第15話 鬼滅の刃を迎えて解く
W:……しかし、話をまた
I:『ドグラ・マグラ』は昭和10年の初版発行時こそ、
「日本一幻魔怪奇の本格探偵小説」、「幻怪、妖麗、グロテスク、エロテイシズムの極」、「日本探偵小説界の最高峰」……
などの宣伝文句で読書界に大きな話題を提供していたようですが、令和の現代において僕がウィキペディアを
W:迷宮入りからゴミ箱入りですか……。アハ……アハアハアハ……。面白う御座いますなあ。
「迷宮破り」の二つ名を持つ
I:まあ、僕もそんな気がしないでもありません。しかし、ドグラ・マグラの方の「脳髄の迷宮」は我々二人にもちょっとばかり歯応えがあり過ぎる嫌いがありますから、脱出口を見つけだすのにかなりの手間と時間を要することは
W:……ナルホド。貴方様としては、
I:ハイ、そういうことです。最初は
W:……アハハハハハ。腕が鳴りますなあ、
I:ええ、そうですとも!
サテと、それでは若林教授。『鬼滅の刃』の
W:そうですな。まあ、貴方様と私奴とは、例の人体学術実験の当事者でもありましたから、それほど認識にズレがあろうとも思えませんが、念には念を入れて『ドグラ・マグラ』の粗筋についてザッとお
I:ハイ。それでは
W:左様ですか……。それでは早速、貴方様の見解をお聞かせくださいませ……。
I:サテと……。では、一席ぶってみましょうか。ゴホン……………………。
ヤアヤア。遠からん者は望遠鏡にて
W:チョ、チョット待って下さいませッ。ストップ、ストップ!
I:……ハ? どうかなさいましたか、若林教授?
W:昨今のわれわれのドグラ・マグラが置かれた境遇、その無視のされように貴方様が
今は
I:そんなもんですかね~?
それでは気分一新、教授の助言に従ってお上品に、よりフォーマルな感じで……
コホン!
注解
(34)1935年に初版本が刊行されたドグラ・マグラは、やがて出版百周年を迎える。これまでフランス語(2003年)、韓国語(2008年)、ロシア語(2023年)で翻訳出版され、英語訳は2002年に文化庁の事業として、夏目漱石や芥川龍之介ら他の26作品とともに翻訳が試みられたが途中で挫折している。なお、アマゾンで検索するとフランス語版を底そこほ ん 本とする英語版ドグラ・マグラ
が2023年4月に上じょうし梓されたとの情報がある。また、「Demon Crane Press」という出版社が2023年から英訳作業を進めており、ネット上でその翻訳文の冒頭部が公開されている。以下、『少女地獄』、『瓶詰地獄』、『あやかしの鼓』の外国語版のカバー写真とともに掲げる。
ドグラ・マグラは中国語では2004年に『腦髓地獄』のタイトルで台湾で出版された。その後、中国語版では複数の版元からも出ているようである。簡体字の中国本土版『脑髓地狱』の中には次のような眉唾な推薦文つきの翻訳本がある。
〝私にとって日本の芸術品は3つしかない。大阪の太閤の城、黒澤明の羅生門、夢野久作の『ドグラ・マグラ』だ。私の『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』はそれに遠く及ばない〟――宮崎駿
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます