第11話 国主の行い

その頃、黄の国へ向かう道中


「なんだありゃ!」とテージョ。


10数台の馬車にどう見ても

冒険者でない者達。

そして何か騒ぎの様な事が起こっている。


ジェニ達が近づいてみると

黄の国の鎧を着た兵士達がその他の

人間を足蹴にしたり引っぱったりしている。


「なんだ、お前らは!」と兵士たちが

ジェニ達に言う。


「た、只の通行人です」とボルドー。

と同時に声がする。

「勇樹!助かった!助けてくれ!」

と元冒険者ギルドの受付の姉さん。


お姉さんも兵士たちに抵抗しているが

どう見ても難民のような人たちが

多すぎて守り切れていない。


「黄の国はもうだめだ!こんな輩が

 のさばってる!」と難民っぽい

人たちが言う。

「何を言うか!手続きもなしに国を

 出る方が犯罪だろうに!」と兵士。


「誰が、御貴族様だけいい思いをする

 国に居られるか!」

と難民っぽい人たちは言う。


「殺しやがった!」とある所で声がした。

兵士の手には血の付いた剣が握られていた。


「し、しかたないだろうがぁっ!

 お前たちが反抗するからだっ!」

その兵士は言う。


沈黙の後


「勿論あなた達は上からの命令で

 遣っているだろうから、アレだけど」

と受付のお姉さん。そして続ける。


「兵士の人たちは知ってますよね?

 平民派が、平民派だけが変死してるって。

 これはどう見ても

 貴族派がやってる事でしょう。」


だったらさ!私達平民派は

いらないって事でしょ?

何処行こうがっ!自由じゃない!


「私達は紫の国へ行く!」と

言っちゃったのである。


歓声が上がる。


対峙している合い中にジェニの

バイクが割り込む。


ジェニはバイクを降りると言う。


「紫の国は!

 このジェニエーベルの名の下に

 この難民を受け入れる!」と。


全員がジェニを見る。


受付のお姉さんが言う。

「この方が紫の国主、

 ジェニエーベル様だ」と。


ボルドーとマルチネは手を顔に当てる。

そして二人は言う。

「若いっていいわ」と。


兵士は

「邪魔をするな!」とジェニに向かい

一人が剣を振おうとする。

それをテージョが棍で受け止める。


ジェニは刀を取り出し

兵士に向かって、連続で切り倒す。

が、神器の為に殴打となる。



全員が沈黙する。


「おいおいおいおい!」と

ボルドーは言う。


「言ったはずだ!この難民は

 すでに紫の国が受け入れたと!」


「認められるか!帰って報告をする!

 青の国の属国風情が!」

と兵士は言う。


「帰って伝えろ!今から国主の

 ジェニエーベルが

 首都に向かっていると!」


兵士たちはそれを聞きながらも

「やりやがったな!」

といい襲い掛かる。


が、テージョが横から棍で薙ぎ払い

一瞬で5人が戦闘不能となる。


「言うが、私達は強いぞ?」と

不敵に笑う。


動ける兵士たちは逃げる様に

退散した。


歓声が上がると同時に難民たちに

ジェニは言う。

「俺が国主って言うのは本当だ。

 このまま紫の国へ行け。」と。


「私が保証する。この方は国主だ」

と受付のお姉さん。

難民たちは歓声を上げる。


「あなた達は紫の国へ向かいなさい」

とマルチネが言う。

「ジェニエーベル、話がある」とも

真顔で言う。


お前のやった事は内政干渉だ。

わかるな?取り方によっては

これは戦争を仕掛けたに等しい。


言い逃れは出来んぞ?


「そのつもりだ」とジェニは言う。


その一言を聞いてボルドーは思う。

「バーボンさんの言ったとおりに

 なっちまった・・・」と。


難民を見送ると4人が話す。

「勢いでやっちまった」とテージョ。

気にするなと、言うジェニ。


ボルドーとマルチネはジェニに言う。

「お前、ワザとやったな?」と。


ジェニエーベルは言う。

「ならば、あのまま通り過ぎろと?」と。

「そうだ。」とマルチネとボルドー。


「しかし」と言うとマルチネは


国主としては、お前のやった事は

軽率であったと言うべきだ。

しかし、人としてお前のやった事は

正しいと思う。


「じゃあもし、あなたが皇女として

 私の立場であれば?」と

ジェニは聞く。


「兵士は皆殺しね」とマルチネは言った。

さらに、話をつづける。


矛盾しているかもしれないけども

やるのであれば、痕跡を残してはいけない。

火種になりそうな者は消す。


覚えときなさい。


国を背負うという事は

自身の行う事を後悔はしてはいけない。

そして、不安要素も残してはいけない。


相手と向かい合った時に

つけこまれる要素は残してはいけない。

堂々と「嘘」を言うために。


そこまで言うと

「いくわよ!首都に」と言う。


「おれ、甘いですか?」とジェニ。

「甘いわ」とマルチネ。


「さすが青の国の皇女様ですね」

とジェニは言うと

「元よ、元」と笑いながらマルチネは言った。


「だてに30年も青の国を支えていたって

 わけじゃないか・・・。」とボルドーは

マルチネにしがみ付きながら思っていた。


「そういえば」とジェニは言い、質問をする。

バーボンさんとどうやって知り合ったんです?


マルチネは答える。

「ルナティアに紹介してもらったわ。

 神器の槍を盗みに来た盗賊って。」と笑う。


バーボンが城に潜入した時に

ルナティアは何かを感じたみたい。

そして近衛兵に追われている

バーボンを部屋に誘導して助けたみたいよ?


「バーボンを見て一目ぼれしちゃった

 のだろうね」ともいい、笑った。


「こ、今度ゆっくり聞きます」と

ジェニは苦笑いしながら言った。








































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