第3話 悪の組織

お前は反対すると思ったんだがな。

とバーボンさんはジェニ様に言う。


確かに誰かをだますことになります。

が、この国を作るうえでの過程と

考えれば。


どうせ騙すの人間でしょ?


ちょっと危うい答えが返ってきたが

バーボンさんは気にも留めずに言う。


「そうだ。だから黄の国なんだよ」と。


その頃


黄の国ではちょっとした事件が

起きていた。


下議員の変死である。

殺されたわけではないが

「不慮の事故」での死亡。


それが各6人ほど。

合計34人。


13人衆の名のもとに調査が

進められているが

ほぼ全てが「不慮の事故」なのだ。


しかし、全員が現在の筆頭

ハジメ率いる組織の議員だ。


もうすぐに13人衆の投票が

行われるこの時期、

ハジメは凄く苛立っている。


「探せ、ほんの些細なことも

 見逃すな。相手は絶対に対抗組織だ。

 裏で何かしている」と。


当初魔王エンド討伐の功労と

才覚により民衆に絶大な人気があった

ハジメだったが、時が流れるにつれ

徐々にその人気に陰りが見え始める、


政務に対しては全く問題はないのだが、

それが逆に他組織の台頭を許すことになる。


平和すぎるが故、勘違いをする。

ある者は純粋に。

ある者は欲の為に。


「ハジメさん、大変です。またです。」

と息を切らせて言いながら

ハジメの元に来る。

今度はどの街だ?とハジメが聞くと


「ここです。首都です。」とその女性は言った。

そして「7人です」とも。


全部の死体を集めろ、俺が見聞する。

そう言うと席を立ち

アイテムボックスから大きめの箱のような

鞄を取り出す。


場所を指定しそこに向かう。


数時間後7つの死体がそこに

運び込まれる。


一人一人の死因を聞き、頷くハジメ。

紙にそれを書き、死体の体に張り付ける。


魔方陣を死体に重ねる。

「うん、揺らがない、次」と

7体の死体に同様に行う。


「魔法の痕跡はないか。ならば」

そう言うと腹を捌き臓物の一つを

取り出し何かの容器に入れる。


その容器に液体の様な物を入れる。

それを全員分行い机に並べる。


鞄から色々な器具と液体を取り出す。

体に張っている紙の死因を見ながら

小さい刃物で体を切る。


様々な箇所、様々な体の中を外を。

ゆっくりと丁寧にハジメは切っては見る。


「なんだこれ、寄生虫か?」と言うと

細くとがった器具でソレを挟み

丸いガラスでできた容器に入れ

蓋をした。


全員分の解剖が終わる。全員から

同じような寄生虫が発見される。


「見たことないな・・・。」

それを見ながら呟く。


椅子に座り目を閉じる。

ふと目を開けると最初に取り出した

臓物を見る。


「うん。変化がない。薬物でもない。

 可能性、いや、多分これが原因だ。」


そう言うとガラスの容器に入った

寄生虫を見る。

7つの容器を鞄に入れ

アイテムボックスに直し込み

その部屋を出る。


「どうでした?何かわかりました?」

と傍付きのような女性が言った。


「死んだ議員が居る街に行く。

 墓を掘り返してやる」とハジメ。


そんなことしたら遺族に何と言われるか。

とその女性は言うとハジメは答える。


「もう手遅れかもしれない。いや

 手遅れだ。やられた。

 言い値の金を払ってでも解剖する」

「サンセール、お前も来い」


そう話していると別な男が走ってきて

「今度は10人です。サボルチです」

と言った。


「サボルチへ行くぞ。馬車はいらない。

 早馬を準備しろ。サンセールは

 武装を整え付いて来い」と

ハジメは言うと旅の準備を整える。


「あぁ、それと。」そう言うと

2通の手紙を渡す。


「この手紙をバイシャスに。

 誰にも気づかれないように。」


あいつの息子はバーボンの所だ。

あの国位だろう。堂々と国の混乱に

首を突っ込めるのは。


バイシャスは何処の組織にも

属していない。だから・・・

逆に動いてくれる。国の為に。


そうハジメは思う。いや、信じた。


一時後、2頭の馬が首都を出る。


それを陰から下種な笑いを

浮かべながら見送る男が居た。

元キルビー族族長のピスコだった。


黄の国 とある屋敷


「何度見ても気持ち悪い生き物ですね。

 小っちゃいし。」

と言われたその男は酒を飲みながら言う。


俺はハジメが好かん。確かに

あいつが筆頭になってからは平和だ。

しかし、どこの誰かわからん奴が

貴族の上に立っていいのか。


俺達が居るから平民は平和なのだよ。

この国は平和なのだよ。

アイツに騙されている平民の、

議員の目を覚まさせてやる。


本当に国を平和にしているのは

我々貴族であってアイツではないと。


どんな手を使ってでも次の選挙は

俺達が勝つ。

そしてわからせるのだ。


「しかしあの男はソレをどこから

 てにいれたんでしょうね。

 というかそれ何なんですか?」と聞かれ


そんな事はどうでもいい。

まぁ我々にコレを持ち込んだのは

あいつの才覚だろう。


我々が13人衆を固めた時には

あいつにちょっとした領地でも

渡せばそれでいいだろう。


場所は移り紫の国


「や、やばい。

 どこから見ても銀貨だ。」

ジェニ様とバーボンさんは驚愕する。

作らせた本人たちが驚く。


「ちょろいぜ」と親方とポイヤック。


悪の組織の誕生の瞬間だった。

そしてその、悪の組織の代表は

何故か私、コルンであった。


「これ一日にどれくらい作れる?」と

バーボンさんは聞くと


「二人だと日に50だな」と

ポイヤックは答える。


じゃあ80は作れるな、1日で。

サモスも入れれば100か。

一か月で4000枚作れ。


そうすれば2か月で10000枚だな。

よし、3か月で30000枚。いける。


私はソロバンで弾いた。

まったく計算が合ってない・・・。


ポイヤックと親方は大きく口を開け

眼を見開いていた。

「労働問題で相談所に言ってやる!」

とポイヤック。


とりあえず親方の伝手で

数名を各国から雇う事となった。







































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