第200話 初めてを捧げろ……ってマジ?

 私は優一さんと視線を交わりながらも半信半疑でいた。

 優一さんに秘められた力を使うってどういうこと?

 そもそも優一さんにはそんな力は一切ないはず。

 せいぜい、濃厚な精気を含んだ体液………。

 まさか————!


「あら? 千尋お姉さまは何かに気づいたみたいですね」

「まさか、優くんの体液を私の中に無理やり注いで体質そのものを変化させるってこと?」

「ピンポ~~~~~~~~~~ン! 大正解です」

「て、ちょっと待って!」


 そこでツッコミを入れる麻友さん。


「はい、どうぞ!」

「優一の体液が千尋を救うっていうならば、最近、ほぼ毎日のように注いでもらっているじゃない? それだけではダメだっていうの?」

「まあ、濃度は濃いんですけれど、精液って一回の射精でどのくらい出るか知ってます?」

「え? 子宮いっぱい分……とか?」

「いやいや、どんなエロアニメですか……。そんなボタボタと受けそこなった精液が垂れるほど出せる人なんていませんよ。そもそもどんな量を排出してるんですか……」

「言われてみればそうよね……。確かに子宮いっぱいに広がる幸福感は何物にも代えがたいけれど、だからってそれでいっぱいになっているってはずはないわよね……」

「当たり前です! そんな排出量だったら、さっき、あたしの口で受け止めきれない状況になるじゃないですか!」

「み、美優!? やっぱりゴックンしちゃったの?」

「じ、実験のためです。あ、でも、あとで吐き出しましたよ」

「いや、普通にエロ過ぎるでしょ!? こんな爆乳美少女が…………」


 麻友、私も同じことを思ったけれど、敢えて、声には出さなかったのよ……。

 どうして、言っちゃうのかな……。


「それにしても、そんなので量なんて分かるの?」

「もちろんです! 一応、日本人男性の平均射精量は3.1mlです! で、お兄ちゃんの量は、平均よりも少し多めの4mlでした!」

「いや、平均よりかなり多いでしょ……。そりゃ、数打ちゃ当たるか……」


 麻友はシミジミと私のお腹の方を見る。

 当然だけれど、認識阻害の魔法がかかっている関係で、大きくなっているお腹は見られていない。

 あ、でも、本当のところ言うと、もうそこそこ臨月なのよね……。

 私たちの種族って妊娠期間よりも愛する男の人から頂戴する精気の量で子どもは成長するから。

 て、濃度が高い優一さんの精液ならすぐに大きくなっちゃうってわけ。

 あ、でも、短期間だから、内臓が作られてないとかそういうことは起こらない。

 むしろ、栄養分は均等に行き渡り、どんどん成長しているっていう感じ。

 この間、優一さんに見せたら、すっごく驚いていたし……。

 ベビー用品のことを相談し始められたから、その辺はお父様やお母様が用意しているから大丈夫ってことを伝えたら、何だかホッとしているようだったけれど。


「で? ちなみにその精液をどのくらい入れるの? また、妊娠したりしない?」

「あー、そうですねぇ……。て、またってどういうことですか?」

「え? あ、そ、そのね……。もうすぐ生まれると思うのよ……。赤ちゃん」

「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!?」」


 一同が驚く。

 まあ、言ってなかったからなぁ……。優一さんはニコニコ顔だ。

 ああ、旦那さんは親バカ出そうで怖い……。

 

「ち、千尋!? いつの間にそんなに育ってたのよ」

「あ、違うの、麻友。これには、優くんの精液よりも深いわけがあって」

「いや、それがどれだけ深いのか分からないんだけれど!?」

「あぅ……。てか、濃度が濃すぎて、成長度合いが想像つかないくらい早いのよ……」

「いや、でも早すぎるんじゃないの? 吸血鬼史上最短になるかもしんないわよ……?」

「あはは……。それは嫌かなぁ~。変な黒歴史出来ちゃうそう」

「いや、あんたが毎晩パコパコしてるからでしょうが……」

「うう……。だって子宮が欲しがって来るから……」

「ねえ、その子、女の子なんじゃない? あんたと同じで淫乱な」

「し、失礼ね! 誰が淫乱よ!」

「こらこら! ケンカしないでください! お二人とも! むしろ、その方がいいかもしれません。妊娠は……しないかどうかわかりませんが、出来たら出来たということで……」


 美優ちゃんが私と麻友の間に入り、喧嘩を止める。

 だけど、また妊娠しちゃう可能性があるなんて……。

 てか、どれだけ注ぎ込まれるの!?


「ちなみにお兄ちゃんの精液の濃さから言うと、250mlくらいあれば大丈夫だと思います」

「み、美優!? ボクの精液は4mlって言ってたよね? 250mlってさすがに……」

「大丈夫ですよ! お兄ちゃん! お兄ちゃんは毎日、千尋お姉さまに10回は射精しています!」

「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!?」」


 周囲が驚く。

 て、何、頬を朱に染めて、恥ずかしがってるんだ……。このド淫乱女は……。


「てことで、一日40mlも出してるんですよ? じゃあ、一週間もあれば多かれ少なかれ届きますよ!」

「ま、毎日、そんなに出してるのか……? ボクは……」

「あ、はい。ですので、赤ちゃんの成長も大変早いのか、と」

「で、でも美優ちゃん? 私、いつも注いでもらっているのに、どうして血が変わらないの?」

「あー、大変申し訳にくいですけれど、注いでる場所が違うんです」

「場所が違う? えっと、飲めばいいってこと?」

「あ、いいえ。そんな必要もないです。むしろ、もっと直に注入してもらうんです」

「えっと、どこに……?」


 私はこの時思いもしなかった。

 まさか、ついに私の初めてを捧げることになるなんて…………。


「えっと、千尋お姉さま、怒らないでくださいね? お兄ちゃんの精液を効率的に吸収するためには、千尋お姉さまの直腸に注ぐのが最適なんです」

「ち、直腸……?」


 あまりにも聞きなれない言葉に私は一瞬フリーズした。

 が、それが体内のどこにあるかはさすがに分かっている。


「お、お尻でヤれってこと~~~~~~~~~~~っ!?!?!?」


 私は耳まで真っ赤に染めて、両手を口で押さえるしかなかったのである。

 お、お尻は、さすがに…………………無理じゃない?

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