40 真夜中のヒーロー

「ハーイ、2回戦まで20分の休み時間でしょ、おやつが出ますよ」

植草さんの奥さんと娘のミサさんが、何かいいにおいのものを運んできた。

「わあい、ピザだ」

モチモチの生地の上に、チーズとソーセージがのった手作りのミニピザだ。飲み物はサイダーが泡をさわやかにパチパチさせている。

「あれ?」

マイコが気が付くと、ミサさんの肩に、あのやせの大食い、しなやかボディのサチサチが乗っているではないか。この間会った時から意気投合し、今日もチャムチャムに呼び出してもらったのだと言う。

「今日はサチサチさんのレシピから、ホットドッグピザでーす」

この、手のひらサイズの小さなピザの生地の端が、ちょっとだけ伸びていてソーセージがくっついている。おいしそうな手作りソーセージだ。そのソーセージを軸に、ピザをくるくると巻いて食べるのだそうだ。

「へえ、手も汚れにくいし、食べやすい、ピザ味のホットドッグ、おいしい!」

みんなくるくる巻いてぱくついた。おやつにはもってこいだ。

2回戦の終わりには、紅茶とクッキーが出ます。3回戦の終わりには、名物のパイが焼き上がるからね。ミサさんがニコニコしてそう言う。

「ようし、2回戦はもらったわ!」

マイコはますます元気になってやる気満々だ。ユウトもすっかり調子を取り戻してきた感じだ。

そしてさっそくテーブルの上に、博物館の展示物とゲーム盤を並べる。

「実はね、さっきのゲームもそうだったんだけど、僕たちも事前にゲームのマニュアルを手に入れてね、色々作戦を立てていたんだ。特に僕は、この博物館の怪物は何通りも作戦を立ててね、まあ、負ける気がしないね」

もともとやんちゃな野球少年のマサルが、ちょっとダークにほほ笑んだ。ヒロが絶えず耳元で何か囁いている。いやな感じだ。

そして敵チームは、今度はマサルとユリコだ。マサルとヒロからいろんな情報が回っているようだった。ユウトもマイコと何か作戦をと考えていたが、マイコはすっかりサイダーとホットドッグピザの世界に入り込み、幸福のオーラに包まれていた。

「ま、いいか、マイコちゃんの自由に任せよう。俺はサポート役に徹するよ。何かその方がうまくいくような気がする」

そしていよいよキャラクター決めだ。マイコはこの間と同じように、金運の高いジェニファー。ユウトはよくよく考えて、最初から封印カードを4枚持ってるサイナス博士。ユリコは万能キャラのハワード教授。そしてマサルは怪物から逃げやすい俊足ジョニーに決めたのだった。

さあ、いよいよボードゲーム、博物館の怪物の始まりだ。

真夜中のアレキサンダー大博物館、世界の7不思議展のために、新しい展示物が搬入されていた。その中で超常現象を引き起こすと言う隕石が真夜中に光り始めた。

それから少したった時、何者かが内部で暴れ出し、警備システムが切断され、展示物やお宝があちらこちらにばらまかれた。博物館の隣にある大学の研究室に泊りこんでいたハワード教授は、物音に驚き、仲間と一緒に博物館に出かけていった。

みんながサイコロを振って、まずは大展示室から歩きだす。恐竜の骨格標本が、エジプトのミイラが、今にも動き出しそうだ。

行動は以下の4種類がある

1、宝探し。お宝カードを引く。金貨や宝物のパーツを手に入れる。

2、調べる。イベントカードを引く。高額な宝物やアイテム、怪物も出る。

3、装備する。装備アイテムカードを引く。

4、怪物探索。怪物を探しに行くので高い確率で怪物が出現する。非常に危険だが、怪物を封印するとボーナスポイントが出るので、逆転できるチャンスもある。

ユリコのハワード教授は、的確にあたりを調べ、マサルの作戦なのか、封印カードを狙っているようだ。

マイコはまたこの間と同じ、ひたすらお宝探しに熱中している。ユウトは自由なマイコの動きを見ながらお宝探しはほとんどせず、装備を固めたり、さらに封印カードを増やそうと動いている。不気味なのは、マサルの動きだ。マサルはマイコがお宝探しだけを熱心にやっている様子を見るとほくそ笑んだ。

