第6話

「えーっと、最初はギルドへ納品するポーションでいいかな」


──用意した素材は、ケア草、クリア草、浄化水。


 それを適正数用意すると、まずはケア草とクリア草を丁寧に水洗いする。

 採取した状態のままアイテムボックスに入れてるから、土とか汚れとかがかなり付着したままなの。

採取した時に処理すればいいのでは?と思うかもしれないけど、錬成する時に処理した方が素材の力を存分に引き出して使えるんだって。

 これは昔、検証した人がいてその結果から解った事らしく、以後そうするのが一般的になったみたい。

 勿論、洗わなくても錬成は問題なく出来るけれど、品質は下がる。


 一般的なポーションは薄い水色で、不純物も浮いていない。

でも、そういう手間を省いた物は濁った水色で、不純物が浮いており、飲むとジャリジャリと異物感がある。

このジャリジャリは、草に付いている土。

濁っているのはちゃんと洗ってないから、汚れがそのまま残っているという事。

そして本来の効能もかなり落ちている。

 そういうポーションは所謂、粗悪品と言われている。

 普通はそういうのを買う人はいないんだけど、ポーションを見た事ない人や、初心者冒険者は騙されて買わされている。

 使う時に他の人から指摘されて気付くパターンと、たまに、本当にたまにお腹をくだす物もあってそれで気付くパターンとがある。

 文句を言おうにも既に売人はとんずらしていて、泣き寝入りするしかない。

 大体そういう怪しい薬類って、露天とかでしか扱ってないから、それで判断するというか、不安な人はそもそも買わない方がいいと思う。

ちゃんとした薬を売っている露店もあるから、露店のものは全部粗悪品!と言えないんだよね。


 鑑定能力や、鑑定アイテムがあれば一発で分かるんだけど……。

 まず、鑑定能力持ってる人が少ないし、鑑定アイテムなんか良いお値段するから、鑑定アイテム持ってる時点で露天ではポーション買わないだろうし。

 結局は、初心者冒険者しか騙されないんだよね……。

 ある意味それが通過儀礼みたいなところもあるらしいし……。


 ポーションの性能は、ギルドで売られている物が基準の目安になっている。

そこからが、錬金術師の腕の見せ所。

効能を増やしたり、少ない量で同じ効能を出したり、味を付けたり……と、錬金術師の個性?特性?を付加してそれぞれに違いを出していく。

だから値段も一律ではなく、バラバラ。

 そして色々なポーションがあるから、値段の差が結構ある。

 ちなみに基準となっているギルドのポーションは、ギルドでの販売に関しては一律の値段となっている。

それは、ギルド協定かなんかで決まっているそうです。

 その他の場所では値段は様々。

何せギルド販売のポーションは、冒険者の死亡率を下げる為に少し安くなっているから。

勿論、ギルド員である事が条件の販売価格だけれどね。


 当然私も、自分のオリジナルのポーションがあります。

そもそも、オリジナルポーションを作れないと錬金術師とは言えないからね。

独り立ちの条件として、オリジナルポーションの作成は必須です。

勿論、それ以外にも条件があるけれどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る