第17話 背中に感じる何か。

プロージット!

美香もコルンも一気飲み。

ポイヤックも一気飲み。


そのとなりでルナティアも

一気飲み。


「なんでいるのよ!」と美香さん。


私は意に関せずに注文係として

役務を全うしている。

「あ、小魚のカリカリ揚げと

 根菜の細切り盛り合わせと

 フランゴの・・・もう全部」と。


酒にはフランゴがよく合う。

鉄板だ。特にフランゴのカリカリ揚げ。


酸っぱいスートロンと合わせれば

・・・至高である。


「ところでさ、エアスト」とため口の

美香さん。

「なによ、ジヴァニア」と酒を

注文しながらルナティア様。


「この大陸の言葉、というか名称。

 例えばこのフランゴと言う呼び方。

 向こうの世界でもあるのよ」と美香さん。


「知ってるわ、バーボンに聞いた」と

ルナティア様。もう面倒だから

ルナ様でいいや。と思う私。


「ヨーロッパと言う地域の言葉、単語。

それがこの大陸の基礎となっている」と

一気飲みしながら言う美香さん。


これっておかしくない?異世界なのに。

と美香さんが言うと


「バーボンはね」と切り出すと


この大陸は向こうの世界から

切り離されたのでは

ないかと言ってたわ。


それも向こうの時間から相当前に。

実は、地平線の事もバーボンに聞いたわ。

でもね、だからどうしたの?という事なの。


それを解明した所で何をするの?

勿論、世界を解明することは

学者にとって一番のことよ?


私をちらっと見るルナ様。

そして一気飲み。美香さんも一気飲み。


私は神と言われている。

しかしね、何も知らない。

だってそうでしょうに。

ここの、この大陸の人間に

生み出されたのだから。


でも、他の者にはない力を持っている。

ぶっちゃげて言うと

「この大陸を焦土と化す」

事は出来るわ。


何故かは知らない。エンドもそう。


私もね、思う時はあるわ。

私とはいったい何なのかと。


でもそれを知った所で

何も変わらないのよ。

解っているのは私は人間の

神であり、想いだってこと。


そしてルナ様、一気飲み。


美香さんは言う。


私は聞いたわ。

バランスという事を。少し納得した。

ここには向こうにいない亜人が居る。

魔法がある。精霊もいる。魔獣も。

・・・そして魔族も。


でもさ、なんで人間ってこうも・・・。

そこまで言うと美香さん一気飲み。


私も思うわ。とルナティア様。

そして続ける。


この世界で一番強いのは、あ、

私とエンドを除いてよ?


多分、妖精。そして吸血族、

その次に亜人、魔獣と精霊。


人間なんて一番下だわ。

・・・弱いの、人間は。


感情的も、肉体的にも。

もう、駄作よ。誰が作ったか

知らないけども。


でもね、その人間達が私を作ったの。

縋るものとして。


私はそれに答えるしかないのよ。

と、少し寂しそうに言ったが

一気飲みはやめない。

色々溜まってるらしい、神も。


向うの世界ではさ、神に対して

色々と議論されているわ。


美香さんは、そう言うと

一気飲みをしてさらに言う。


私は具現化された神をこの世界で

初めて見た。

私の中では神とは只の迷信。


または言い伝え。そして何かの

教えを説くときに使われている

只の言葉。


でも、貴方に会ってわかったわ。

貴方は神でもないし、エンドも神ではない。


衝撃的な見解をする美香さん。


あら、じゃあ私は何者?

と笑いながら美香さんと

プロージットするルナティア様。


そうねぇ、向こうの言葉を使うと

新しい生命体。だってこうやって

一緒に飲んでるんだもの。


解剖しようかな?と笑いながら

ルナティア様のおっぱいを掴む。


ルナティア様も笑いながら

美香のおっぱいを掴む。

私、コルンは見ないふりして

料理の注文をする。

・・・もちろん見てましたとも。


「私は母様の娘よ?」と美香さん。

「しってるわ」とルナティア様。


「私はね」と切り出すルナティア様。


バーボンが好きだったわ。


「ちょっとまって!」と

一人芝居が始まる。


「その娘よ。好きな人の娘よ?

 わたしはね、憎悪よりも愛情が

 勝ったわ。」


「虐めたいけど、いじめられないの。」


「何を言ってるんだ!おい!」


「隠してもしょうがないじゃない。

 あなたは負けたのよ」


「負けてないわよ!譲っただけよ!」


「ルナティア、私はあなたが大好きよ。

 ある意味、ウォッカに感謝するわ。

 あなたと一緒になれて。楽しいわ。」


「ちょっと待って!黙ってて!」


ガンガン飲むルナティア様。


「わたしは人間を守るわ。

 どんな行いをしても。どんなに

 他者を虐げても」


それが私と言うモノよ。


「あなたはやっぱりすごいわ」と美香さん。


「・・・・でも母様と引き分けた」

とポロっという美香さん。


「あんたもぼろクソに負けたじゃない」

とルナ様。


「いいの、私はこれからなんだから」

と笑いながら一気飲みの美香さん。


他愛のない女子同士の、神と女子なのだが

そう思った。エアスト様は

万能ではない。そう私は思った。


だって悩んでいる。考えている、

そして、今、酒を飲んでいる。


そして他愛のない話が続く。

「そう言えば、あの変な妖精は?」と

ルナティアは聞くと

「あぁユキツーね、ジェニの所へ

 行ったわ。金策を伝えにね」と笑う。

「すごい速さだったわ。アレの中に入って

 私も飛びたいわ」と笑う。


そして、笑いのうちにお開きとなった。


何故か私はルナティア様を負ぶっている。


ルナティア様は酔いつぶれている。

が・・・。エアスト様は意識があった。

何故ならば、


「あんた今、ルナを意味もなく

 背負いなおしたでしょう」と

笑いながら言ったのだから。


「そりゃもう、私も男ですから」と

私は笑いながら言った。


「あんたみたいな男が

 ルナティアの傍にいると私も

 楽できるかもね」と、

多分エアスト様のほう。


美香さんはゲーゲー言いながら

ついて来ている。

頼む。女子と言う理想を壊さないでくれ。


私はエアスト様に言われた事を

サラッと聞き流してしまった。


「今なんと?」と聞きなおしたが

答えてくれなかった。


ただただ、エアスト様は笑っていた。



そして私は背負いなおす。





















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