第13話スチルを再現したい!





ヤバかった。今日のは本気でヤバかった。


ゲームのアンドレアが、クロード殿下を閉じ込めたのがわかる気がした。


あの色気、運命の番のあらがいがたい匂い。


駄目だ。理性が負ける。




いくら、3ヶ月後に留学して離れるからといっても、少しは自重しないと。



ゲーム開始は4月。


期間は入学から一年間。


ゲームのメインイベントは2月にある献音祭だ。



献音祭は、始祖の黄金竜に音楽を捧げるコンテストだ。主人公レンと攻略対象者がペアを組んで出場し、優勝する流れなんだけど、それぞれのルートで繰り広げられる練習風景が神スチルだった。



特に私は推しであるクロード殿下ルートのスチルがお気に入りだった。主人公レンを後ろから抱き抱えてハープを奏でるとか。神すぎです。



見たい。いや、実際にやって欲しい。



アンドレアに甘いクロード殿下ならお願いすればしてくれるんじゃないだろうか?


最近公務が増えて忙しそうだが、ゲームが始まったらお願いは聞いてくれないだろう。


チャンスは主人公レンに出会う前の今しかない。



思い出作りがしたい。


私はついに煩悩にも負けた。





「献音祭に出たい?」


アルバート第二王子が驚いた様に言った。



そう、献音祭は、王立学院だけのイベントではない。


国上げてのイベントだ。


全国民参加可能なのだが、王立学院の生徒は全員強制参加だ。来年から否応なしに出場になるのに前年の今、出る意義はない。



でも、今年みんなで参加したい。



無理かな?


チラッとクロード殿下を見ると、頭をぽんぽんしてくれた。


今、虎じゃないし。二人きりでもない。


公の場で、婚約者でもない侯爵令嬢の頭をぽんぽんするなんて。


顔が赤くなるのが、止められない。


恥ずかしい。




ユリウスと、エドワードが目を反らしてくれる。



何はともあれ、私達は5人組で参加する事となった。



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