「予想通り、アホな女だ。作戦決行だ」

マサルは、あちこちの部屋に入って探し回り、ひたすら装備を固めだした。強力ライトに、ガムテープ、ロープに爆竹までひたすらに集めまくっている。

序盤戦はそんなわけで、みんなが勝手にバラバラニ動きまわっていた。

ユリコはさっそく封印カードを1枚手に入れたようだ。

「よし、主な装備アイテムはすべて手に入れた。ヒロと考えた作戦にそろそろ取りかかるかな」

マサルが、再びダークに笑った。

「え、何をするんだ?」

するとマサルは、まだ序盤が終わったばかりのこのタイミングで、誰もやったことの無かったことをやり始めた。

「怪物探索?なぜ、そんなことを、今?」

一か八かで逆転を狙う以外使わない方法だと思っていた。なぜなら、自分も仲間も襲われれば、宝やポイントが半減する恐れがあるからだ。

そして、ついに怪物カードが引かれた。

☆吸血人形アナスタシア。○弱点、聖なる十字架。○能力、襲った人間をしばらくの間吸血鬼にする。別の人間を襲うと元にもどる。

フランス人形のような豪華な衣装、白く透き通るような肌、青い大きな瞳、美しいその顔。だが、口元には牙が覗いていた…。

ゲームの妖精の魔法で、アナスタシアの立体の駒がボード上に現れ、自分でサイコロを振り、妖しい微笑みを浮かべながらカタカタと動きだした。

このボードゲームは1直線のコースではなく、博物館の中なので、脇道や空き部屋、分かれ道もある。運が悪くなければ避けることも可能だが、やはりいやな感じだ。応援参加のユリコが露骨に嫌な顔をした。

「マサル、私まで危険になるのよ、なんで言ってくれなかったの」

「だから、封印カードを集めとけって言っておいたよね。君ももう1枚手に入れただろ」

さらに、ユリコが2枚目の封印カードを手に入れた頃、マサルはさらにもう1匹の怪物カードを引いていた。

「きゃー、なにこれ?なめくじ?」

マイコが驚きの声を上げていた。今回ボード版に現れた、怪物の立体駒は、大きなナメクジに似ていた。

進化する人工生命体α3。弱点、冷凍弾。どんどん進化し、形態と能力が変わっていく。今はナメクジで1回に1マスしか進めないが、どう進化していくのだろう。

これで怪物は2匹だ。いやな予感を感じたユウトは、少しでも封印カードを増やそうとイベントカードを引いたが、簡単に出るものでもない。

ナメクジはすぐに進化を始め、速度が1回2マスになり、次は脚が生えだし、ナメクジの触角を持った8本足のムカデのように変化していった。

「やったー、女神の腕よ、これで女神のアイテム2つなの。3つそろえば、高額ポイントになるわ」

不穏な動きの中でも、マイコのペースは変わらない。お宝だけを増やしていく。

「万が一の時は、僕ががんばらなくちゃ…」

ユウトはますます責任を感じながら、マサルの動きを見守った。

今ボード上に2匹の怪物がうごめき、マイコ以外は緊張してプレイしている。

「へへ、次も怪物探索だ」

「ええ?どういう事?」

マサルが、なんと続けてもう1枚怪物カードを引く。

いにしえの砂嵐の魔神、ヴォルダリ。弱点、太陽神の石板。能力、暴走。サイコロで4以上出ると、前に6マス進み、その間にいる人を全員襲う。

暴走?!とんでもない能力の魔神が現れた。しかもヴォルダリは、奇怪な姿をした古代の石像の怪物で、その顔には目がなく、かわりに眉間に真っ暗な丸い穴があいている…。なんとも不気味な奴だ。さすがに同じチームのユリコも怒り出した。

