第205話 初めてから本気でホジられた。

 私はボーッとしていた。

 いや、何だろう……。幸せというのとは違う。

 幸せというのは、優一さんで下腹部が満たされたときに味わえるものだと思う。

 というか、いつも味わう高揚感はそういうものだたと思う。

 しかし、今日のそれは何かが違った。

 物足りない? いいえ。十分に満たされていた。

 初めてというのもあって、少し痛みが残っているけれど、恥ずかしながら、あり得ない気持ちよさは味わえてしまった。

 あ、ゴメン、後ろの穴の初めてが大好きな彼ピに奪われました…………。

 お、お母様には絶対に知られたくない。

 お父様なんかに知られたら間違いなく、ショック死するかもしれない。


「ちぃちゃん……? 大丈夫?」

「あ……、はひぃ………」


 まともに返事すらできない。

 そりゃそうだ。

 初めてにしては、加減を知らない優一さんが私を攻め立てて、意識が飛んだのだから。

 本当にまさかの事態だった。

 意識が飛んでしまうなんて想定していなかった。


「何だか、お尻の奥が生温かいもので満たされているのって変な感じですね……」

「ま、まあ、普通ヤるための場所じゃないものね」


 ええ、その通りです!

 私もこちらの世界の知識を得るために、色々な映像を見て、このプレイをしているのを見て、気でもくるっているのかと思ってましたよ?

 ただ、まさか、自分が気が狂ったようにエッチな声を出しちゃうなんて……。

 お尻の穴がムズムズ……ちょっぴり痒いような痛いような違和感とともに、注ぎ込まれた熱いものが垂れ流れる。


「あ、やだ……」

「うわ。めっちゃエロイ……」

「も、もうダメですよ! 無駄撃ち禁止です!」

「無駄撃ちじゃないよ! 今度はちゃんとちぃちゃんが好きな方に入れるから」


 いやいや、ちょっと待って!?

 さっき、あんなにしっかりと出したんですよね!?

 それなのに、もう復活してるとか……。それにさっきよりおっきくないですか!?

 こんなの入れたら、もう、奥に届くじゃないですか!?


「だ、ダメだよ……優くん……」

「でも、ちぃちゃんのこっちは求めているよ」


 優一さんの手は、溢れ出す濃厚な蜜を捉える。

 あう。誤魔化せない。

 気持ちは……そして身体が素直過ぎるんだもん♡


「さあ、行くよ?」

「ダメって言っても来るんでしょ?」

「あ・た・り!」


 チュッとキスされたかと思うと、先ほどの違和感のような気持ちよさとは異なるいつもの気持ちよさが駆け巡る。

 あ、もうダメかも……。あれほどイカされたあとなのに、もう私の身体が受け止めようとしている。

 これって、もう本能だよね……♡




 優一さんにいっぱい愛された後、リビングで初めてに関する報告を美優ちゃんにせねばならない。

 てか、恥ずかしすぎて、この場で死ねそうなんだけれど。


「あのぉ、あたしは初体験をしてほしいとお願いしましたよね?」

「え? あ、うん、そうね」


 私は落ち着きない感じに同意する。

 美優ちゃんはあたしをじろりと睨みつける。


「どうして、両方ともに出されてるんですか?」

「え?」


 私は素っ頓狂な声を上げる。

 ど、どう説明すればいいんだろう……。


「美優、そんなの分かるじゃないか。お兄ちゃんの性欲が勝ったんだよ!」


 ん? お、おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!

 優一さん、素直に言い過ぎじゃない?

 だって、単にエッチしたかったから、前からもしちゃったって言ってるようなもんじゃないですか!?

 私もそりゃ、何だか満足してなかったですけれど……。


「はぁ……。分かったわ。お兄ちゃんは本当に超絶倫なのは色々と問題かもしれないわね……。で、お尻の方はどうだったんですか? あ、もちろん、モニタリングはしてましたら、映像では見てましたけどね」

「うっ……。さすがに見られるのすっごく抵抗があったんだけれど?」

「抵抗のある中で、あれだけ喘いで、悶えて、気を失うってのは、エッチの神が何かに憑りつかれてるんじゃないですか?」

「み、美優ちゃん!? 辛辣すぎるんだけど!」

「そうだぞ、美優! ちぃちゃんはちょっと人よりもえげつない感じ方をするだけだ」


 優一さん、それはフォローになっていません……。

 むしろ、私のことをエロい女だと断言しているだけです……。


「ま、まあ、正直、思っていた以上の恐怖ではなかったわね……。でも、あれを一週間やり続けるってのは、もう、お尻がバカになっちゃうような気がするんだけど」

「ああ、それは大丈夫です。ちゃんと括約筋を戻す薬を麻友ちゃんが作ってくれていますから」

「麻友頼みなの!? 何か副作用がありそう……」


 と、私は斜め前に視線を移す。

 麻友は余裕そうな表情で、


「別に使いたくなければ使わなくていのよ。そのかわり、永遠にお尻の穴から、ウンコ駄々洩れだけどね」

「うっ!? そ、それは乙女としてどうかと思うわ」

「いや、乙女であの喘ぎ声を出しまくるのもどうかと思いますけれど……。あたしが撮りためた映像を売るだけで、十分にそっちの女優になれますよ?」

「なる気はないから!」

「あはは。まあ、冗談ですけれどね。でも、耐えれそうなのは問題なさそうですね。とはいえ、さすがに一発目であんなに自我をぶっ飛ばすというのは、お兄ちゃんもやりすぎですよ」

「え? ダメか?」

「いや、一週間、アレを続けたら、お兄ちゃんは大丈夫でも、間違いなく千尋お姉さまが持ちませんよ!」

「え!? そ、それはヤバいよな」


 ううっ。自覚がないところが優一さんらしいなぁ……。

 今日もすでに意識飛びまくっていたんだから、これ、一週間も続けたら、間違いなく記憶そのものが飛んじゃいそう。

 あ~、本当に私の呪い、本当に解けるのかしら……。

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