第201話 自分のケツ意。

 私はきっと聞き間違えたんだ、とその時思った。

 だって、お尻だよ? お尻に優一さんのおっきいのを突っ込んじゃうとか……。

 そんなの頭がおかしいプレイだとしか思えない。

 男性が精液を排出しても、まったく何の生産的なことも起こらない。

 赤ちゃんが生まれるわけでもない。

 むしろ、それって直腸とかに悪影響があったりしないの?

 私は色んな意味で不安になってしまう。

 そ、それに優一さんのは、とってもおっきいです♡

 そんなものを入れて、一週間もヤってしまったら、身体が壊れちゃうのではないだろうか……。

 そう。私は自分の呪われた血が治るよりも先に、自分の身が壊れてしまうことの方が心配になってしまう。

 それにしても、美優ちゃん、何て提案をしてくるんでしょう……。

 どうして、そんなものを直接ぶち込むなんて考えに行き着いちゃうのかしら……。

 美優ちゃんは科学者としての見識も高いから、そのあたりは心配無用なのかもしれないけれど、さすがに怖くなって身もお尻の穴も縮こまってしまう。


「ち、千尋……」


 若干俯き加減で、麻友が私に声を掛けてくれる。

 そりゃそうよね。あなたも心配してくれるのね……。


「お尻の穴、ガバガバ決定だな!(ニコッ)」

「ぜってーぶっ殺す!」

「いや、だって考えてみろよ? あたしもさ、知らなきゃ何も言えない存在だったんだけど、さすがに優一のアレを身を以て理解した一人だからね。これは間違いなく、ガバガバだよ?」

「二回言わなくていいから! 腹立つわね……」

「私はお尻の穴がガバガバでも千尋お姉さまのことは好きですからね!」

「今生の別れみたいに言うの止めてくれない? てか、そもそも今回の方法を提案したのは美優ちゃん、あなたでしょう!?」

「あ、そうでしたね。まあ、最悪、実験が成功して、ガバガバになったら、締まりをよくする薬を開発しますから」

「ガバガバになるのは決定事項なのね……。ゆ、優くんはどうなの?」

「……………」


 優一さんは思いを押しとどめているのか、こちらも俯き加減で表情が読み取れない。


「ゆ、優くんは嫌よね? 私のお尻の穴の中に精液を注入するなんて……」

「ち、ちぃちゃん……。ボク……」


 ああ、やっぱりこの人は優しい人だ……。

 瞳にじわりと涙を浮かべつつ、私と視線が合う。


「ちぃちゃんが良ければ、そう言うプレイをしてみたい」

「おいっ! 私の彼氏もとことん変態だな!」


 ああ、私の味方は誰もいないというの?

 だって、私のお尻が……お尻が~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!


「み、美優ちゃん? ちょっと時間はもらえるのかな?」

「えっと、それは心の問題ですか? それとも体の問題ですか?」

「え? あ、まあ、出産後ってことだもんね?」

「あ、いえ、そうではなくて、一度試されるのか、と」

「だから、さくっとテストプレイするみたいに言わないで!? まずは心の問題よ! 正直、初めてだから、分からないんだもの!」

「まあ、千尋お姉さま、安心してください。ここにいるみんなが未経験ですので」

「美優ちゃん、私にケンカを売ってるわけ!?」

「そんなことありません! 私は真面目に千尋お姉さまを助けるために、どうべきか、考えただけですから!」


 その言葉が嘘ではないことくらい、私はすでに理解していた。

 いつも、私のことに精一杯頑張ってくれる美優ちゃんが私のことでそんなウソを……。

 そう。嘘で私のお……おし……………………………。

 あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~、やっぱり決心できないわ!

 てか、どうして優一さんは「全然OKだぜ!」みたいな感じなの?

 もしかして、本当に変態の気質があったっていうの?

 それとも、私や麻友とヤってる間に何かに目覚めたっていうの!?


「と、とにかく、まずは出産に集中したいから……。そのあとで、優しくお願いね……。優くん」


 私は優一さんの耳元で囁くように言ったのだが、どうやら、それがまずかったらしい。

 優一さんは筋金入りの私の声フェチな人だ。

 耳元で囁かれるのは、セックスシンボルでおねだりするようなもの……。

 じわりと香ばしい匂いがしてくる。


「ゆ、優くん?」

「分かってるよ……。今から胎教だね。さあ、一緒に寝室に行くよ」


 そう言うと、その体のどこにそれほどの筋肉があるのか分からないとツッコミを入れたくなるような感じで、ひょいと私を抱き上げて、そのまま私を寝室に連れて行ったのである。

 えっと、この後は想像にお任せするわ……。

 たくさんの赤ちゃんのための濃厚ミルクをたっぷりと貰っちゃった♡


「ゆ、優くん。こんなにいっぱい注いだら、赤ちゃんの成長がまた一段と早くなっちゃうよ?」

「でも、そうしたほうが、ちぃちゃんの呪われた血の問題を解決するのも早く着手できるからね。ボクはちぃちゃんが早く回復してくれることを願っているからね」

「も、もう……そうやって優しくされたら、私、あなたのことをもっと頼っちゃうよ?」

「うん。それでいいと思う。ボクは君のことが心の底から愛しているし、それにこれからの人生に、ちぃちゃんがいないなんてこと、考えたくないんだ」

「優くん……♡」

「ちぃちゃん、愛してるよ。だから、ずっと一緒にいて」

「うん。分かったわ。私、あなたを離さないから……。だから、いっぱい私を愛して♡」


 私は優くんに身をゆだねて、そのまま愛を交わし合った。

 きっとモニタリングルームで美優ちゃんたちが見ながら、あきれ果てているだろう……。

 こんなにエッチな高校生、どこにいるんだって………。

 でも、私は優一さんと一緒の人生を歩みたい—————。

 自ずと美優ちゃんから提案された実験に対する是非の結論は出ていた—————。

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