「性同一性障害」の診断書を貰うまで①

 S君が行ったのは、2022年現在でも数少ないGID(性同一性障害)学会の認定医がいるAクリニック。実はネットで認定医がいる他のBクリニックも見つけたのですが、そちらは予約が3カ月待ちとのことで、「そんなに待っていられない!」とBクリニックよりも待たないAクリニックへ通うことに。

 実はこの後、Bクリニックに行くことになるのですが、まぁそれはその時に書くとして。

 Aクリニックでは最初に問診票を書き、それを基に先生とお話し・今後についての説明を受け、次回の予約をしたそうです。

 特に覚えていることとして、問診票の話をしてくれました。S君の記憶が確かならば、性別欄は必須項目ではなかったそうですが、何を思ったか迷いながら「女・男」の・部分に大半が被るように女に丸を付けたと。「よくよく考えれば性別違和で受診しているのだから、丸を付けなくても良かったorz」と帰宅後崩れ落ちたとか落ちなかったとか。加えて「緊急連絡先」で、実家(当時、S君は地元を離れ独り暮らしをしていました)しか書ける番号が無かったので書いたが、家族の誰にもカミングアウトしていなかったのでその日から家族からの電話にビビり散らしていたそうで。受付で「予約時間を過ぎても来院せず、本人の携帯にも繋がらなかった時などに使用します」と説明され、予約時間は死んでも守り、5分でも遅れそうなら連絡を入れていたという徹底ぶりだったと教えてくれました。友人として言うことがあるとするならば、遊びに行く時、必ず遅刻していたS君とは思えません。

 受診にあたり、ネットで情報収集し、「自分史」なるものを書くとの情報を得ていました。S君の説明によると、「いつから性別に違和感があるのか」「家族はどのような感じか」といったことを年表にした物です。しかしS君、猫助を召喚したことからも分かる通り、書くことそのものが苦手。結果、「小学校:七五三で男児用衣装に目がいく,ランドセルの色で困る」「中学校:トイレと更衣室で悩む」のようなシンプ~ルなメモ書きで挑んだとのことです。「○歳で胸オペ」などの今後の展望も書き、初診時先生に提出。ただでさえ緊張していたS君に先生からの「これを倍(1万字?←S君のうろ覚え)にして欲しいんだけど出来る?」アタックに撃沈しながらも、以降、このメモ書きがAクリニック受診の核となるのでした。

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