第6話 再会と再会

結構な速度が出ているが

馬は疲れも見せずに走っている。

ちょっと早いのか

爺婆が車酔いをしている・・・。


小休憩を挟むために荷馬車を止める。

「なぁ、親父達が街を出て

 どれくらい走ってるんだろうな」

とテージョはリアスに聞く。


「冒険者が付いているという事は

 それほど速度は出ないだろう。

 ならばこの速度で走ると・・・。

 道中で追いつくだろう」

と返答する。


もしも、13人衆が入れ替わったら

どんなことが起きるんだ?

とテージョは聞く。


「そうだな・・・」と話を始める

リアス。


基本的に貴族は高慢だ。

上下関係がはっきりし、今以上に

貴族と平民の隔たりが起きるだろう。


自分たちが線引きをしている以上

貴族と平民が歩み寄る事はない。

そして完全なる格差が出来るだろう。


いわゆる、税金だ。

今まではハジメ様の元、税金は

国に一旦、納入され分配されていた。

街単位で分配だ。


これは多分だが、今後は

領主制になり、貴族がその領主となり

貴族に入った税金を国に納める。


抜き放題だ。


実はな、ハジメ様が筆頭になる前は

そうだったんだよ。


元々、ハジメ様は貴族位だ。

そうじゃなきゃ、エンド討伐だけでは

黄の国では13人衆にはなれない。


ハジメ様を支持していた貴族たちは

そりゃあ、「騙された」と

大騒ぎだったらしい。


「あんたの所も貴族なの?」と

テージョは聞くと、リアスは首を振る。


親父は只の労働者だった。

しかし、労働環境の問題で

ハジメ様に食って掛かったんだよ。


そしたらハジメ様は

「じゃあ選挙に出てこの国を変えろ」

と言われたらしい。


ハジメ様が強引に平民でも議員になれて

平民も選挙に参加できるようにしたんだ。


貴族よりも平民が多いのは当たり前だ。

なら選挙には勝つわな、平民派が。


しかし親父はそんな派閥なんて

気にもしないで、本当に身近な者達の

声を聴き、それを訴え続けたよ。


まぁどっちかって言うと平民寄りだな。


そこまで話すとリアスは少し笑った。


「おれは母ちゃん似だ。母ちゃんは

 冒険者だった。」とも言う。


国の運営なんて俺には無理だ。

俺はジェニ様たちと会って

そして仲間になった。


最初は只の冒険者と思った奴が

国主だったよ。でもな、

納得したよ。わかるんだよ。


強さで言うと多分、お前や

美香の方が強いかもしれない。


でも、ジェニ様の方が凄いんだよ。

強いのはお前たちで

凄いのはジェニ様だ。


まぁ何を言っているか自分でも

よくわからんが。と笑う。


でも、この頃のジェニ様は

なんか、・・・そうだな、

危ういんだ。そう俺は思う。


そしてまた馬車は走り出す。


そして次の日


「馬車への魔法防御は切らすなよ!」

そう冒険者のリーダーが言う。


「相手は只のゴロツキだ。一人でいい。

 殺さないで捕らえろ!」と

女性の冒険者は言う。


戦闘が終わると

「昨日の奴らよりも強かったな」

とリーダー。


「まだ襲ってくるかな。

 元リーダーはどう思う?」と

女性は言うと


「元はよせ。もうすでにあだ名に

 なってるじゃねえか。元リーダーって」

と笑いながら言う。


「どうだろうなぁ。俺達は依頼を

 こなすだけだ。まぁ首都に移って

 いきなりこれだからな」とも言う。


1人のゴロツキが元リーダーと言われた

者の前に連れてこられる。


「で、君たちは何で

 この馬車を狙うんだ?」


ふん。俺達が連絡をしなければ

また次の追手がやってくるぜ?


そしてすごい勢いで近づいてくる

馬車があった。


「ほらな」とそのゴロツキは言う。

冒険者たちは全員が身構える。


「親父ぃぃぃ!かーちゃん!!」と

でっかい声が聞こえる。


「リアスじゃねえか!」

「元リーダーじゃねえか!」


今度の敵はお前たちか、と女性が言うと

「まて、その馬車は俺の親父のだ。

 俺達は親父を追っかけてきた」と

リアスは言うと、馬車から

降りてくる夫婦。


よかった、無事で。とホッとするリアス。


「話は移動しながら馬車の中でいいか?」

とリアスの父親は言う。


リアスは父親の馬車に移り

テージョは捕らえたゴロツキと

爺婆たちと同じ馬車に乗る。


爺婆たちの馬車を先頭に紫の国へ向かう。


「何があったんだ?」とリアス。

読んでみろ。と1通の手紙を渡す。


その手紙を読み、親父を見る。

殺しか!とリアスが言うと父親は頷く。


平民派だけだ。どう見てもハジメ様の

言うとおりだ。

多分生きている平民派は買収された。

そうでなければ死ぬからな。

次は俺達、中立派だ。手紙の通りだろう。


ハジメ様は俺の性格を知ってるからな。

だから俺に手紙を託したのだろう。


ハジメ様だったら

「そういった時に動ける部隊」を

持ってるんじゃねえか?とリアスが聞く。


「禁軍」だろ?決議が必要になってるんだ。

そうハジメ様が決めたんだ。

13人衆の個人の戦力を動かすのも

決議が必要と法を変えたんだ。


「動かせばいいじゃねえか、勝手に。

 こんな時なんだから」とリアスが言うと


こんな時だからでも法を守る。

それがハジメ様なんだよ。

まぁ動かしたら、それはそれで

無用な混乱を招くからな、国に。


しかし、紫の国はないだろう。

青の国とか、赤の国でも。

そっちの方が・・・・。あぁそうか。


リアスは妙に納得した。

「確かに俺の所がいいな」と。


国同士の関係も大変なんだなぁ。と。


一方、テージョはゴロツキの足の指を

潰していた。


1人の爺が言う。

「ぬるいのぉ。この頃の若いもんは」と。

爺婆たち全員笑っていた。


これでぬるい言われるのか!と驚く

テージョであった。



































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