第12話 残り3ヶ月を楽しむことにした。





クロード殿下の匂いのしみついた日当たりの良い部屋。最高のブラッシング。


ここは人をダメにする空間です。


まあ、今は白虎ですけど。


相変わらず、全身をブラッシングされていふます。


クロード殿下の部屋で、ふたりきりなのも、獣化の為に服を脱ぐのも、全身をくまなくブラッシングされるのも、流石にもうアウトなんじゃないかな?


だって、14歳よ。



でも、この極上体験もあと3ヶ月。


なら、たくさん楽しもうか。




あ。しっぽが揺れる。



「ふふ、しっぽが揺れているよ。ここがいいの?」



低音の覇王ボイスで耳元に囁かれる。


やめて、真っ白でふわふわの自慢のけもみみは、音に敏感なの。


子供の頃のボーイソプラノから、見事に変化した魅惑の低音ボイスにゾクゾクがとまらない。


耳の裏を撫でる剣ダコだらけの男らしい手も着痩せしているのに、こうして抱きしめられると分厚い胸板も、ズルい。ドキドキが止まらない。




すっかり大人になったクロード殿下は、ゲームのスチルより数段美丈夫だ。


ゲームでは初盤、細身でトゲトゲと険しい雰囲気で近寄りがたい雰囲気だったが。


学友達と毎日鍛練しているうちに若い騎士団の仲間もできた。


眼光は鋭いものの筋肉質の美しい身体に精悍な顔立ちを持ち、騎士団でも五本の指にはいる腕前のクロード殿下に、かれらの支持も厚い。耳無しのハンデを打ち消してなお余りある程に。



「クロード殿下、アンドレア様。お時間ですよ。」



あー、至福のひとときが終わる。


あと、何回あるのかな?



「アンドレア、残念そうだね。今日はこのままボイコットしてゆっくりすごす?」



魅惑の覇王ボイスで誘惑しないで。


思わず頷いちゃいそうじゃない。


悪魔だわ。乙女を弄ぶ悪魔の色気。


危険、退避!首をふるふるする。



「ふふ。まだまだか。残念。」



色気すら感じる甘い眼差し。


見つめられると、甘えたくてたまらなくなる。


ふらふらと身体をすりよせた。


獣人の本能に負けた。



「アンドレアは可愛いな。でも、そろそろ支度しないと侍従が飛び込んでくるぞ。」



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