第14話
結局、オニギリが完成したのは当初の予定より一日遅れでした。
睡眠確保は絶対って言われてたから仕方ないよね。うん。
あと、二十個渡せるはずだったんだけど、カイルが同じ様に出来ているかと確認だって言って二個食べてしまったから結局十八個となりました。
『うん。まぁ、こんなものだろう』
二個も食べてのその感想酷くない!?
ちょっとムカついたので、尻尾をモフモフしてあげました。
カイルは嫌そうな顔をしてたけど、知りません!
まあ、そんな事がありながらも完成した事をクリスさんに伝えると、なぜか完成した物を持って冒険者ギルドへ行くことになりました。
ギルドを通しての依頼じゃないのに何で?って疑問には思いましたが……。
お昼を過ぎてたからか、冒険者ギルドはちょっと閑散としてました。
利用するならやっぱり混雑している時間帯を外すのがいいですね。うん。
そう思っていたのがバレたのか、クリスさんが苦笑しながら「まぁ、アーヤは錬金術師だからな」って。
いや、まぁ、そうなんですけど……。
なんか釈然としません。
「あら、アーヤ。今日も依頼を受けに来てくれたの?」
私に気づいたミシュアさんが受付から声をかけてくれました。
「私、というか……」
「悪い。ギルド長はいるか?」
「どう言ったご用件かしら?」
用があるのはクリスさんなので、代わりに答えてくれたのですが、なんだかミシュアさんの笑顔に圧を感じます。
「あー……」
何か用件が言い辛い事なのでしょうか?
クリスさんは私をチラリと見ると、とても困ったとでも言うような雰囲気を醸し出しましたが、それでも言わないとギルド長には会わせてもらえないと分かっているからか、渋々と言った感じで言いました。
「あー……。ビルデガルトさん関係の話とでも言ってもらえれば分かると思う……」
おじいちゃん関連?
「なるほど。
でしたら仕方ありませんね。上のギルド長室へ直接どうぞ」
ええ!?
ミシュアさん、いいの!?
おじいちゃん関連というだけで、そんな簡単にギルド長へと会わせていいの!?
それにおじいちゃん関連だったらなんでギルド長に会うの!?
「アーヤ行くぞ」
あ、私も行かないといけないんですね。
おじいちゃんの名前が出た以上は、私も無関係ではないって事ですか?
それなら、理由を教えて下さい!
理由さえ分かればここまでドギマギしないのにっ……!
「分かりましたっ!」
だから私の返答が、語気が強くなるのも仕方ない事なのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます