第174話 バレンタインデー狂騒曲(18)

 目を覚ますと、そこには千尋さんがボクの方を向きながら、優し気な寝息をたてていた。

 物音を立てずにスマホを確認すると、時間は朝の5時30分。

 まだ、起きる時間としては早いような気がするかもしれない。

 朝食の準備をしてあげた方がいいかもしれない。

 でも、目の前にいる彼女の顔を見ると、どうしても心が落ち着かない。

 いや、何か不安に思うのではない。

 そうではなくて、何だか、ドクンドクンと心臓が高鳴るような感覚に襲われる。

 そして、そのドキドキはなぜか下半身……股間を熱くさせてしまう。

 今までこんなことはなかった。

 もちろん、彼女を見て、ドキッとすることや、……そのキスをしたくなるという衝動に駆られることくらいは幾度とあった。

 それは千尋さんが可愛いし、ボクに対して好意の感情を全面で向けてくれているから。

 でも、こんなことになるのは、今までなかった。

 朝だから…………。

 そうだよね。朝だから、勃つこともある……。

 ボクの中ではそう言い聞かせた。


「優くん」


 ボクがそんなことを考えている間に、目の前の可愛い彼女はうっすらと瞳を開ける。

 ゴソゴソと衣擦れの音がして、彼女の両手がボクの両頬を覆う。

 そして———————。


「……ちゅ♡ ちゅぱちゅぱくちゅちゅる…………」


 起きて早々、可愛い彼女に舌を絡めるようなエッチなキスをせがまれるどころか、し始められたらどんな気持ちになりますか?

 それに、ボクは思わず目を見張ってしまう。

 昨日は、二人で「交尾」と呼んでいいようなセックスをした。

 千尋さんが言うには、新しい命が宿った、と。

 そして、そのままボクらは抱きしめあいながら寝ていたのだ。

 つまり——————。

 ボクは両腕の付け根のあたりに目が行ってしまう。

 そこには、薄暗がりといえども分かる、透き通る白い肌。そして、程よい大きさの双丘と、恥じらいのようなピンクに染まった突起。

 思わずボクの喉はゴクリという音がなってしまう。


「もう……優くんのエッチ……」

「あ!? いや、ちが…………」

「実は、優くんの濃厚な活きのいい子種のおかげで一発で妊娠させられちゃった」

「分かるものなの?」

「うん。私たちのような魔力を持っているものなら特に敏感に反応するわ。だって、体内に新たな魔力が形成されるんですもの」

「そ、そうなんだ……。て、ことは、ボクは……」

「そ。しっかりしてよね? パパ♡」


 パパっ!?

 ぼ、ボク、高校生なんだけど!?


「あ、それとぉ~。実は、妊娠しちゃったから、段々と私の体が子どもを育てるための母体に徐々に変わっていくの」

「そうなんだ……。そこは本当にお母さんみたいだね」

「そりゃそうじゃない。私はママになったんだから」


 ニヤリと微笑みながら、ボクの方を意地悪く見つめながらそういう言い方はズルい。

 下半身が黙っているわけがない。


「そのおかげで、おっぱいも大きくなってきているんだよ?」

「ええっ!? 早くない!?」

「まあ、人間と比較すると、そう感じるかもしれないわね。でも、私たち魔力の持っているものはそんなものよ」


 そう言って、両腕でムギュッと寄せて見せてくる彼女。

 ボクの股間が脳内に警告アラームを発し始めている。

 このままでは間違いなく暴発するぞって。

 で、でも、待ってよ……。どうして、ボクの精神状態はこんなにエッチな状態になっているんだろうか?


「ね、ねえ、それってみんなには………」

「あー、それはバレないわよ。基本的には、私の周辺には認識阻害の結界を張った状態にするつもりだから。だから、妊娠してたとえ、臨月になっていてもバレはしないわ。まあ、体育とかの運動は厳しいでしょうけれどね。理由を付けて休めばいいわ。そんなことよりも、おっぱい触ってみたくないの? 優くんお待ちかねの、サイズに私もなったんだから……」


 ゴクリ…………。

 ボクは何も言えなくなってしまう。いや、自分の中では答えなんて決まり切っている。

 触りたい——————!

 両手でその豊満なバストを揉みしだきたい! そして、厭らしくボクの方にツンッと尖ったピンクの突起に吸い付きたい!


「さっきから、ずっと我慢してるんでしょう?」


 そう言って、彼女はボクの鋼の如く硬くなった下半身を指でなぞる。


「朝から、立派にしちゃって………♡ 私の魅力がさらにアップしたってことかな?」

「……そ、そうだと思う。何だか、おかしいんだ。今朝目が覚めてから、ちぃちゃんの匂いや吐息、そして声を聴くと、エッチな気持ちが落ち着かなくなってきているんだ……」

「あらら……。もしかしたら、私を妊娠させちゃったことによる後遺症かな……?」

「妊娠させたらこうなるの!?」

「あー、まあ悪い意味じゃなくて、私たちのような魔力持ちを妊娠させるってことは、私よりも強いオスってことで認識されちゃうわけ。だから、私の存在そのものが媚薬みたいになっちゃって、たくさんの子作りができるようになっちゃったってこと」

「そ、それはやばいですね……」

「産まれたら、また次を作りたくなっちゃうってことだからねぇ……」


 彼女はしみじみと言いつつも、その表情は少しニヤけていて、今でも子宮がキュンキュン♡としているようである。


「あ、でも、さすがに妊娠したんだから、安定期まではエッチできないね……」


 ボクが少し残念そうに言うと、


「何言ってるのよ。私たちの肉体構造は人間ほど柔じゃないわ。受精した赤ちゃんはすでに子宮で隔離されちゃっているから、早産なんて起きることはないの。だから、次の日からやり放題」


 と、彼女は左手の親指と人差し指で輪っかを作り、そこに右人差し指をスコスコとグラインドさせている。

 清楚可憐な優等生が凄くエロい!


「だから、今からその元気なのを、たっぷりと吐き出させてあげるね。パパ♡」

「はぅんっ♡」


 ボクは悲鳴のような呻きを上げて、体をビクビクッと小刻みに痙攣させたのであった。

 あ、これ、さらに吸い出されちゃうヤツだよね!?

 お互いがすでに生まれたままの姿だから、服を脱がせる手間もいらない。

 彼女は大胆にもボクを仰向けにして、馬乗りになり、鋼のようなそれを受け止めた。

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