「どういう作戦なの、私まで危険じゃないの、怪物が3匹なんてありえない」

するとまさるは、低い声でつぶやいた。

「まあ、すぐにわかるさ」

その声を聞いた途端、ユウトは何かを感じ、男爵にゲームのルールの確認を始めた。妖精語で書かれたマニュアルを見直し、男爵はそっとささやいた。

「それは、ルール違反にはならないでしょう…。対抗策は…」

だが、あの8本足のムカデに進化した人工生命体αⅢが、スピードを速めてマサルを襲った。自分で増やした怪物に襲われるなんて自業自得だ。

「た、助けてくれー!なんちゃってね」

と、思っていたら、マサルの俊足ジョニーは、装備していたロープで足止めし、楽々と怪物から逃げ、怪物はユウト達へと進み始めた。マサルが言った。

「もともと俊足ジョニーは、他のキャラより逃げられる確率が高いんだ。それに色々装備を足せば、よほど運が悪くない限り、怪物がたくさんいても逃げ切れるのさ。俺は怪物にはつかまらない。俺の対戦相手のマイコは俊足でもないし、金集めばかりで装備もない。怪物に襲われてじきにお陀仏さ、俺の勝利が確定するのは時間の問題だ」

そういう作戦だったのか。ボード上に怪物が3匹もうろつくという、異常な状態の中ゲームは進んでいく。

「男爵、封印カード以外に怪物をやっつける方法はないのかい?」

応援参加のユウトは焦っていた。男爵は、妖精語のマニュアルを何回も見直しながら言った。

「このゲームの怪物は、人間の力では決して倒せない、原則不死身なのです。だから人間以外の何か、封印アイテムが無いと封印できないのです。人間にできるのは足止めや逃げ出すことぐらいで、封印意外に退ける方法はありません」

このゲームでは、怪物が12種類いて、ボードゲーム盤では12枚の封印カードのうちどれか1枚を使って封印するのだ。例えばあの進化する生命体α3では、弱点の冷凍弾の封印カードを引き当てない限り倒せないのだ。他の能力は低いが、もともと封印カードを4枚持っている、サイナス博士のキャラを選んだユウトは、さらに封印カードを増やそう、そしてマイコを守ろうと、マイコに近い位置にコースを変更したのだった。

青い瞳の吸血人形アナスタシア。さらに上半身が立ち上がり、カマキリのような凶暴な姿に進化した人工生命体αⅢ。そして目の代わりに大きな穴が1つだけ開いた不気味な古代の魔神ヴォルダリ。それらの怪物達がボードのあちこちに蠢いている。そしてみんなが怪物におびえて大騒ぎになった頃、すべての用意を整えたマサルはここでゆっくりお宝探しを始めたのだった。

「さて高額アイテムを集めるぞ」

「え、マサルもお宝を探し始めたの?」

マイペースのマイコが、ここで初めて反応し達に怪物対策を始めるのか?

「ねえ、チャムチャム、もっと高いお宝を手に入れるにはどうするんだっけ」

チャムチャムはすぐに男爵に確認して言った。

「調べるで、イベントカードを引くと、時々高額アイテムが見つかるそうよ」

「そうなんだ。じゃあ、私、今度はイベントカードを試しに引いてみる」

やっぱりマイペースは変わらない。それどころか、何が起こるか分からないイベントカードで、マイコは高額アイテムどころか、とんでもないカードを引いてくれた。

「あれ、お宝じゃない。怪物出現だって」

「嘘でしょ?」

ユリコが耳を疑った。新しい怪物が出現した。

謎の異次元生物ゾルファ。弱点、空間を閉じる鍵。能力、空間移動。サイコロの1と2が出ると、離れたマスにいる人をランダムに襲う。

そいつは、胸から2本の触角が生えているだけで、目も鼻もない影のような黒い体に、異界の図形や文字が浮かび上がり点滅する、奇怪な異次元人だった。不思議な音を発し、消えたり現れたりを繰り返しながら博物館の中を移動していく。

「キャー!!」

そしてここからは、マサルも予期しなかった状態に突入する。

あの美しい吸血人形アナスタシアが、カタカタと歩いていたと思ったら、突然口がガバっと大きく開き、飛びかかってきた。

「キャー!」

まさかのユリコが、吸血人形アナスタシアに襲われ、お宝は半減。かつ、次の人を襲うまでの間吸血鬼となってしまった。

「もう、マサルのせいよ、私の駒が吸血鬼になって、勝手に動きだしたじゃない」

そう、気が付けば吸血鬼も実質2匹に増え、異次元生物ゾルファも入れると怪物は5匹となっていたのだ。

「ええ、ちょっと待って、何が起こるの?!」

さっそく、異次元生物ゾルファの漆黒の体の、異界の文字や図形の点滅が始まった。

「…あ、消えた?!」

ゾルファは、スーっと消え、今度はユウトの目の前に現れた、空間移動だ。ユウトは、唯一装備していた爆竹を使い、危うく逃れることができた。いったいどこから誰を襲ってくるのか見当が付かない。とんでもない怪物だ。

