかではないんです」
とユキツー。
初めて知った!と全員。
そうこうしている間にもゾクゾク
人間が集められる。
「うを、何この人数!」とジェニ。
すでに100人は超えている。
1人を魔方陣の中に入れ
火と土の精霊を近づけるが
魔獣は出てこない。
しかし、安静と言うのだろうか、
変な状態は見られなくなった。
「魔獣を活性化しないだけか」と
ハジメとジェニ。
「街中の精霊使いを集めてくれ!」
とハジメは言うと民衆は
それに従い、方々に声をかけると
言ってくれた。
「火と土の属性の精霊を兎に角呼び出し
この辺りに放ってくれ」とも言う。
「とりあえず、現状では活性化して
人間を操る事は出来なくなるので
遣らないよりはましだ」と。
ジェニは一人一人神器で突き刺す。
魔獣が出てくるとそれを潰す。
「もっと効率のいい何かを」と
言いながら。
一方、ボルドーのいる飲み屋
「ボルドーさん!どうやら体内から
取り出せたそうだ!しかし効率が
悪いらしいぞ」と
部屋に走り込んできた男が言う。
それを聞きボルドーは
「いい加減起きろ」というと
ピスコを蹴飛ばす。
ピスコが目を覚ますと
「あの魔獣をどこで手に入れた」
と尋ねるボルドー。
「いうかバカ」と笑いながら言う。
仕方ねえな、そうボルドーは言うと
ピスコに対して魔方陣を描く。
「喋りやすくしてやる」と。
ピスコの上着を脱がし
上半身を裸にすると1匹の魔獣を
へその辺りに落とす。
「お、おい!まてこら!」とピスコ。
痛てぇ!グウガア!と言うと同時に
魔獣が体内に入っていった。
「と、とってくれ!」とピスコ。
「ジェニ、うちの大将なら取れるらしいぞ」
とボルドー。
「だからどこで手に入れたんだよ」
とボルドーは再度尋ねる。
俺は対抗戦で負けた後にこの国に
向かい再起を図ろうとした。
あの、美香っていう女に復讐するために。
途中魔獣とかに追われて逃げながら
首都に向かったはずだが道に迷い
気が付いたら得体のしれない場所に
入り込んだんだ。
気が付いたらホワイトラビットが
いるじゃねえか。腹も減っていたので
捕まえて食おうとしたら
なんか変なモノが体に付いていたんだ。
よく見るとその小さな生き物が
そいつの体内に入り込んで・・・
「なんだ?その空想絵巻は」と言うと
「本当だ!俺も死にたくない!嘘なんて
いうかよ!バカ!」とピスコ。
そしたら突然飛び跳ねたり回転したり
そして木に向かって何度も頭を
打ち付けていた。
俺は気づいたんだ。
この生き物は体を狂わすと。
これを人間に使えば「笑える」
ことになるんじゃねえか?って。
そして辺りをよく見ると
うじゃうじゃいるじゃねえか。
俺は持っていた袋にどんどん入れた。
そして場所を覚えておき、首都に来て
1匹を酒場の男に放ったんだ。
そしたらその生き物は服の中に入った。
一時して男は腹を押さえて
悶絶したがすぐに何事もなく
飲み食いしていた。
人間には効果が無いと思ったが
その男は突然立ち上がり机の上に
立って跳ね上がって頭から床に
海に飛び込むようにしやがった。
俺は笑ったよ。何度もそうするんだ。
そしたら動かなくなった。
これは使える。と思ったよ。
俺は毎日1匹ずつそうやって放して
遊んでいたら
一人の男が俺に声をかけてきた。
「やべえ」と思ったがその男は
なんと俺に酒をおごり
「俺達とこの国を取らないか?」
というじゃねえか。
そしておれは立派な屋敷に
連れていかれた。
この国で一番偉い人の屋敷だそうだ。
この国で偉いというとハジメだ。
ハジメの屋敷だと思ったら
「コニャック」という貴族の屋敷だった。
「も、もういいだろ!取ってくれ!」
というがボルドーは冷たい目で
話を続けろと言った。
その男と話をすると
その生き物で殺してほしい奴が居ると
言いやがった。
そのかわり、俺がここの13人衆筆頭
になったら国の要職につけてやると。
どうせ俺は行くところがなかったんだ。
俺はその男と組むことにした。
しかしその生き物の出どころは
言ってない。俺しか知らないから
俺は殺されねぇ。
場所は何処だ。とボルドー。
「言ったら取ってくれるか!」とピスコ。
勿論だ、吸血族の族長の名に懸けて。
その場所を聞くとボルドーは驚く。
もういいだろう!取ってくれ!
早くジェニエーベルを連れて来てくれ!
とピスコ。
今連れてきてやる。そうボルドーは言うと
後頭部の辺りに蹴りをくらわし、
その後に側頭部にも蹴りを入れる。
ピスコはまた失神した。
「はじめから魔獣なんていねえよ」
と吐き捨てる様に言う。
そして魔方陣は消えた。
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