第12話 金で買う

ベルジュラックは大きい袋を開ける。

「魔獣だねぇ、さっきの核は

 これのモノなのか」という。


じっくりと見る。そして

「私も初めてみるが似たものは

 知っているよ」と言うと

ルナティアを見る。


ルナティア様、いや神エアスト。

これを見て感じたんじゃないかい?

これはあんたから漏れたモノで

出来ている。


今この大陸に居る魔獣はエンドから

漏れたモノで作られている。

憎しみ、不安、恐怖、恨み、妬み。


人間以外の様々な、その感情。

そうして具現化されたのがエンド。

人間の様々な、その感情。

そうして具現化されたのがエアスト。


エンドが処理しきれなくて漏れた思いが

具現化して作られている魔獣。


そしてこっちはエアストが

処理しきれなくて具現化された魔獣。



「神エアストがなぜ魔獣を作るんですか。

 単純に考えれば神獣なのでは?」と

私は聞いた。


何度も言うが私達が魔王エンドと言ってる存在は

亜人や精霊などからしたら神で

神エアストが、魔王なんだよ。


「それは聞いたことがあります。しかし

 それならば、なぜ人間を襲うんです?」

とさらに私は聞いた。


今いる魔獣も亜人や精霊を襲う。

なにもおかしくないだろう。


「そうね」とルナティアは言うと


それは私から漏れたモノだわ。

エンドもだと思うけど

漏れたモノはどうしようもないのよ。


実際どれくらい漏れてるかなんて

解らないわ。

私が元気でいるってことは人間の

「色々な願い事」が後を絶たない

ってことね。


エンドなんて封印されているのに

大陸中に魔獣をばら撒いてるわ。

封印を解かれたらどれだけ出てくるか

解ったもんじゃない。


だから、私も半分は封印されてるので

もしルナティアから出れば

そんなモノがうじゃうじゃかもね。


と金色の瞳の皇女は言った。


うじゃうじゃだったじゃないか。

とベルジュラック様は笑う。


ウォッカが魔剣を持ってなかったら

大変なことだったぞ。とも言う。


「魔剣でないと倒せないんですか?」

と私が聞くと


いいや?普通の武器で倒せるぞ?

でも相性がいいので十数倍の火力か出る。

まぁ過剰火力ではあるがな。


その逆に神器はエンド側の魔獣に対して

数十倍の火力が出る。


「じゃあ駆逐することはできないのでしょうか。」

と聞くと、衝撃的な言葉が返ってくる。


人間が滅亡すれば消えるはずだ。


全員が沈黙する。


「まぁそんな事は出来ないので

 討伐していくしかないだろうなぁ」と。


どうやって判別するんです?とポイヤックが聞く。


倒してみて核を鑑定し、どの属性か調べる。

それしかないよ。

「まずは倒してなのかぁ」と美香さん。


因みにエンドの魔獣は

火・水・風・土の4属性ね。

私の方は

雷・無の2属性ね。

と何か自慢げに神エアストは言った。


「あ、そうか」と美香さん。

だから光属性が出来なかったんだ。

闇は4属性で出来る。雷も

組み合わせ的には出来る。


でも純粋な雷属性じゃないから

光属性が出来ないんだ。


「じゃあ無属性の核を持った魔獣も

 いるってことですか?」と私。

そりゃいるだろうねぇ。とベル様。


「それはいいとして、これから

 どうやって人間を守るんです?」と

私が言うと


「そうやって人間様の事だけ考えないの」

と美香さんは言うと

亜人や精霊たちも被害にあうんだから。

とも付け加えた。


「自分たちだけで何とかするって

 考えるからいけないんだよ」とベル様。


これを公開して魔核の情報を流せばいい。

「金になる」と。

そしたら「金のために」動くものが

多いだろう。


そうねぇ、魔核1個に対して銀貨2枚だ。


「破格じゃないですか!上級魔獣の

 魔核の4倍ですよ!?」と

私はつい言ってしまった。


何故か自慢げに聞いているルナティア。


誰が払うんですか!そんな大金!

と私が慌てて言うと


「あんたの所で払えばいいじゃない。」

とルナティア様は、何かを知っているような

感じで私を見て言った。


「いや、まて。それはありだ。

 うちの国で独占して買い付ければ

 大きな利ザヤがでるぞ。」

とポイヤックは真顔で言う。


「お金はどうするんですか!」と私。

「作ってるじゃねえか、勝手に。」と

ポイヤックは平然と言う。


ルナティアは笑う。


「もしかして許された?私達は!

 偽造硬貨を作るのを神に許された?」

と私は思った。


「あんたたちそんなことしてると

 大物がきちゃうわよ?」と

ルナティアさまは真顔で言った。


大物とは?と私が聞くと

「そりゃこの大陸の持ち主でしょうに」


「え?それってエアスト様とエンド

 なのでは?」と私が聞くと


「何度も言わさないでよ」と言いながら


私達はこの大陸に生きている人間や

亜人たちの後にそれらの者から

作られたのよ?


じゃあこの大陸や人間、亜人を作った

存在が大物じゃなければ何なのよ。


私やエンドは創造神や創世神とか

言われてるけど、本当の意味のソレよ。


「あったことあるんですか?」と美香さん。


あるわけないじゃない。そもそも

いるかどうかもわからないわ。

でも・・・。


今この大陸では「なかったもの」が

どんどん世に出てきている。

ジヴァニアが勝手に作っている武器とか。

それにあなた達が作っている偽のお金。


その他の色々な概念。

カティサークレットもそうよね。


この世界が大きく変わろうとしている

のは私もわかる。色々な意味で。

もしもこの大陸、いやこの世界を

作ったモノが今まで通りを守りたいと

思っていたら何かしらの手を打つんじゃない?


変化を望むなら何もないかもしれないけども。


そういえば大昔、魔族が滅亡した時にも

今と似た感じだったわ。



変にバランスが崩れて、なにかに

操作されているという感じね。


















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