第206話 キスには意味があった。
ついにその日がやってきた————。
私と優一さんは美優ちゃんから手渡された特殊なブレスレットを装着したまま、寝室に入る。
なぜか、私に用意された服は、麻友プレゼンツの黒の透けたネグリジェという何とも妖艶なお姿に。
いや、まだまだ高校生という姿からすれば、背伸びして着てみたよ! という感じにしか見えないかもしれない。
が、優一さんにはそれでも十分に効果はあるようで、すでに香ばしい匂いが私の鼻孔をくすぐり始める。
と、同時に私の下腹部が
ううっ……。はしたないなぁ……。
「優くん……」
私が声を掛けると、優一さんは無言のまま、唇を合わせてくる。
三度ほど、軽くチークキス。
そして、私の唇の間から侵入してくる彼の舌————。
すぐに彼の舌は私の舌を捕らえて、絡めてくる。
ああ! もうエッチな気持ちにさせられちゃってる!
ネグリジェの生地が胸のあたりをこするたびに、ピクピクンと体を震わせてしまう。
「好きだよ、ちぃちゃん」
「……うん。私もしゅき……♡」
好きを確かめ合うようなキスの後、ベッドの近くに置いてあったボトルを優一さんは手に取る。
中からはとろりとしたゲル状のものが垂れてくる。
肌に触れると少しひんやりとした感覚が走る。
優一さんは丁寧に下腹部に塗り、そして、これから「儀式」で使う穴にも撫でるように塗る。
ああ、またあの感覚……いえ、快感に襲われちゃうなんて……………。
そのドキドキは緊張なのか、それとも高揚感からくるものなのか、私には結論の出せるような状態ではなかった。
ただ、一言でいうと、待っているのだと思う。
指でちゅぷちゅぷと刺激されると、全身から緊張して力んでいたものすべてが弛緩する。
ああ、これ、本当にヤバイ————。
ちゅぷぷぷぷ…………
入ってくるぅ~~~~~~~♡
すでに目の前がチカチカと光るような錯覚を覚える。
これ、本当にヤバイかも。
何度も執拗に指を出し入れされると、くったりとした私の身体はベッドに預けられる。
ダメだ……。全身に力が入らない…………。
「じゃあ、始めるよ!」
優一さんのその一言のあと、全身に快感が走り、それは脳髄まで駆け巡った。
優一さん……、大きすぎます……………!!
モニタリングルームも疲労の色が見え始めていた。
もちろん、このモニタリングルームは、あたし・竹崎美優の専用部屋……のはずだが、今回は麻友ちゃん、そして助手として働いてくれている由美ちゃんもいる。
麻友ちゃんはプリンをパクつきながら、
「それにしても、もう7日目なんだね……」
そう。初心な恋人の初セックスのような雰囲気を出しながら始まった「儀式」は、いつの間にか7日目……つまり最終日を迎えていたのだ。
「食事はちゃんと食べてくれてましたか?」
「ああ、それは大丈夫ですわ。最近は片手で食べやすいものにしたところ、ヤりながら食べてらっしゃるようですし」
「ゆ、由美ちゃん!? 言葉の使い方には気を付けて!?」
「あ、も、申し訳ありません。事実のまま述べてしまいました」
そう。最近、素が出てきている由美ちゃん。
とはいえ、その素がまさかの毒舌だったとは………。
「でも、優一は本当に凄いね~。あんなに出し続けれるものなの?」
「まあ、お兄ちゃんもかなり限界に近付いているんじゃないですかね?」
あたしがそう言うには理由がある。お兄ちゃんの表情にも疲れが見え始めているからだ。
それに腰のストロークもどちらかというと、弱くなってきている。
ただ、それでも行為が続けられるのは、千尋お姉さまのおかげというか何というか……。
「それにしても、千尋はあれ、かなりド淫乱になっちゃったわね……。自分から腰を押し付けてるじゃない……。学年一の成績を持つ美少女生徒会長が、これでは信頼も何もないわね」
「あははは………」
あたしは愛想笑いを麻友ちゃんにしておく。
そう。5日目くらいから、突如として、千尋お姉さまの行動が変わったのである。
まあ、エッチに対して積極的すぎるほどに。
「でも、どうして、二人とも倒れないんですかね?」
食事係を受け持っている由美ちゃんが、素朴な疑問を呈する。
それに対して、麻友ちゃんがモニターの方に近づき、プリンを食べたスプーンで、一か所を指す。
「ほら、こうやってとめどなくキスをしてるでしょ? 何でだと思う?」
「え? お互いが萎えないようにするためじゃないんですか?」
「あはは! それもあるかも。でもね、あれは単にキスをしているだけじゃないの。あれは魔力の受け渡しをしているのよ」
「「魔力の受け渡し?」」
あたしと由美ちゃんの上にクエスチョンマークが溢れだす。
「そ。ああやって、注がれ続けると、千尋の体内の魔力が溢れるくらいある状態になっている訳よ。それを優一にキスで渡すことによって、千尋の眷属である優一が息絶えることのないようにし続けているってわけ」
「うーん。なんだか、エロい行為の中にそんな真面目な話があるとは思いませんでしたよ」
あたしは真面目に感想を述べる。
だって、あの二人、暇さえあればキスしているような二人だったから、そんな重要なためにキスしあっているとは思わなかったんだよね。
「さて、そろそろ終わるんじゃないかしらね」
麻友ちゃんが言うと、すくりと立ち上がる。
あたしもモニタリングしているタイマーを見ると、もうすぐ7日目が終わろうしている。
「終わったら、すぐにこの薬飲ませてあげないと、折角注入した精子が漏れ出しちゃうからね」
いや、そこでサラッと笑顔で言うのはどうかと。
そう思った刹那、ヘッドフォンを通して、千尋お姉さまの悲鳴に近いような喘ぎ声が響いてきたのであった。
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