第7話
今回作るのはギルドに納品するポーションだから、何の捻りも特性も必要のないオーソドックスなポーション。
回復量も品質も決められていて、それから外れるとギルドのポーションとはならない。
そう聞くと難しく思えるけど、独り立ちしたばかりの錬金術師でも問題なく作れる基本的なものです。
これはある意味、新人錬金術師の為の納品クエスト。
新人の錬金術師は実績がないから、物を作ってもなかなか売れないし、ましてやいきなり依頼なんかあるはずもない。
そうなると生活していくのもかなり厳しくなってしまい、最悪錬金術師を辞めてしまうかもしれない。
結果、錬金術師が激減していく事に。
実際、昔そういう危機に陥ったらしい。
そうして考えられたのが、ギルドのポーション納品クエスト。
ギルド基準のポーションは、錬金術師が独り立ちする頃には問題なく作れているから、ポーションを納品すれば贅沢をしない限りなんとか生活が出来る。
そしてポーション納品を繰り返す事によって、経験と信頼、信用を積み重ねていくという、新人救済クエストなんです。
これは、錬金術師ギルドと冒険者ギルドが協力してやっているもの。
そしてある程度クエストをすると種明かしをされて、以後はそのクエストは受けられない。
だって新人救済クエストですからね。
いつまでもそのクエストだけで楽をして、成長されないのも困るというものです。
だからって以後、ポーション納品クエストを受けられないわけではない。
緊急のものとか、種類が違うものとかは問題なく受けられる。
あくまでも、新人救済専用の納品クエストは受けられないというだけの話です。
因みに私も、新人救済クエストを受けられるんだけど、その種明かしを既に師匠からされてるから受けるのも気が引けるというか、何というか。
いや、当然信用とか、経験とか全然足りてないとは思うけど、私は他の独り立ちしたばかりの錬金術師とはちょっと状況が違うからね……。
住居兼工房は既にあるから家賃とかいらないし、お金も冒険者ギルドで稼げるし……。
いや、まあ、それが錬金術師として正しいかと言われるとそれまでなんだけれど……。
でも師匠も『自分がやりたいようにやりなさい。錬金術師だからと自分で自分を縛ってしまえば、新しいものは創造できないわよ』と、言っていたから……。
だからこれでいいと思う。
まあそんなわけで、マイペースで錬金術師やってます。
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