胸オペに向けて①

 診断書が出た頃、初めて家族へカミングアウトしたと言います。

 カミングアウトの経緯は、それはそれでまた別のお話しになるようなので今回は胸オペに向けての流れをまとめることになりました。

 当初は自費診療で手術を受けようと、資金を貯め病院巡りもしていましたが、保険適用で手術を受けれる病院(日本には数件しかなくどこも激混み。大体1年待ち)で3カ月待ちのところがあると聞き、その病院でのオペに向けて、その病院が指定した場所でセカンドオピニオンを取得することにしたそうです。このセカンドオピニオンのために行ったのが例のB病院。3カ月ほどかけてセカンドオピニオンと紹介状(A病院での自分史と結果、B病院からの心理テストを鑑みて診断し、その後保険適用の審査会を通過すれば発行される)を無事に取得し、「さぁ次は手術の予約をしに行くぞ」と気持ちを新たにした帰りの電車内で、事件は起きました。

 たまたま見ていたツイッターで「○○病院1年待ちって言われた」とのツイートがあったというのです。慌てて確認の電話をかけると、なんと胸オペは13カ月待ちだとのお返事が。S君がセカンドオピニオンを取得していた3カ月の間に、予約が埋まりに埋まったようで。もう我慢の限界だと、結局自費診療での胸オペに切り替えることとなったそうです。

 自費診療ならここにする、と決めていた病院へ行き

 「一番早くていつですか?」

 「約2カ月後ですねー」

 「じゃあその日で」

 と、あっさり手術日が決まり、そのまま家族へ連絡もしたそうです。


 カミングアウト後に2カ月ほど帰郷し、更にセカンドオピニオンに3カ月かけ、病院への予約待ちに1カ月費やした結果、胸オペは診断書がおりてから半年以上経過してからとなりました。保険適用の病院も紹介状が無ければ予約すら入れられないシステムだったようで、S君としては歯痒い数ヶ月であっただろうと思います。そんなS君からですが、「治療は計画的に!」とのお言葉を頂きました。本人が言うと説得力が違いますね。そして、「自分は胸オペをして人生が明るくなったし楽しくなったし後悔はしていない。けれども、一度胸を切ると元には戻せない。もし胸オペをするのなら、そのことは伝えたい」(意訳)という気持ちも頂いたので載せておきます。

 猫助もS君の治療にあたって色々情報を集めましたが、胸オペをして傷跡が残ってしまった方や何かしらの障害(壊死してしまったりなど)で思い描いていた体ではなくなってしまった方も一定数お見かけしました。S君もそうしたリスクは承知の上で、手術に臨みました。二人揃って脅すような文面になってしまい申し訳ありませんが、やはりかんがえうるリスク等は確認し、自分の選択に納得した上で治療の取捨選択をすることが大切なのだと思います。

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