第10話 ルナティア降臨

数日後 青の国 首都


「やっと着いたわね」と美香さん。

もうあんたは魔法士なんてやめなさい!

とのお𠮟りを受けました。


「ところで、唯ちゃんにアポは

 取ってるのよね?」と謎の言葉を

言う美香さん。


アポとは?と私が聞くと

「来るから会ってね、という約束よ」


あぁ、それなら問題ないです。

取ってません。でもいけるでしょ。

と私は言ったら、殴られた。


私は城の入り口にいる兵士に

ジェニ様からの書状を渡した。

それと私と美香さん、そして

ポムロールの身分証もついでに見せた。


その兵士は書状を受け取ると

人を呼びそれをどこかへ持っていく

ように指示をして、

「書状は受付に回しておく」と

上から目線で言った。


日差しが暑いのでそこの木陰で

待ってますと言い、移動した。


待つこと2時間。

美香さんはユキツーと遊んでいる。

私は座って待っている。

ポムロールは袋を抱え寝ている。


「そろそろかな。」と私は美香さんを見る。

どうやら当たった。


いきなり門番の所へ美香さんは行くと

「てめえ!いつまで待たせるんだよ!」

と、それはもうお怒りだ。


止せばいいのに門番は

「あぁ?どこの誰かかわかんない奴に

 ベルジュラック様を会わせられる

 わけないだろう!」と言っちゃった。


「さっきの書状は受付に回しておいた。

 2~3日したら声もかかるだろう」

とも・・・。


「私はベルジュラックのひ孫だからね?

 覚えとくように!」と言うと

何故かあっさり戻ってきた。


少しは成長したのかなと思っていると

突然ユキツーに何かを指示する。

ユキツーは延長砲身を構え

結構、溜めを作って光線を発射した。


勿論、門は破壊される。

中から10人くらいの兵士がやってくる。


「私はボーボンの娘、ジヴァニアだ!

 ベルジュラックは私の曾祖母だ!

 ルナティアを呼べ!今すぐに!」

と美香さんは言うが、そうそう皇女が

出てくるわけはなく。


取り押さえようと近づいてくる

兵士達を刀でなぎ倒している。

「峰打ちじゃぁああ!」と笑いながら。


「いいか!私は身分を盾に、

 なんだってやるぞ!全員の顔は

 覚えたからな!」とも言っている。


「行くぞ!コルン!」と言うと

何故か中に突っ込んでいった。

面白そうなので私もついて行く。


「昔の私なら、面白そうなんて

 思わなかっただろうなぁ」と思いつつ。


「受付は何処だ!もうわかんない!

 こうなったら!ルナティア様を呼び出す!」

と言うととんでもない一言を発する。



「ルナティア!出てこい!ウォッカが

 会いに来たぞ!」と、とても大きな声。


「ビビッて隠れてるんじゃねえぞ!」

とも言っちゃったのである。


一時して城が少し揺れると

天井をぶち抜いて黄色い閃光が

美香さんを目掛けて降ってきた。


美香さんはそれを避けると

刀を構える。


その黄色い閃光が収束すると

中にはルナティア様が居た。


「てめぇ、私の国でその名前を

言ってるんじゃねえぞ?蒸発させるぞ。

・・・てか、アイツいないし。」

と、目を金色に輝かせて皇女は言った。


そして美香さんと目が合う。


「あら、誰かと思ったら親子喧嘩で

 負けた方じゃない」と皇女。


「呼びかけに答えて来てくださり、

 ありがとうございます。私の母様と

 引き分けた皇女様。」と美香さん。


少しの沈黙の後・・・。


「今度こそ勝つ!」と美香さん。

「今度こそ勝つ!」と皇女様。

二人の見事なハーモニー。


ここじゃ何だから行くわよ、私の部屋に。

と皇女が言うと


もしかして、知ってました?来てるって。

と美香さん。


「もちろんよ。」と笑いながら皇女は

言うと、門番と受付に向かって言う。


「紫の国が戦争を仕掛けてきたら

 あなた達のせいよ?処罰は覚悟

 していてね」と。


そして5階のルナティアの部屋につく。

「で、ご用件は?」とお茶を準備

しながら聞いてきた皇女様。


ベル様に見せるはずの手紙を

美香さんは皇女に渡した。


それを読むと、少し考えたような顔をして

「お茶入れちゃったけど、ベルの所へ

 行きましょうか」と言うと

私達をベル様の部屋に案内した。


部屋に入るとベル様は床に伏している。

「唯ちゃんどうしたの!」と美香は

慌てて駆け寄る。


「おやまぁ、珍しい顔ね」と笑うベル様。

「ちょっと体調を崩してね、まぁ大丈夫よ。

 結構な歳だからねぇ」と美香の手を握る。


「久しぶりに会ったのに、なに泣きそうな顔を

 してるんだい。こんな時は笑うもんよ?

 イイ女は。」とも言うベル様。


「で、何か重要なことを言いに来たんじゃ

 ないのかい?」と優しく美香に微笑む。


美香さんに代わって私が

「実は見てほしいモノがあります。」と

言い、小さな袋と大きな袋をベル様の

横にある机に置いた。


ベル様は起き上がり、まずは小さな袋を

開け、黄色い核を取り出した。


「へぇ、面白いモノ持ってるじゃないか」

そう言うと、左手で小さな魔方陣を

右手に向けて描くと、右手の

親指と人差し指で挟み・・・。

なんと、潰した。


砕けた核が粉々になると魔方陣の

中で小さな雷の様なモノが現れた。


「純粋な雷属性の核じゃな。

 こりゃ驚いた。」と。


雷属性は風と水と炎の複合で

作れなくはないが安定はしない。

発見した魔法士が組み合わせを

教えないくらいのモノだ。


紫の国のファルツは確か

使えたはずだが、それでも

微弱で下級以下の威力だ。とも言う。


しかしこれは単独で、それも

純粋に雷属性の核だ。と続けた。

これを杖に付与すればとんでもない

杖が作れるだろうねぇ。


因みにルナティア様の魔法の根幹は

雷属性でもある。とも言った。


「違うわよ、光属性よ?」と笑う皇女。


「光属性」。その言葉を聞き、目を

キラキラとさせて皇女を見る女性が一人。

じぃぃっと皇女を見る美香さんであった。



そして今度は大きい袋を開けるベル様。














 





 

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