第13話 美香のお願い

じゃあもしかしたら、今の流れも

その大物さんの意思かもしれないって

事もあるのよね。


「私ね、疑問に思っていた事があるの」

と美香は言うと

「ポイヤック、この大陸は何処にあるの?」


ポイヤックはキョトンとする。

「意味わかんないな。」と。


「この大陸はこの大陸よ。」とルナティア様。


この大陸以外の大陸ってあるの?


「あるわけないじゃないか」とポイヤック。

ウンウンと頷くルナティア様。


私は向こうの世界で少しパソコンで

見たことがある。

「地球と言う、球体の星」を。


この大陸の端っこはどうなってるの?


「海だね、海で囲まれているよ」と

ポイヤック。


じゃあその海の向こうには何があるの?


「行けないのでわからない」とポイヤック。


船で行けばいいじゃない。どこまでも。


「行けないんだよ、ここまでだ。と

 思ってしまう」とポイヤック。

私も頷く。


「どこにあるんだろう、この大陸」


私も今なら美香が言う事が理解が出来るよ。

向うの世界が長かったからね。

何かの束縛が薄れたんだろう。

とベルジュラック様は言う。


そして向こうの世界の在り方を

全員に言った。


全員が衝撃を受けたような顔で聞く。

美香以外は。


向うの世界は色々な偶然が幾重にも

かさなり、本当に偶然に生き物が出来て

作られた。宇宙と言うモノの中に。

そして地球は丸い。


じゃあ赤の国の海から出て、

そのまま行けるとしたら

青の国に来ちゃうの?とルナティアは笑う。


「多分それはないと思うわ」と美香さん。

だって地平線がない。まぁずっと奥までは

見えないけど境目が無いような気がする。


「興味のある話だけど、脱線しだしたわ」

とルナティア様。


今はまずこの魔獣への対処よね?とも言う。

「いいわ、協力してあげる。私の

 せいでもあるからね」とも。


今は黄の国だけなの?

発見されているのは。とルナティア様。


「そう聞いています」と私は言うと


もう入ってきてるかもしれないので

青の国にはソレを公開するわ。

ついでに赤の国にも言っておく。


魔核の買取はウチでするわ。青の国で。


只の魔獣と思えば、何か大したことが

無いような気がしてきた。

特性として人間の、いや生き物の体内に

入り込む。


美香曰く、雷属性なので人間の

神経を刺激して行動が変になる。

・・・らしい。よくわからんけども。


じゃあ体内に入らない様には

どうやればいいの?とポイヤック。


「そんなもんヘソになんか貼り付ければ

 いいじゃない」と美香さん。

天才的発言再び。


「肛門からも入るかもよ?」とルナティア様。


悩む美香さん。

「そんなもん、ぴっちりとしたパンツ履けば

 いいじゃない」という答え。


天才とバカは紙一重だ。

ほんの少しバカに寄った美香さんだった。


「そもそも入らないようにすればいいじゃない」

とルナティア様。


「どうやって?」と美香さん。


何気に二人はいい感じの仲の良さ。

美香さんの親の事を考えると不思議だった。


雷属性の魔獣ならば対極にある属性の

状態にすればいいだけよ。


そうねぇ、炎と土属性ね。

もう言っちゃうけど基本的に雷属性を

作る場合は風と水属性で作るのよ。

比率は言わないけど。


身に着ける装備を炎か土属性にすれば

寄ってこない「かも」しれない。


「精霊を付与すれば・・・。もっと

 性能が上がるかもしれない。

 でも、どうやって。」

と美香さん。


「あんたじゃねえか!精霊使いは!」と

思わず突っ込んだ私であった。

勿論、声が漏れた。


笑いながら私達のやり取りを聞いている

ベルジュラック様。


「美香、いやジヴァニアにはいい友達が

 沢山出来たんだねぇ」とも言うと


思い当たる人の分は私が付与するよ。

装備自体はルナティア様が準備してくれる

だろうね、と笑う。


久し振りに笑うと疲れたというと

少し横になるとベル様は言う。


「じゃあまた来るね」と美香は手を振り

私達も部屋を出てルナティア様の部屋に

移動した。


「相当悪いの?」と美香さん。


えぇ、病気とかじゃないんだろうけど

もう歳だからね。それに魔力の回復量が

とても少ない。


こっちに帰ってくるときの消費が激しく

生命力もだいぶ使ったんじゃないかな。

と美香さんは少し悲しげに言った。


「そうねぇ、もって半年

 くらいじゃないかな。そして付与する

 となると更に短くなるかもね。」


「付与は私がやるわ」と美香さん。

それとお願いがあるの。とも続ける。


私は唯、いや、ベルジュラックと

一緒に居たい。私が身の回りの

世話をしたいの。


・・・そう。亡くなるまで。

と涙を溜めて美香は言った。


「それでいいわよ。私も楽になるし」

とルナティアは言う。


ダメと言われると思った。と美香さん。

そしてさらに続ける。


私の母様と仲が悪いのに私のお願いを

聞いてくれるのは何故?

その母様の祖母なのに良くしてくれるのは

なぜ?とルナティアに聞く。


「例えばよ?犯罪者の親も犯罪者なの?

 その子供も犯罪者なの?」

ルナティアはそう言うとさらに


違うわよね?実際そうなる事もあるけど

それは周りのせいでもあるのよ。


あなたはウォッカではないし

ベルジュラックもウォッカではない。

それだけよ。


偽造金貨を渡し私達は部屋を出た。


取りあえず宿屋を探しましょう。

そして・・・・。とニヤニヤする美香さん。


そうですね。取りあえず宿屋ですね。

そうして私とポイヤックもニヤニヤする。



久し振りの!居酒屋だ!





























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