第170話 バレンタインデー狂騒曲(14)

 今までも優一さんとは一緒にお風呂に入ったことくらいある。

 それは私から誘っ………、えーっと、ちょっぴりエッチな誘惑をしつつ、期待もして入ったりしたのだ。

 まあ、エッチな行為が行われなかったということはなく、いっつもキスをしたり、ちょっと体を触れ合ったりと寝室で行っているものに比べると、とっても優しさ溢れるものだった。

 うん。昨日までは——————。

 今日は優一さんからのお誘い!?

 そ、それに何だか優一さんの顔が少し赤みがかっているのも気にならないわけではない。

 優一さんが先に入っていると言ったので、私は少し遅れて入る。

 もう、見知った体とはいえ、さすがに裸のままだと何だか少し恥ずかしく思ってしまう。

 お腹が出ていないだろうか……。変なところに打ち傷があったりしないだろうか……。

 とにかく、女のことはそういう生き物なのだ……。好きな人には少しでも綺麗な自分を見せたいと思うものだ。

 湯けむりでふわっとしか見えない。

 けれど、優一さんがそこで待ってくれているというのはよくわかる。


「優くん?」

「ちぃちゃん、さあ、体を洗ってあげるね」


 そう促され、私はそのまま座椅子に座る。

 優くんはスポンジにボディソープを垂らすと、手際よく泡立てる。


「何だか少し恥ずかしいです」

「ボクたちって寝室ではあんなに激しく愛し合うけれど、お風呂ではソフトだよね」

「ちょ、ちょっと! 優くん、何てこと言うんですか……」

「だって、本当だと思わない?」

「………思います」


 そう。

 私たちの寝室では淫れ過ぎているといっても過言ではないくらいだ。

 それを思い出して、私と優一さんは少し無言になってしまう。

 そりゃ、………そうだよね。あれだけ激しければ……。

 ところが、お風呂ではああいったことがなかったのは、これまで奇跡とでもいうべきなのではないだろうか。


「はい、後ろの方はおしまい」


 そんなことを考えている間に、背中は洗い流してくれたようです。

 そのまま髪の毛まで洗ってくれるとか、ここはどこかの美容院なのかしら……、と勘違いさえしてしまいそうな気持ちになる。


「女の子って本当に髪の毛さらさらだよね」

「そ、そう? まあ、でも、男の子と比べると、色々と面倒はかけているかもしれないかな」

「髪の毛が長いと、やっぱり色々と面倒があるんだね?」

「そりゃ、まあね」

「じゃあ、次は前だね」

「ええっ!? 前は自分でやるわよ!」

「良いから良いから」


 そう笑顔で言う優一さんに対して、その行為を無碍にしてしまうことはできない。

 私は二つ返事とまではいかなかったが、洗ってもらうことにした。

 優一さんがぴったりと私の背中にくっつきながら、後ろから私の脇や胸を洗っていく。

 くすぐったさが一番目に来て、クスクスッと笑ってしまう。


「ごめん、くすぐったかった?」

「はい。やっぱり前は自分で—————ふひゃっ♡」


 今、何だか、電流が走ったように身体がビクビクッとしてしまった。

 もちろん、原因は分かっている。


「ゆ、優くん? 優くんのエッチ好きな指が、私の先っちょをイジイジしてるような気がするんだけど?」

「うん、してるよ!」

「ど、どうして?」

「だって、ボク、もう我慢できなくなってきちゃった」


 優一さんがそう言うと、体をさらに密着させてくる、と同時に背中に熱い棒を押し当てられる。

 私は恐る恐る振り返る。そこには、今にも雄叫びをあげそうな勢いを持った、優一さんの分身がピタンピタンと背中に押し当てられている。

 湯けむりの中と言えども、その猛々しいオーラを帯びた分身は今にも私に襲い掛かろうとしているような気がして、私は少し引けてしまう。

 てか、いつもよりおっきくない!?


「んんっ♡ やぁんっ♡」


 私が優一さんの分身に気を取られている間も、優一さんの指は私の弱いところを刺激してくる。

 今度は指がツツーッと下に移動して、下腹部に至る。

 そして、その繊細な指先は私の我慢をし続けたダムを決壊させるような刺激を与えてきた。


「———————————♡」


 一気に脳髄にまで激しい快感が攻めてきて、真一文字に固めていた口は開かれ、甘い吐息が漏れてしまう。

 と、同時に粘着のある液体の量がさらに増えるような弄られ方をする。

 思わず、優一さんの胸にもたれかかってしまう。


「………はうぅぅぅ………」

「良い感じに蕩けてきたね」

「もう、何度か………ってるの………」

「ん? なぁに?」


 優一さんはいつも以上に意地悪に私の顔を覗き込んでくる。

 ああ、もう目の前に唇がある。キスもしたいのに………。


「やらしい優くんの指先で、何度もイっちゃってるのぉ♡」

「ボクは洗ってあげてるだけだよ?」

「………意地悪ぅ………」


 私はいつの間にか餌をねだる魚のように、優一さんにキスを強請ねだって、口をパクパクとさせる。

 しかし、優一さんはそれを見て見ぬ振りをする。

 もう! どこまで焦らされるの!?

 そんなことを思っていると、私の体にさらなる刺激を与えてくる。

 はぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~!?!?!?(←声にならない悲鳴)

 ゆ、指がぬるっと簡単に挿入ってきた………♡

 いやいや、マジでヤバイ! このままでは、私、お風呂で初めてメス堕ちさせられちゃうよ~~~~!

 で、ここでキスとか……、もう! 優一さん! 好きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!

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