第9話

 錬成が終わって出来たのは、50本のポーション。

 品質を確認すると、ちゃんとギルド基準のポーションとなっているから、問題はなし。

それをアイテムボックスに入れて保管しておく。

 納品は今日じゃないから、劣化をしないようにね。

こういう時間がある時にコツコツと貯めておくのが、いざという時に役に立つのですっ!

──って、おばあちゃんが言ってました。


「あとは、毒消しを作れば今日はもういいかな?」


 そうして毒消し用の素材を取りに行こうとした時『ピピピッ』と、鳥のような鳴き声が聞こえてきた。

それと同時に、ドアの横に取り付けられているランプが白く点滅しだす。


「これって確か……」


 視線を点滅しているランプの横へと向ける。

 そこには15センチ角の白色の箱があった。

箱の上部には丸い穴が幾つか空いており、その下には3センチ角のボタンがついている。

 私はそのボタンを押した。


「えっと……。アーヤです」


 確か使い方はこれでよかったはず。

此処に来てから初めて使ったけど、教えてもらった事はこのボタンを押して話しかければいいだけらしい。


「あ、アーヤ。今大丈夫?」


 白い箱から声が聞こえる。

この声はサクヤだ。


「どうしたの? 今、ポーションの作成も終わったから大丈夫だけど」

「よかった。今ね、アーヤを訪ねてクリスが来てるわよ」

「えっ!? クリスさんが!?」


 思ってもない人の訪問で思わず声が大きくなってしまった。

 んー……。

 毒消しは急ぎじゃないし、せっかくクリスさんが来てるんだから今日はもう終了しよう。


「分かった。片付けたらそっちに行くから待っててもらって!」

「じゃあ、そう言っておくわね」

「うん」


 あんまりお待たせするのも申し訳ないから、急いで片付けなきゃ。

それでも雑にはせずに、丁寧に道具を掃除をしていく。

 雑な片付けなんかしてたら、次に使う時に道具の清掃から始めなきゃいけないし、道具を丁寧かつ清潔に扱うのは錬金術師に限らず職人なら当たり前だもんね。

だって自分の商売道具なんだから。

だからといって時間をかければいいってものでもない。

 丁寧かつ綺麗でスピーディーに片付けが出来て一人前なのです!


 片付けも終わったので、工房からリビングに素早く移動する。

 サクヤなら多分、ここで待っていてもらうように案内してるはず。

 ドアをそっと開けるとそこには、肩に掛かるぐらいの長さの焦げ茶色の髪と紺色の瞳の男性が一人、ソファーに座って待っていた。

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