「ま、まずい。魔神ヴォルダリが近付いてきた。あいつは暴走すると、6マス以内の人を全員襲う。マイコちゃんが危ない」

あの砂嵐の魔神、目の代わりに大きな黒い穴が1つだけ開いた、不気味な怪物がじりじりと近づいてくる。マイコは横の道に入った。今、お宝のポイントで言えば、マイコが1番だ。だが、襲われればまず逃げられないし、装備もない。封印カードだって1枚も持っていない。

ヴォルダリを封印する「太陽神の石板」も、ユウトの手元にはない。

ユウトはマイコに近付きながら、封印カードを手に入れようと、イベントカードで運を試す。

「くく、ダメだ!」

運悪く封印カードが引けない。ユウトの顔がゆがんだ。するとそれまで冷やかにみんなを眺めていたマサルが笑いだした。

「ハハハ、頭悪いね君達が。このくらいのことが予想できなかったのかい。居眠りマイコにドンクユウトじゃ、仕方ないか。チームサイエンスとか言って、調子に乗っていたようだけど、やっぱりサイエンスじゃなくてサエナイスだな。ハハハ、キャラ選びはちゃんと考えたのかい?こっちは装備もたっぷりあるぜ」

小柄で成績もいまいち、野球だけがそこそこうまいマサルが、突然周りを見下してしゃべりだした。楽しく遊ぶはずのゲームで、なんでこんな嫌なことを言うのだろう。マサルはよくゲームをやっているらしいけど、こんな風にいばったり、人をばかにするためにやっているのだろうか?マイコは昨夜の女王様の金言を思い出した。勝者と敗者、支配と服従、そんな単純な関係だけで割り切れないのがこの世界だと。いばったり傷つけ合ったりするのはおかしいと言っていた。そして、勝負はついに決着したのだった。

「あれ、いつの間に…!」

横の道に入ったマイコは青ざめた。あの暴走する魔神ヴォルダリ、吸血人形アナスタシアと、異次元生物ゾルファがマイコニ近付き、マイコはいつの間にか取り囲まれていた。 

ヒロがマサルに言った。

「これでもらいだ。もうマイコはどこにも逃げ場がない。お前の勝ちだ。マサルこそ、博物館の危機を救う者、ヒーローさ!」

マサルが自信に満ちた顔でにこっと笑った。もう、これで終わりなのか…?

「まだだ、まだなんとかなる、やった、封印カードを1枚引けるぞ!」

ユウトがガッツポーズだ。太陽神の石板か、聖なる十字架が手に入れば、危機を回避できるかもしれない。だが…。

「…睡眠ガス?ダメだこれは、人造人間ボルト2号の封印カードだ…」

最後の望みはついえた。ユウトは間に合わなかった。だがその時、異次元生物ゾルファの体に浮かび上がる図形や文字が、異常に点滅を始めた。また空間移動だ。誰かがランダムに襲われるのだ。そしてゾルファはまさかのマサルを襲ったのだった。

「おっと!ああ、危ない危ない!」

マサルは、装備の爆竹でおどろかす隙にまた脱出成功。間一髪、危機を逃れた。

「あれ、ゾルファがいなくなった。こっちに進もうっと」

マイコはゴールの大展示室に向かって動き出した。だが、まだ危機が回避できたわけではなかった。ユウトはなんとかしようと必死だった。その時、マサルの目の前にまた人工生命体αⅢが姿を現した。

「へへ、こいつか、チョロイ、チョロイ」

だがαⅢは最終進化を迎え、ナメクジの触角に、8本のムカデの足、立ち上がった上半身にはカマキリの鎌、そして頭には複眼を持ったオオトカゲの頭がついていた。

そして、マサルは足止めをしようと装備からさっきも使ったロープを出して、逃げようとした。しかし進化したαⅢは、鎌と鋭い牙でロープを簡単に切断して向かってきた。

「グロロロロロ…!!」

「う、うそだろ」

脱出は失敗。逃げ遅れたマサルはまさかのお宝半減。それどころか、異次元生物ゾルファがいなくなった通路から、マイコが逃亡に成功。怪物の包囲網から脱出できたのだった。

「マイコちゃん、今だ!そのままゴールだ!」

ユウトが叫んだ。マイコはお宝を一つも失うことなくそのままゴール。

マサルに大差をつけて、2回戦優勝へと持ち込んだのだった。

「やったねマイコちゃん、優勝だ。これで1対1だ」

ユウトがリベンジを果たして喜んだ。ユカリも声をかけてくれた。

「3回戦はまかせて、きっと勝つよ」

ユリコは次の3回戦のメインの対戦者なので、ムッとした顔のまま言葉少なく後片付けをして、テーブルゲームドールハウスを離れた。

「完璧な作戦だったのに、おかしい、ありえない…」

マサルはまだ自分が負けた理由が理解できなかった。あれだけ怪物を出してしまえば、ハプニングがおこった時、今度のような不測の事態がおこることは、あり得ないことではなかった…。異次元生命体のゾルファが空間移動することも、αⅢが進化して装備がきかなくなることもわかっていたはずなのに…。ふと気が付くと、目の前のマイコやユウトがこっちを見ていた。

「いやあ、マサルの作戦はすごかった。もう負けると思っていたよ」

ユウトがそう言って笑っていた。一瞬、皮肉かと思った。まあ、自分もけっこうひどいことを言っていたのだからしょうがない。いつものことだ。また何か言ってきたら、と構えて、いろんな言い訳や相手の悪口を考えていた。でもにこにこしてマイコが言った。

「マサル君って、本当に強いんだね。あんな作戦、思いつかないよ。もうハラハラドキドキして…すんごく面白かった、ありがとう」

「えっ…」

ひどいことを言われても、マイコはマイコのままだった。うそじゃなくて本当に楽しそうだった。何か大きな1本をとられたような気がした。

「そうだね、ゲームは楽しいよ。まあ、次は、僕は負けないよ」

マサルは、そう言い返した自分が不思議だった。

「はーい、また休憩のおやつタイムよ」

植草さんの奥さんと娘のミサさんが、おやつを持って入ってきた。今度は紅茶とクッキーだ。あれ、今度はサチサチと、お菓子の得意なハニハニが一緒についてきている。二人が並ぶと、どちらもスリムで、痩せの大食いコンビだ。

「サチサチとハニハニの合作レシピ、ポテポテクッキーよ」

サクサクのクッキーの上に、粉チーズで軽く味付けしたポテトサラダがたっぷりのっていて、トッピングは細かくしたポテトチップだ。

「そのまま食べても薄味でおいしいけど、よかったらこっちのクッキー調味料を使ってね」

「クッキー調味料?」

さっそくマイコが見てみると、3種類の調味料が運ばれてきた、

1、ソルトミルと岩塩。岩塩を削って振りかける、シンプルでおいしいポテチ味だ。

2、クリームバター。バターにクリームを加えて練った、柔らかいバター。じゃがバタ味だ。

3、メイプルハニー。メイプルシロップと蜂蜜のソース。スウィートポテト味になる。

「私、まず塩味。うっまーい」

「やっぱクリームバターだよね。ぬりやすいし、おいしー!」

「ちょっと食べてみてよ、メイプルハニー、別物のおいしさだよ」

みんなでパクパク食べているうちに、なんかすっかり和気あいあいムードになってきた。ダージリンの紅茶は、そのまま飲んでも渋みが効いて、甘いものによく合うけれど、砂糖とミルクをたっぷり入れて、ミルクティーにしてもいける。

クッキーに合わせて色々飲める。マイコはモチロンクッキーを3種類食べて、紅茶もそれに合わせてお代わりだ。

そして食べ終わって、またテーブルゲームドールハウスにもどる。いよいよ第3回戦の始まりだった。

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