第199話 解呪の可否。
私は目が覚めると、優一さんの呻くような声が風呂場から聞こえてくる。
まかさ—————!?
私は優一さんの身に何かが起こっていると思い、服も着ずにそのまま風呂場に向かう。
体から臭う優一さんの残り香が、まるで優一さん本人に引き寄せられるように。
「優くん! 大丈夫!?」
私は勢いよく風呂場の扉を開ける。
と、そこには優一さんの下腹部に吸い付く一人の爆乳美少女がいた。
「み、美優ちゃん!?」
「ぷはぁあっ! て、千尋お姉さま! お目覚めになられたんですね!」
「え、ええ、まあ、そうね……」
美優ちゃんは満足げな笑顔をこちらに向けながら、声をかけてくれる。
て、口の端から、何か白濁としたものが漏れてるんだけど!?
私が呆気に取られているなか、優一さんは今の置かれた状況に対して、震え上がっている。
そりゃまあ、そうでしょうね。
実の妹に吸精されている姿を、超絶美少女なゾッコン彼女に見られちゃったのだから。
え? ヤンデレの間違いだって? 何? 地面に埋まりたいの?
とはいえ、何となく理解はできた。
間違いなく、これは優一さんが悪いわけではないだろう。
むしろ、美優ちゃんが襲い掛かったといったところだろうなぁ……。
「み、美優ちゃん? これはどういう状況かしら?」
「あ、あのぉ……ですね。ちょっと千尋お姉さまと麻友ちゃんがお兄ちゃんとの激しい情事をモニター越しで見てたところ、あたしも気持ちが高まってきてしまいまして……」
と、言いながら、モジモジと下半身を右手でいじっている……。
も、もしかして、近親相…………。
私は少しばかり気を失いかけてしまう。
まさか、そこまでやっちゃえるなんて……。
「で、どうだったの?」
「もう、お口の中で活きのいい濃厚なものをたっぷりといただけました」
「あ、あら、そうなの……。で、避妊は大丈夫なのね?」
「あ! それなら大丈夫ですよ」
美優ちゃんは手のひらをパタパタとしてくる。
どこにそんな余裕があるというのだろうか……。なぜ、絶対に妊娠してないって自信があるの?
「だって、あたし、処女ですよ?」
「………………え?」
「恥ずかしいんで何度も言わせないでくださいよ……。あたしは処女ですって。純潔な乙女です!」
「へ? てことは、ヤってないってこと?」
「ええ、やってないですよ。だって、あたしがしたのはお口だけで……」
「あ、あら、そうなの……」
「あ、あの、千尋お姉さま? どうして、そんなにホッとしてらっしゃるの?」
「え? ち、ちがうわよ! 美優ちゃんの身が無事でホッとしただけよ」
「まあ! あたしのことを心配してくださっているんですね!」
「も、もちろんよ! だって、私の恋人の妹で、私の眷属なんだから!」
「ううっ! 嬉しいです! さすが、千尋お姉さま!」
あー、本気で嬉し涙を流してる。
てか、いい加減気づいてほしいなぁ……口の端の白濁……。
「てことは、優くんは無罪ってことでいいのよね?」
私の問いかけに優一さんは無言で何度も首を縦に振っている。
まあ、そんなに焦る必要はないと思うんだけれどね……。
無罪であるのならば……。
「と、とにかく、私も汗を流したいから、お風呂、使わせてもらうわよ」
「はい! どうぞ!」
最高級の笑顔で、美優ちゃんは私を招き入れた。
お風呂上りでジーンズとパーカーに身を包んだ私は、ダイニングテーブルで腕を組みつつ、待っていた。
どうやら、美優ちゃんが私の血の呪いを解く方法を見つけてくれたらしい。
今から、その話を聞くことになったのだ。
「千尋お姉さま、お待たせいたしました!」
「え? まあ、そんなに焦らなくてもいいのよ」
「いえいえ、これは千尋お姉さまとお兄ちゃんにも関係のあることなので、しっかりと分析作業をしました」
「そうなんだ。本当に助かるわ。美優ちゃんが本当に賢い子で」
「あ、まだ、褒めないでくださいね。何も発表していないんですから」
「ま、まあそう言われれば、そうね」
私の横には優一さんが、そして、リビングのソファには、先ほどまで放心状態だった麻友と妹の由美ちゃんが座って話を聞いている。
「結論から言うと、千尋お姉さまの呪いは解呪できます!」
「ほ、本当か! 美優!」
優一さんが声を上げて立ち上がる。
やや興奮気味だけれど、それは私が助かって欲しいというその思いからきているのだろう。
何だか、嬉しいぞ!
「それには、お兄ちゃんの力が必要になるんです」
「え? 優くんの?」
「み、美優? ボクが何かできるような人間じゃないぞ?」
「いや、エッチだけは凄いけどなぁ~」
外野から麻友がツッコミを入れる。
うう。さっきまでは放心してたのに、復活すると強気な奴め!
「そうです! 実はお兄ちゃんが持っているエッチな力が関係しているんです!」
「ええええっ!? 本当にこのエッチな力が役に立つのか?」
「はい! あ、でも、今のお兄ちゃんではなく、エッチをしているときの覚醒中のお兄ちゃんの方ですけれどね」
「え? あれは私や麻友でも……、ましてやお母様までも屈服されちゃうのよ!?」
「そうです! それでいいんです!」
え? 屈服されるのが良いってどういうこと?
全然分からない……。
「もう一人のお兄ちゃんには凄い力が秘めてるんです! それを使います!」
美優ちゃんの宣言に、私はその周囲にいたみんなは訳が分からず、呆気に取られてしまう他なかったのであった。
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