第14話 ボロ宿にて
ジェニ達は首都に入る前に
少し小さな街で情報を集めることとした。
「何この活気の!・・・なさ!」と
テージョとマルチネ。
食事処に入るとお昼時なのに客が居ない。
カウンターに座り厨房の親父と話す。
親父は元気もなく愛想もない。
マルチネが右手をクルクルと少し動かし
ピンと親父に向けて放つ。
「ねぇ今のこの街ってどうなってるの?」と
直球で聞く。
もう、この街、いやこの国はダメだ。
と今までが嘘のように喋りだす。
何処の街も一緒だ。平民派が死んじまって
新しく出る奴は全員貴族派だ。
もうあらすじ通りの流れだ、貴族派のな。
「でもだからと言ってここまで
みんなが元気なくなるの?」とマルチネ。
そりゃそうだろう。
今後の事を考えればな。金だよ金。
それに身分が今まで以上にハッキリしてしまう。
人間や亜人うんぬんの前に人間同士でもだ。
誰が決めたかわかんない貴族ってやつに
全てが決められてしまう。
金だって領主への上納として
適当に決められてしまう。20数年前のように。
ハジメ様は凄かったよ。
まぁまだ負けたとは決まっていないが
本人が行方不明らしい。
死んじまったって噂もある。
あんたたちも赤とか青、いや
紫の国に行った方がいいぞ?
亜人は多いがいい所らしいぞ。
国主様の考える国ってのが
それはもうすごいらしい。
まぁ俺には無理だがね。
「何故無理なんですか?」とジェニは聞く。
あそこはきっといい所だ。
でも生まれ育ったところを簡単には
捨てられないよ。
まぁ昔に戻るだけさ。と。
ジェニ達はその食事処を出ると
辺りを見回す。
意気揚々と歩く者達や
家の前に座り込んでいる者達。
「なぁハジメ様が行方不明って言ってたな」
とボルドーは言う。
まぁ彼が死ぬわけないでしょうが
心配ね。とマルチネは言う。
「首都に急ごう」とジェニは全員に言った。
「首都に入った所でどうするんだ?」と
ボルドーが言うと
まずはハジメ様に面会をしよう。
まぁ居ないから断れれるだろうが。
選挙の結果が出るまで滞在をして
その後は行き当たりばったりかな。
とジェニが言うとテージョが
「そういった感じ好きよ!大好き!」
という。
まぁ私の元皇女って言うの使っていいわよ。
ともマルチネが言う。
そして選挙まで3日の所で
ジェニエーベル達は首都に入る。
「そういえば・・・」と
ジェニは何か地図の様な物を
取り出しす。
首都に入ったらこの場所へ行け。
そしてそこに居る者に手紙を渡せ。
と言われていたんだ。と。
4人はその地図の場所へ行くと
そこは少し古い酒場であった。
マルチネは少し何かを考える
様な感じで「確か、ここは・・」と
思った。
この時間じゃまだ空いていないか。
「つけられていないよね?」と
テージョに聞くジェニ。
問題ない。と答えるテージョ。
じゃあ一旦どこかの宿屋へ行こう。
とボルドー。
じゃあ私が知っている所に泊まりましょう。
とマルチネ。
「なんか高そうだな、宿代」とジェニ。
「そんなことないわよ」と笑うマルチネ。
案内されて着いたところを見て
全員が驚く。
「なんだこのボロ宿は!」と。
「失礼ね。これくらいがいいのよ」
とマルチネは言うと入っていく。
「4人よ、泊まれる?」とマルチネは
受付に言うと
「あ、マルチネ様。じゃなかった
ここではマルチネさんだ」と
マルチネ様と同じくらいの歳の
受付が言う。
「ブルダ、太った?」とマルチネ。
うんうん。と受付の人。
ここはね、前によくお忍びで
遊びに来た時に泊まってたのよ。
私がまだ趣味で冒険者をしていた
時からね。
「あら、新しい冒険のお仲間さん?」
とブルダは言うと
「そうだったら楽しいだろうけど
違うわ。紫の国主さんとその一行よ」
とマルチネ。
「あらま、今話題の人だったのね」と
ブルダは笑うと
「じゃあ2階ね。どうせ客居ないから
自由に全部使っていいわよ」とも笑う。
「わ、話題なんですか?俺って」と
苦笑いしながらジェニは言う。
「黄の国の住民をさらった大悪党よ。
まぁ信じているのは一部だけどね。
今度の選挙次第じゃ戦争になるかもって
いうのも噂に出てるわ」とブルダ。
「おおごとじゃねえか」とボルドー。
「じゃあジェニ様がここに居るって知ったら
面白展開が待ってるじゃないか」とテージョ。
「いつばらすの?いつばらすの?」と
目をキラキラさせてさらに言う。
「選挙の結果が出て13人衆筆頭が
決まったらご挨拶にきましたって
言っちゃおうかな」とジェニ。
そのまえにハジメ様と会いたいなぁ。
とポツリと言うと
「多分首都には帰ってきてると思うけど
私達すらどこにいるかわからないの」
とブルダが言うと
「あんたが知らないって相当ね」と
マルチネ。「えぇ、相当よ」とブルダ。
「逆に知らないって事でどこにいるかは
絞られるけどね」とも笑いながら言った。
ジェニはその会話で何かピンと来て
「この酒場、どういったとこなんです?」
とバーボンに貰った地図を見せる。
「あー、そっちの線を握ってるのね」と
ブルダは言うと
「そこってバーボン君が盗賊してた頃
逃げ隠れしていた所よ」と笑う。
「親しくないんですか?」とジェニが聞くと
「親しいわよ?」との返事。
「じゃあハジメ様の事を話したり
してないんですか?」とジェニは言うと
「残念ながら組織が違うのよ。
まぁ詳しくは言えないけどね」
今から行くんでしょ?とブルダは
なにか大きな袋でずっしりした物を
渡すが、何気に重くて
ジェニはボルドーにお願いした。
これを飲み屋の親父に渡して。
金貨10枚って言っててね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます