第198話 新たな覚醒と吸われる運命。

 えっと、ボクは何かをしていまったのだろうか……。

 気づいたら、目の前に麻友と千尋さんが白目を剥いて痙攣している。

 それに皆の体は汗ばんでいて、白濁としたものが彼女たちの体に点描を描き、かつ、卑猥な感じで漏れ出ていた。


「も、もしかして、ボクはまたヤってしまったのだろうか……」

「まあ、そういうことです。お兄ちゃん」

「ぬおぁっ!? み、美優!?」

「お兄ちゃん。まずは、前を隠した方がいいかと思います」


 ボクは視線を下に移すと、出すものを出し切り、くったりと力を失った息子が視界に飛び込んでくる。


「うわぁぁぁぁぁっ!?!?!?」

「そんなに焦ることないでしょう」

「どうして、美優はそんなに落ち着いていられるんだよ!?」

「そりゃ、千尋お姉さまとお兄ちゃんの情事を記録して管理していますから」

「うっ………。何だか、堂々と言われると恥ずかしさが増すような気がしちゃうね……」

「まあ、それでも、今回の比較実験は良い収穫もありましたよ。話をし……たいところですが、麻友ちゃんと千尋お姉さまがこのままでは使い物にならないので、起きるまで待ちましょう。あと、お兄ちゃんはすぐにお風呂に入ってくる! 控えめに言って、マジで臭い!」

「ううっ。それ、控えめになってないよね」

「精液と汗をむせるような臭いでこの部屋が充満しちゃってるの!」


 美優はそう言うと、窓をがらりと開けて、空気を入れ替える。

 あ、外の空気、美味しい………。


「じゃあ、今すぐお風呂にゴーッ!!」

「は、はいっ!!」


 ボクは寝室から追い出された。

 風呂場で体の汗を流しおとし、湯船につかる。

 一気に体から疲れたものが溢れだしてくるような感覚に襲われる。


「はぁ~~~~~~~~」


 思わず親父クサいため息をつく。

 それにしても、最初、麻友とヤり始めた時の記憶はあるのだが、千尋さんとしていたという記憶はない。

 どうしよう。また、別人格のような状態になっていたのだろうか……。

 正直、この症状は治って欲しいのだが……。

 すると、脱衣所に誰かが入ってきた気配を感じる。

 そして、そのシルエットの人物は間髪入れずに風呂場に入ってきた。


「み、美優ッ!?」


 そう。そこには爆乳をたゆんと揺らしつつも、胸と下半身の一部を手で隠しているという状況の美優がいた。

 顔は朱に染めて、恥じらっているのが、何だか初々しく感じる。

 て、そういう問題じゃない!


「お、お前どうして!?」

「お、お兄ちゃん? あたしが千尋お姉さまの血の研究をするために、お兄ちゃんたちの情事を見てるでしょ?」

「え? あ、うん。そうだな……」

「あたしだって、千尋お姉さまに血を吸われたことで、一部分的に眷属になっているんだけど?」

「ああ、まあ、そう言えばそうだよな」

「だから、体内に取り込まれている千尋お姉さまの血が、お兄ちゃんをさらに好きにさせてしまおうと体がしてくるの……。疼いてるの……。ここが」


 そう言って、恥ずかしがっていた手を除けると、そこには何やら紋様が……。

 ん? これってちょっと待てよ!?

 子宮の上にハートのような形でそれぞれ卵巣に伸びるようなピンク色のライン。

 いや、これ、吸血鬼じゃないよね!?


「み、美優!? これは淫夢魔だぞ!?」

「——————え?」


 美優は目を点にする。

 さっきまで朱に染めていた頬もスンッと落ち着いた。

 美優は自分の下腹部を確認する。

 そして、数秒硬直した後に—————。


「お、お兄ちゃん!? ど、ど、ど、どうしよう!? あたし、千尋お姉さまの眷属じゃないの!?」

「え!? いや、普通、ちぃちゃんに噛まれたら、吸血鬼の眷属になるはずだけど?」

「でも、これって…………」


 て、ちょっと待てよ。

 この家にいるじゃないか。怪しい淫夢魔が一人…………。


「な、なあ、美優?」

「え? な、何?」

「お前、麻友にも噛まれてないか?」

「え? 麻友ちゃんに? うーん………」


 思い出そうとする。て、おいっ! 手を顔に当てるな! 隠してたものがすべて見えてるよ!

 ボクは慌てて、視線を逸らす。


「あ。そういえば……。前にパジャマパーティーをして一緒に寝た時に、おっぱいが大きいって言って、吸われたり、噛まれたりしたことが………」

「あ、それだろうな………」


 犯人は無事に発見されたようだ……。

 て、そんなことで安心できるわけがない。

 おいおい。妹が淫夢魔になったぞ……。


「くんくん……。ああ、いい匂い」


 突然、スイッチが入ったかのように恍惚な表情をしつつ、鼻をヒクヒクとさせる。

 あ、しまった。

 ボクとしたことが……。妹と麻友の絡みを妄想してしまい、さらに目の前には、爆乳がある。

 男として、ここで勃たないわけがない。

 湯船の中では、先ほどまでは、疲れ果てていた性欲がグイッと復活しようとしている。


「なるほど……。こういう匂いをみんなは味わっていたのね……。そして、その発生源はお兄ちゃんの—————なのね」


 ボクは逃げようにもお風呂場で逃げ場所などない。

 前かがみなまま妹はボクに迫ってくる。

 ボクの目の前には、美優の爆乳がまるで振り子のようにたゆん! たゆん! と踊っている。

 あ、やばい……。こんなの妹であってもエロ過ぎる。


「いっただきま~~~~~~す!!」

「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇっ!!」


 ボクの抵抗は虚しく、美優は湯船に飛び込んできたのだった。

 あ、そんなに激しく握っちゃダメだよ………おおぅっ!?!?!?

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