ハーテヴァーユの新人錬金術師

第8話

とりあえず、ギルドに納品するポーションをさっさと作ろう。

慣れた作業だけれど、気は抜かず基本に忠実にやりますよ。

　まずはケア草とクリア草を水洗いで、一つ一つ丁寧に土や汚れを取り除いていく。

ここが大ざっぱになると仕上がりに影響が出るからね。

ジャリジャリなんて音がするポーションなんて納品した日には、見習いからやり直さなくちゃいけなくなる。

　きれいに汚れを落とすと、次は水気をちゃんと取る。

この作業も大事な事。

水気をちゃんと取らないと加える水分量が変わってしまうからね。

水気が取れたら次は、それぞれの草を手で千切っていきます。

え？ナイフとかで切らないのかって？

その方が効率がいいだろうって？

　確かに効率はいい。

でも、ナイフの成分？みたいなのが草に付いてしまうから、仕上がりに変化が出るんです。

微々たるもので、あんまり違いは分からないらしいんだけど、錬金術師としてはそこは妥協してはいけないところなんです。

　ちゃんとした錬金術師を目指すなら尚更ね。

　草を全て千切り終えると、すり鉢に移してゴリゴリとすり潰していく。

これは原型が分からなくなるぐらいでいい。

とは言っても、力を使うので結構疲れるんだけどね。

　全てすり潰したら、錬金釜へとポポポイっと入れていく。

最後に浄化水をジャバジャバと入れて、ぐるぐると混ぜ合わせる。

錬金釜へ火をつけると、霊力を加えつつグツグツと煮立つまでひたすら混ぜる。

煮立ったら後は冷めるのを待って、最後に錬成をすれば完成。

　結構簡単でしょ？

まあ、錬金術というイメージからは思いつかないぐらい、体力仕事ですけどね。

　世の中の人は霊術でバーン！キラキラ！出来ましたっ！ぐらいなイメージしか持ってないようだし。

なので、見習いから独り立ち出来るまでに、かなりの人が諦めちゃうみたい。

　外から見ると錬金術師って輝かしい職業に見えるから、実際やってその差違に騙されたみたいに思うらしく……。

　見習いになる前に、お師匠様達が何回も説明してるんだけどね。

そういう思い込みの激しい人は、こちらから何を言っても聞いてくれないんだよね。

　だからお師匠様達ももういいや、みたいな感じになっちゃって……。

　はぁ……。

　あ、私は小さい頃から錬金術師のお仕事見てたから大変なのは知ってたよ。

だから体力仕事なのは知ってたけど、やっぱりいろんな物が作れるのって凄いと思ってたから、頼み込んで弟子にしてもらったの。

そして漸く独り立ち出来たのです！

　えっへん！